神の如き強者(アザゼル)九
沖縄は日本人なら、誰もが攻撃力を高める魔法をメインにすると皆が認識している場所であり、日本人なら、魔法の攻撃力、強化魔法等を学べる場所として、専門学校までも存在している。
そんな沖縄に転移魔法で二人の男女が姿を現す。
金髪でスーツ姿のギャルの見た目をしたその女は山田朝香。首切り朝香と呼ばれるに相応しい程に彼女が切った首は両手で数える事など出来ない程に多く、防衛局の任務や防衛局の裏切り者の首切りを務める人物である。
そんな首切り朝香の隣に居る男はそれ以上の存在だろう。白髪と黒髪が入り混じり、奇抜なヘアーカラーのその男は黒白院正志。
日本の元御三家でもあった黒白院の当主を務めていた男であり、橘家との抗争で敗北するまでは日本防衛局の局長でもあったが、敗北後は御三家、局長の座を全て橘家に奪われる形となった。だが、実力は本物であり、数十年に渡り日本を守り抜いた事実がこの男の力の現れとも言えるだろう。
「デュラークの魔力量と転移魔法に長けていない事からインターバルが必要ですよね?」
朝香は未だに来ない廉、デュラークの姿が無いことから、確認を含めて、黒白院へ尋ねる。
「数十分はここで待機だね」
黒白院はおもむろに地面を見つめる。少しの違和感を感じたからだ。この地面は異常に柔らかい。
そして黒白院の目に映る光景が偽りの無いものであれば、自身が立つこの場所は地面と呼べるものではない。普通の地面に皮膚に浮かび上がる血管の様な模様が存在するだろうが、黒白院は直ぐ様、観察をやめ行動を開始する。
「山田!地面を斬れ!」
朝香は何のためらいも無く、常に装備している剣へと手を伸ばし、鞘からその刀身を抜く。何故、地面の切断を言われたのか、分からぬまま朝香は手にした剣を地面へと振るう。
振るった剣が地面へと接触して朝香も理解した。
(この感触は)
首切り朝香とまで呼ばれる朝香にとっては切った地面の感触があまりにも酷似していた。
それは、人を斬る感覚に近い。いや、朝香は確信してきた今斬ったのは地面でなく、肉塊であると
「出血している?」
地面を斬り終えた朝香は切断箇所から大量の出血に戸惑いを隠せなかった。
「大した出血ではない。もう塞がっている」
戸惑う朝香とは対象的に黒白院は冷静を地面の修復を観察していた。
「幻覚で無いことからまず、魔法では無いだろう」
黒白院は修復された肉塊の地面を手で触れながら、確信していた。その発言に朝香も同調する様に頷く。




