百花繚乱(ひゃっかりょうらん)三
時は遡り、廉とデュラークは優雅にティータイムを過ごしていた。
「全く、魔力切れとは」
廉は目の前に座る場違い感の凄い鎧の男に嫌味満載で告げる。デュラークの魔力切れが無ければ、朝香と黒白院に続いて、沖縄に行けたが廉の予想外な形で足止めに廉は苛立ちを募らせていた。そんな廉に気を使いながらもデュラークは自身の魔力切れについて語りだす。
「仕方あるまい。僕は肉体を切り離す魔剣の神器を宿してから、魔力量が減ってしまってね。何よりも、魔力を全て失くした君よりかはマシだと思うけどね」
根に持っていたのかデュラークは廉への反撃を忘れなかった。
「何で神器を宿した者同士で魔力が残る場合と消滅する場合があるんだ?」
廉のその疑問を答えられる程の知識はデュラークには無い。この答えを知る者と説明出来る者は世界中を探しも居るのか誰にも分からない事である。それ程、新たに出現した能力、異能、超能力について世界はあまりにも無知である。
「運でしょうか」
デュラークが捻り出した答えはそれだった。
「そうか。運が良かったな」
「君は運が無かったね。⋯⋯運で決まる物では無いでしょうが」
「違うのかよ。なら、何か意味や法則みたいなものがあるのかもな」
デュラークがその答えを持ち合わせる事も無く、沈黙が続く中、廉はコーヒーを啜る。
沈黙の最中、廉はデュラークへと目をやるとそこには手つかずのコーヒーがあった。
「⋯⋯コーヒー飲まねぇのか?ビビりながら、運んで来た店員が可愛そうだろ」
「声が震えていたので、そうなのかもと思ってましたが」
デュラークは廉の提案を受け、自身の手元に魔法陣を出現させる。出現させた魔法陣に自身の右手を入れ込むと、デュラークは魔法陣から自身の頭を取り出す。
「おい!公共の場でそんなもの出すな」
廉のその声は虚しくその場の他の人々の悲鳴でかき消される。そんな悲鳴等気にすること無く、デュラークは左手にコーヒーカップを持つと、右手に掴んでいた自身への口へと運ぶ。
「⋯⋯どう言う原理だ?」
当然出来る疑問だ。首が切断され、胴体から切り離されたその頭は人としての機能は失われていない。
「イギリスの円卓の騎士団も日本の防衛局の人間にも調べて貰ったが、分からずじまいだ」
「円卓の騎士団でも分からねぇのか?」
「ええ、専門家が居る訳では無いからね」
「俺達は⋯⋯と、言うよりも世界は無知なままだな」
「えぇ、世界中誰もが得体の知れない力を恐れ、それを支配したがる」




