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魔術師の国3


 8家は魔術師の国をサピエンツィアの山々の向こうに建設する仕事だけではなく、ランドールの政治経済の舞台から魔術師を下ろしていく準備で多忙を極めた。


 たとえば、銀行。

国立銀行の資産のほぼ8割は魔術師達が持っている。

当たり前だ。貴族階級なのだから。

だから、国立銀行から資産を引き上げたら、銀行は破産してしまう。

でも、魔術師の国に引っ越す者達の資産はどうしても持っていかなければならない。

ランドールには、国立銀行以外にも小規模だがいくつかの銀行があったため、王命でそれらの銀行を統合し1つの銀行にまとめられた。

そして、国立銀行の魔術以外の国民の資産をその銀行に移し、その銀行が新しく国立銀行と名乗る。

魔術師の資産はすべてそっくり、魔術師の国へ持っていく。

魔術師の資産は、ランドール国の経済を支えていたけれど、それを王家は軽視した。

そのため、ランドール国は魔術師達が居なくなった後、急激に経済が悪化するが、それは後日の話。


 ほかにも、インフラ。

街灯をはじめ、各家庭には魔石で灯る魔道具の照明が普及している。これも魔術師がいなくなれば、魔石に魔力が籠められないので使えなくなる。

影響が非常に大きかったため、国王がこの問題を解決するまで、魔術師の国が独立することを認めないと言ってきた。

そのため、魔術庁の魔道具の研究部門が連日、徹夜で、魔石を使わない照明の研究に明け暮れる。

魔術庁の魔術師は優秀な人が多い。

だから、地中に埋まっている「ガス」を使って、火を灯す方法を見つけ出した。

街の中にガス管を通すような仕事は魔術師にとってはたやすい。

わずか数年で、首都ランズの大通りにはガス管が張り巡らされ、魔道具の照明はガス灯に替えられた。

ガス灯に変われば、定期的な魔石の交換が要らなくなる。だから、国民は大喜びしている。


 国防も、引継ぎが大変だった。

魔術師団が王国騎士団に火の薬を公開し、それをうまく使え。と諭し、作り方、使い方を教え込んだ。

その上で、魔術師団が今まで受けていた魔獣の討伐を王国騎士団にやらせるように仕事を分け振っていった。

国王も、将軍たちに今までのように魔術師の後方支援が受けられなくなることを念頭に兵士を鍛えるように命令を出し、魔術師がいなくなることをまだ知らされていない一般兵士たちが急に訓練が厳しくなった、と嘆く声が聞こえるようになる。




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