神の如き強者(アザゼル)四
だが、廉にとっては二つの情報を得られた。
背後にはもう一人存在しており、スーツ姿のギャルはこれから廉が作り上げるチーム[アブノーマル]のメンバーになるのは先程のセリフから間違い無いだろう。しかし、廉が把握出来るのはこの二点のみであり、さらなる情報を得るには、行動するのみである。
その考えに至った廉は直ぐ様、行動に移す。
目の前の二人の情報はある程度得られているこの状況で、二人に語りかけるよりも背後に居る人間との接触を試みる。廉は椅子に腰かけたまま、腰を回り背後の人物へと目を向ける。その瞬間、狭い部屋に椅子が倒れる音が響き渡り、廉は自身の背後にいた鎧を着た男を指差していた。
「⋯⋯何で、何でこいつは⋯⋯頭がないんだ?」
その人物を見れば、誰もが疑問に思うであろうそれについて、問いかける廉に対して、黒白院が答えた。
「全てを説明すると長くなるから、少し省略すると彼自身が持つ神器によって首を切断され、神器の特性によって現在も生きている」
「⋯⋯省略しすぎだろう!」
思わず、ツッコミを入れた廉に対して冷たくスーツ姿のギャルは告げる。
「彼の神器は名前が無かったものだけど、その異常性から誰が呼び始めたのか⋯⋯肉体を切り離す魔剣と呼ばれ始めた神器よ。能力は簡単なものの、肉体を切り離す魔剣に切断された箇所は出血、痛みを伴わず、切断され、切断箇所は綺麗に塞がる」
スーツ姿のギャルの説明を受け、鎧の男は身を屈め首の切断箇所を廉に見せつける。
「辞めろ。見たい訳ねぇだろ!」
鎧の男は廉のその言葉を受け、身体を元に戻す。
そんな鎧の男の行動を見て、廉は首を傾げていた。
「耳がねぇのにどうやって俺の声が届いている?」
スーツ姿のギャルの説明で切断箇所を見せようとした鎧の男は廉の言葉に反応して、行動辞めた事から当然の様に出てくる疑問。その答えは鎧の男が示した。
鎧の男は手元に魔法陣を出現させ、手を入れ込むとそれを手にして魔法陣から取り出す。
「それは、顔は僕が所有しているからね」
鎧の男は自身の顔を取り出し、廉に見せつける。
「そんな物を見せつけるな」
「そんな物とは失礼な」
「それでどう言う仕組みなんだ?」
「僕が所有している空間内に顔を入れておくと、生活に困らない位には聴覚はある。流石に視力は直接見る必要があるけどね」
「随分と面倒な身体になっている様だな」
「⋯⋯戻る方法はあるんだ。その為に僕はここに居て、君の部下になる事も厭わない」