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神はケモノに×される  作者: あおうま
第二章 ようやくはじまったナニカ
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第一四八話 卯と瓢箪と駒

 

◇◇◇

 

 入り口でコソッと店内を覗き込むと、レジで買い物をしはじめた神さんの後ろ姿が見えた。

 このお店はさっきまわった雑貨屋の中のひとつだったし。

 やっぱなにか気になったものでもあったのかなぁとか、別に遠慮せずに一緒に買いに戻ればよかったのにーとか。

 お店の外で待ちながらもそんなことを考えてるうちに。

「ふぅ……わっ! う、卯月さん……なんでここに」

 いつのまにか買い物を済ませた神さんがお店から出てきてて。

 ウチは入り口のすぐそばにいたから、当然のごとく見つかっちゃったわけである。

「急に神さん走り出したし、さすがにほっとけなくて……なんかごめんね」

「い、いえ……」

 ウチをモールの入り口に置いてまでこのお店へ買い物に来たわけだし、やっぱ秘密で買いたいものがあったんだろう。

 それなのに後を尾けてきちゃったわけで、なんか気まずい雰囲気がウチらの間に流れてしまった。

「えっと、なんか買い忘れかな? もう大丈夫?」

「は、はい……ごめんなさい」

 さっきまで和気あいあいな感じで買い物を楽しんでいたはずだったのに。

 こんな微妙な雰囲気になるなら、変に不審に思わないで大人しく入り口んところで待っておけば良かったかな?

 いやでも、あんな変な様子の神さんをほっとくとか流石に出来ないし……。

 すでに起こってしまった事は気にしても仕方ないので、気まずい空気を何とかするために盛り上げようと思って。

 なんか適当な話題でも振ろうと神さんにチラと目を向けると。

 コッチ見てた神さんと目が合って、その瞬間に思いっきり顔を逸らされてしまった。

 えぇ〜……もしかして怒ってる?

 いやでも一瞬見えた神さんの顔は不機嫌そうな感じでもなかったし。うぅむ。

 ちょっと傷つく反応されちゃったせいで、振ろうと思っていた軽口もなんか躊躇してしまって。

 ウチの顔をチラチラ見てくるのに、目が合うとその度に視線を逸らしてしまう、そんな神さんとの間に流れる気まずさを引き連れながら。

 神さんとのショッピングモールでのお買い物は終わりをむかえて、ウチらは帰るためにバス停に向かったのだった。

 

◇◇◇

 

 停留所に着いてバスに乗る頃には、微妙な空気も少しは払拭できるっしょって思いたかったんだけど。

 ウチがいくつか話題を振っても、神さんの反応にはぎこちなさがまだ残っていて。

 返ってくる言葉もどこか空返事な気がする。

 だけどやっぱり怒ってるって感じでもなくて、神さんはさっきからバツが悪そうっていうか、なんか不自然にソワソワしていた。

 でもさ?

 尾行したのはウチが悪いけど、アレそんな失敗だったかなぁ。

 神さんがなに買ってたのか知らないけど、それがエッチな本とかだったんならまだわかるよ?

 でも神さんが買い物してたのただの雑貨屋じゃんか。

「ふぅ……」

 神さんには聞こえないように小さく息をついて、窓の外をボンヤリと眺めると。

 いくつもの雨粒に覆われたガラスに反射して、ウチのことを見つめる神さんが映っていた。

 ガラスの中の神さんは、そっぽを向いてしまったウチの様子が気になるのか少し前のめりになりながら。

 ギュッと口を結んでたり、何か言おうと少し口を開いたりってのを繰り返している。

 その手にはいつの間にか紙袋を握っていて、その紙袋には見覚えがあった。

 だって最後に神さんが買い物をしてお店を出てきた時に持っていたものだから。

 その時はウチの目から隠すようにすぐにカバンにしまっちゃっんだけど。

 ウチも流石にそこまでにぶくないし、なんとなく神さんのしたいことが予測できてしまった。

 そりゃウチの希望的な願いもかなりこもってはいるんだろうけれど、たぶん予想は当たっていると思う。

 ガラスに映る自分の口元はいつの間にかニヤケていて、神さんにバレないように必死で表情を取り繕った。

 さっきまでの少し拗ねていた気持ちは消えちゃって、自分のそんな現金さでさらに笑いそうになる。

 頑張ってニヤけてしまわないように耐えながら。

 もしかしたらウチの予想も見当違いで、数分後にはガッカリしてるなんて未来は一切考えないまま。

 ガラスの向こうで勇気を出そうとしている、と思いたい神さんを心の中で応援しながら待っていると……。

「あ、あの、卯月さん。これ……」

 きたー!

 その時のウチが振り向いた速度は異常な速さだったんだろう。

 神さんビクってしてたし。ごめんね?

「うん! なに!?」

「ふぇっ? あ、あのこれ……良ければもらって欲しくて……」

「いいの!?」

 ちょっとガチでアレだけど、過剰すぎるウチの反応はメッチャキモかったかもしれない。

 けど嬉しいものは嬉しいのだからしょうがないじゃん。

 だってさ?

 コレはきっと神さんがウチのために用意してくれたサプライズってやつで。

「開けていい!?」

「は、はい……あの、スタバで奢っていただいたり、いろいろなこと教えていただいたお礼なんですけど……」

 受け取った紙袋を開くと、中には可愛いウサギの白とピンクのキーホルダーがひとつずつ入っていて。

 このプレゼントは神さんがウチに喜んでほしいって、きっとそう思って、選んで買ってくれたものだから。

「あの、でも……い、いらなかったら、あの、その……」

 感動してすぐには言葉が出せなかったウチの反応をどう思ったのか。

 神さんはアセアセと慌てながら、不安そうに悲しいことを言っていたけれど。

「すごい可愛い……メッチャ嬉しい!」

 ウチは素直な感情を声と表情に乗せて伝えることができたと思う。

 その想いはちゃんと伝わってくれたのか、神さんも安心したように顔を綻ばせていた。

「これ二個あるけど、どっちも貰っていいの?」

「あ、いや……あの、うぅ……はい」

 なんか微妙な反応なんだけど大丈夫?

 ウチが手に持ってたキーホルダーをチラチラと見つめながら、何かを言いたげな神さんだったけれど。

 たぶんそのもどかしそうな様子も、こうすれば解決するでしょ?

「はい。んじゃこっちは神さんにあげる」

「えっ……い、いいんですか?」

「うん! お揃いでいいじゃん!」

 ほら、やっぱり。

 手渡したウサギのキーホルダーは、神さんをニッコリ笑顔にしてくれて。

 そんな最高に可愛く笑った神さんのおかげでウチもメッチャ満足できて。

 ウチと神さんの初めてのお出かけは、なんともまぁなかなかの大成功をおさめながら。

 その幕を下ろすことができたんじゃなかろうかってね。ピース。

 

◇◇◇

 

 そんな在りし日の記憶をふと思い出しながら。

 ついうっかりでシャーペンのことを口走っちゃったのは失敗だっただろうかと、ウチは反省していた。

 なんか幼馴染だなんだとか大袈裟なこと言って、亥埜さんったらマウント取ってくるくらいだしさ?

 たぶん前日にウチと神さんがデートしてたことも知らんだろうし。

「いや、たまたま神さんに聞いてね? シャーペンのこと」

「あ、あぁそう。もう神さん、二人だけの秘密でいいのに……」

 やかましいわ。

 あ、いやいや。いけないいけない。

 神さんのこと想いながら蕩けた顔した亥埜さん見てたらついイラッとしてしまった。

 せっかくウチの優しさでシャーペンのことも誤魔化してあげたんに、イラっとして毒吐いたらその気遣いも無駄になってしまう。

「お揃いでしょ? いいじゃん」

「まぁね! 私と神さんの仲だったら、お揃いの物もつのも遅すぎたくらいだけど!」

 あぁ……とっとと掃除を終わらせよ。

 このままマウント取られ続けて黙ってるのは、なんかすごいストレス溜まりそう。

 表面上はニコニコ笑顔を取り繕いながら、あと半分ほど残っている床掃除をさっさと終わらせるべく。

 なんとか最後まで『優しい卯月ちゃん』であろうと、黙ってモップがけを再開したウチの背中に。

「卯月さんは……まぁ、まだまだだもんね? 神さんとはあんまり、だもんね? ごめんね?」

 この浮かれポンチ女が調子のりながらね?

 そんなド腐れ煽り文句を飛ばしてきたもんだからさ。

「……ウチも神さんとおそろのキーホルダー持ってるけどね? しかも亥埜さんより前に! ごめんね!」

 ついついそう言い返してしまったのだった。

 亥埜さんは当分信じようとはしなかったけども。

 掃除が終わったあと、更衣室で部屋の鍵につけてたキーホルダーを見せてあげたら泣きながら悔しがっていた。

 いや、そんな悔しがることないでしょ。

 あとそもそも、神さんも部屋の鍵につけてくれてるキーホルダーを普通に把握しててさ。

 ウチがコレだよって見せただけで、すぐに察してんのもストーカーレベル高くてちょっと引くし。

 それと最後に。

 優しいままでいようとしたウチを煽ってきた亥埜さんが悪いんだからさ。

 泣かしちゃったのはゴメンだけど、ぶっちゃけザマァである。ウチ悪くない。

 

◆◆◆

 

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ギャル(ママ)の格が凄い…さては最強キャラか…?
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