百花繚乱(ひゃっかりょうらん)五
そうあり得ない事が今、起きていた。
魔法陣から炎を放つ事はあり、魔法陣に火をつけるのは可能な技術であるが、魔法陣が焼かれる事などありえないのである。
「魔法では無いな」
廉のその言葉にデュラークは直ぐ様聞き返す。
「何故、言い切れるのですか?」
「俺は元々は炎属性の魔法を扱う木山家の人間だぞ」
「成る程、その道のエキスパートですか⋯⋯それで、あれをどう見ますか?」
「まず、魔法で無いのは確定だ。能力における絶対的な焼却性能な能力だろうな⋯⋯恐らくだが、水すら焼くぞ。蒸発とは違ってな」
「防御関係なしの焼却ですか⋯⋯正面からやり合うのは分が悪いですね」
「それに向こうはもう一人居る事を忘れるな。取り敢えず、防衛局に行くぞ」
廉の提案通り、二人は防衛局内へと向かう。
「左紀子!あいつらの道を塞いで!」
「⋯⋯分かったよ。お姉ちゃん」
姉である赤髪の少女の指示通りの青髪の妹である左紀子は左手に青いオーラを纏わせる。
「ごめんなさい。お姉ちゃんがそう言うなら、私はそれに従う」
左紀子は左手に纏わせていた青いオーラを放ち防衛局の入り口を全てを覆う青色で長方形の壁を作り出す。
「木山さん、塞がれました」
「魔力は使うな」
先頭を走るデュラークは右手を握りしめ、それを青い壁を殴りつける。
「⋯⋯硬い⋯⋯防御系の魔法陣並みだ」
それは何度も、魔法陣を殴ってきたデュラークだからこそ言える発言だった。全てを見ていた廉は後ろを振り返り、赤髪の少女と青髪の少女を見つめる。
「赤いオーラによる絶対的攻撃力と青いオーラによる絶対的防御⋯⋯纏めて相手にするには、キツイな」
「えぇ、木山さん分断しましょう」
デュラークの提案は廉も考えていた事だった。
だが、廉は直ぐには行動に移さなかった。
「簡単に言ってくれる。それはアイツらが最も警戒するものであり、最も避けたい事だ。そう簡単には行かねぇぞ」
廉は次の手を考えているその最中赤髪の少女が動く。
「防衛局に逃げ込んだのは、助けを求める為?」
「俺達は、防衛局所属のチーム[アブノーマル]だ。防衛局に行くのは当然だろ?」
「逃げたように見えたけど⋯⋯まぁ良いわ。私達をそのチーム[アブノーマル]に入れなさい。お兄ちゃんに会いたいの」
「お兄ちゃん?」
「そう時空魔法の天才と言われた佐々木中人⋯⋯私達のお兄ちゃんを返して」
「返してって言われても⋯⋯誰なんだ?」
廉は何の情報も無い事からデュラークへと確認を取る。




