百花繚乱(ひゃっかりょうらん)六
「佐々木中人は防衛局最強のチーム[雷帝軍]のメンバーです。君が居た空間を広げていたのも、防衛局内の全ての空間管理をする防衛局の中心人物です」
「おいおい。大物だな」
「はい。僕達が掛け合って会える様な人物では無い。極一部の人間でしか会えませんよ。分かるでしょ?佐々木中人が防衛局の防衛の二大障壁とまで言われているんです。佐々木中人の空間魔法、当麻総一郎の強化魔法のこの二人で日本は鉄壁の要塞を可能にしているんです」
二人のそんな会話の最中だった。
白髪で糸目の青年が現れる。その人物の登場に赤髪の少女と青髪の少女は震えだす。
そんな反応を見た廉は何かから逃げてデュラークにぶつかった事から、今現れた人物が何か関係していると推測する。
「動かないで下さい。大物が動いています」
デュラークのその言葉に廉は硬直する。離れた位置に居る廉だが、この男の異常性は肌で感じていた。
「全く、コソコソと[雷帝軍]を嗅ぎ回るのは辞めて貰いたいだけですよ。大人しく、連行されなさい」
白髪の青年のその言葉はゆっくりとしっかりとしたその声で少女達に告げられる。
「だったら、お兄ちゃんを返せ!」
赤髪の少女は右手に赤いオーラを纏わせる。
そんな姉に同調する様に左紀子も左手に青いオーラを纏わせる。
「無謀だ」
廉の隣に居るデュラークのその言葉に廉は反応する。
「無謀?」
「えぇ、あの人は異常な人間だ。何よりもチーム[雷帝軍]のメンバーの一人、明神明です」
日本最強のチーム[雷帝軍]はその名の通り日本のトップである。そんな[雷帝軍]を相手に正面から挑む無謀な人間は世界を探してそうそう居ないだろう。だが、廉の目の前でその人物は二人居た。
赤髪は右手に纏わせた赤いオーラを明神へと放つ。
明神は避けれる筈のその攻撃を一切避ける動作をせずにその攻撃をその身に受ける。明神はダメージを一切受けておらず、その背から美しい白い翼が十枚生え、そんな明神の周囲には白い翼が漂っていた。
「また無効したのか」
赤髪の少女は何度も繰り返している報われる事の無い戦いに希望を見に出せずにいた。
「何度やっても無駄だよ。僕の勝利の翼は天使属性の中でもトップクラスの性能だ。ダメージは全て翼が肩代わりしてくる。この十枚の翼がある限りは君達に勝機はないよ」
明神は右手を前へと突き出す。すると、周囲を漂っていた白い羽が明神の右手へと収束すると、それは光輝く白き剣へと変化していた。




