表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神はケモノに×される  作者: あおうま
第一章 ながすぎるアバン
44/303

第四十四話 神は通う

 

◆◆◆

 

 ……なんであんなイジワルすゅの?

 辰峯(たつみね)さんに引っ張られて、もがきながら離れていく巳継(みつぎ)さんを見送りながら、私は落ち込んでいた。

 せっかく巳継さんが誘ってくれて、それも委員長だからとか同情でとかじゃなく、純粋に私と仲良くなるために誘ってくれたんだって喜んでたのに……。

 それなのに巳継さんは意地悪ばっか言うし、ほかの子の連絡先を知ってるとか自慢してくるしぃ……しどいよ!

 そりゃたしかにさ?

 私がLINEで友だち登録してるのはお母さんと、あとクーポンもらえるからって最近登録したコンビニだけだけどさ?

 私の中じゃ連絡先を交換したらおともだちだと思うから、そういう意味だったら、私にはお母さんとコンビニしか友だちいないけどさ!

 私だって、もっとみんなと連絡先とか交換したいのにぃ……。

 誰も交換してくれないんだもん。しかたないじゃんかよぅ!

 やってる最中にはいろいろ落ち込むこともあったけど、それでも一応、柔軟はちゃんとやり終えたから。

 柔らかくほぐれた身体でノロノロと立ち上がって、クラスメイトがつくっていた列の最後尾に並んだ。

 遠く体育館の隅では、辰峯さんと巳継さんが仲良さそうに柔軟してるのが見えた。

 いいなぁ。仲良さそう。

 二人とも私とペアを組んだときと違って、ワイワイしてるしぃ……うぎぎ。

 辰峯さんと巳継さんのことを羨ましがりながらじーっと眺めたせいか。

 自分の順番が回ってきたときには足元がおろそかになっており、前転するはずだったのに、マットの端に足を引っ掛けて盛大に転んでしまった。

 恥ずかしい……。

 みんなに心配されてしまったよぅ。見ないでぇ。

 あっ、でもみんなが話しかけてくれたのは嬉しいよぅ……。

 そんなこんなの紆余曲折を経て、その日の体育の授業は踏んだり蹴ったりな結果に終わったのだった。

 

◇◇◇

 

 なんか心身共にめちゃんこ疲れた学校での一日を終えて。

 体育の時以外には誰かと交流することもなく、あいも変わらず一人ぼっちで迎えた寂しい放課後。

 今の私に必要なのは、癒しとご褒美である。

 部活に励む青春少女たちを横目に校門を抜けた私が向かったのは、いまの私の巣である学生寮ではなく、最近よく通っているお気に入りの場所だった。

 学校と学生寮はわりと近いから、通学時間はゆっくり歩いても十数分くらいなのだけど。

 ちょっと遠回りしたところに一件だけある、そのお店。

 そう。私の数少ないおともだちのコンビニエンスストアですな!

 ずっと憧れてたコンビニに、このあいだ勇気を出して入店してみたところ見事にハマってしまった。

 だって今まで入ったことなかったし。

 引きこもりだった中学生の時はもちろんのこと。まだ外界との接触を持っていた小学生の時でさえ利用したことはなかったので、マジで人生初のコンビニだった。

 マジでなんでも売ってるんだもん。コンビニ大好き。住みたい。ちょう便利。

 どうせ放課後にやることなんて特にないし、初めて利用した日から、ちょいちょいご利用いたしているわけである。

 今日も元気にウィーンと自動ドアが私のことをもてなしてくれて、さらには「いらっしゃいませー」と店員さんまで歓迎してくれている。

 あ、ども……今日も来ちゃいました。ウェヘヘ。

 こんなんで満たされる承認欲求もどうかと思うけど、入店した時の『いらっしゃいませ』とレジ終わりの『ありがとうございました』が、今の私にとって唯一の必要とされてる感を満たしてくれる癒しなんだもん。

 さてと……今日は何を買おうかとワクワクしながら、ひとまずコンビニの中を二周くらいしてみる。

 お母さんからお小遣いは貰っているけど、欲望に任せて何でもかんでも買っていいわけじゃないし、買うものは吟味しないといけない。

 だから私はコンビニに来た時、必要な文房具とか日用品以外では、一個だけ好きなものを買っていいというルールを定めたのである。

 私ほどの理性の塊ともなれば、ちゃんと自制も我慢も出来るし、自分にそんな制約を課して遵守することだってできちゃうのだ。

 ……あとまぁ、引きこもり生活を始めた頃。通販という便利なシステムを知ったせいで、加減を知らずにアホみたいに注文してしまったことがあったんだけど、お母さんにも当然バレちゃって。

 そん時にしこたま教育された経験も、ほんのちょっとは活きているかもしれない。

 『アンタは欲望にめっぽう弱いから、ちゃんと考えてお金を使え』などという、すんごい酷いことを口酸っぱく言われながら、ケチンボママから育てられたからね。お母さんの小言がよぉ活きとる。

 まぁそんな苦い思い出はさておいて。

 いま一番重要なのが、今日もひとりで頑張った自分へのご褒美に何を選ぶかという問題である。

 もし選択を誤れば、その失態を取り返すために、明日もまたコンビニに来ないといけないんだもん。

 困ったなぁ……明日も来よ。

 さてとさてと、今日はなに買おう?

 私も女子高生になったんだし、やっぱそれ相応のものを選ぶべきだよね!

 女子高生と言ったらやっぱ……ファッション雑誌とか、コスメコーナーのなんかキラキラしたやつとか。

 あとなんたらスムージーとか、かんたらスイーツとか。

 悩んで、悩んで、メチャクチャ悩んで。

 いくつもある候補の中から、泣く泣く優劣を決めていって……。

 よし、決めた!

 私はその日、グミとアイスを買って寮に帰ったのだった。

「ありがとうございました―」

 あい!

 また明日!

 

◇◇◇

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ