神の如き強者(アザゼル)二
「君は意識を失っていて、自身の置かれた状況を理解していない様だから、言わせて貰う。君に帰る家は無い」
「はぁ?」
黒白院のその言葉に思わず、出た言葉だが、その言葉の意味を考え、直ぐに理解した。
家が何者かに襲われ、自身の身体が貫かれた事実を
「なんで塞がっている?」
廉は自身の胸に手を当てて、確認する。何度も、何度も、何度も、幾ら触れてもそこには穴と呼ばれる痕跡は無い。廉は直ぐ様、服を脱ぎ捨てる。
「何で、なんで⋯⋯塞がってる?何で!何で!俺は生きている?」
廉はその疑問を抱えたまま、目の前の男を睨見つける。
「皆んなは?」
「当然、出てくる疑問だろうね⋯⋯山梨は焼け野原となった。だが、死者は五十名で食い止められた。いずれ知る事実だがらこそ、ここで言っておこう。君のご両親は殺された⋯⋯兄である木山エンマは生き残り、チーム[雷帝軍]に所属となった」
「兄貴は生きているんだな?」
「あぁ、君と同じく、炎系統の魔法は消えているが、閻魔大王の能力者であると、断定された」
「閻魔大王?」
「⋯⋯私自身も能力名しか知らされてない。詳しく、直接聞くといい。と、言っても暫くは会えないだろうが」
「俺は死んでいたはずだ?ここでは死者を蘇らせる者でも居るのか?」
息を荒くさせる廉に黒白院はため息混じりに答える。
「落ち着け、そんな事が出来れば君のご両親も生き返らせている。君の兄から聞いた話だ⋯君は心臓は幼馴染である檜山仁によって貫かれたそうだ。君は間違い無く、死んでいたそうだが⋯⋯気づくと君の身体は炎に包まれ⋯⋯炎の魔神の如くと君の兄は言っていた」
「炎の魔神?」
「私も見ていた訳ではなく、聞いた話で半身半疑な状態だ。それはここに居る防衛局の全ての人間がそうだろう。だが、局長である橘吉凶だけは、君にチームを作らせる事を私に指示をした。君の地元の山梨が襲われた様に世界全国で同時に襲われた」
「⋯⋯世界同時に?」
「奴等は管理する神を名乗り、世界に宣戦布告をした。日本も抗う為の組織を早急に造る事が決定した。君もその内の一つのチーム[アブノーマル]を造って貰う」
「何で、俺なんだ?」
「橘吉凶は君を気に入って居るようだ⋯⋯そうだとしか言えない」
「断ったら?」
「断って貰っても良いが、日本人のほぼ全てが防衛局に何らかの形で協力関係にある。それ以外の人間は我々の敵とみなされる。君の幼馴染である檜山仁は敵側である管理する神に付いた様だ」




