海岸沿いの街ラグーン2
夜会から帰ってきてから、フィロスに、マドレーヌ夫人から聞いたこの国サハラの民が考えるランドールや魔術師像について伝えた。
「私も、ラグーン領主に聞いてみたが、魔術師は避けられているので。という程度。そこまで詳しくは聞けなかった。そこが男性と女性の違いなのだろうな。」
「わたくしは、魔力は無限の可能性を秘めているから、魔術師になるのが、とてもうれしかったのだけれど。…魔力を持たない他国の民の気持ちは、全く考えようともしないで。良くないことよね。」
「ソフィア…。」
軽く首をふり、フィロスに向かって微笑む。
「大丈夫よ。フィロス。わたくし、この国につれてきてもらえて、本当に良かった、と思ってるの。ランドール、というよりも、サピエンツィアという狭い魔術師の世界しか知らなかったわたくしが、世界を今、知ろうとしている。…その世界は決して、楽しいばかりではなかったけれど、でも、知らないよりも、わたくしは幸せだと、思うわ。」
「…せっかくの、新婚旅行なのに、嫌な話を聞いてもらって、すまない。」
「とんでもないわ。フィロス。もとは、わたくしが原因だし。むしろ、あなたに嫌な思いばかりさせて、負担かけて、わたくしこそ、ごめんなさい。」
「私は君がそばにいるだけで、幸せだから、負担なんて感じてない。」
「…あなたは、やさしすぎるのよ、フィロス。」
フィロスを見上げてキスする。
この人がいるから、あんな話を聞いても落ち込まないで、落ち着いていられる。
「わたくし、あなたと結婚できて、幸せだわ…」
ささやけば、フィロスの顔が少し赤くなる。そして微笑み、抱き上げる。
「疲れただろう?もう、休もう?」
私はフィロスの首に手をまわして、胸に頭を預ける。