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1.もう一人の白き魔女 ※R15


『白き魔女の伴侶となる者、この世界の(ことわり)を知る者であり、この世界の守護者である。白き魔女の恩恵を受けし伴侶は世界の覇者となろう』


この国の古い言い伝えである。そして、この言い伝えを信じる者は、誰もいなかった。

今までは………






「おぉぉぉ、そなたが奇跡を起こした娘か⁈

『さきよみの力』とは、あの伝承は本当であったな!名はなんと申す?」


「グレイスと申します」


目の前の脂ぎった顔にタプタプのお腹の豚のような男に嫌悪を抱くが仕方ない。この男が私の養父となり、この男から私を解放させる為に攻略対象のイケメン達が動くのだから、我慢するしかない。


「そうかそうかグレイスと申すか。

そなたは今日からドンファン伯爵家の娘として生きるのだ。お前の望む物は何でも用意してやろう。

宝石でも綺麗なドレスでも」


ドンファン伯爵が私に近づき、欲望を滲ませた目で検分する。嫌悪感で背筋が凍るが我慢だ。


「たしか白き魔女は純潔でなければならないのであったな。惜しいことよのぉ~

ピンクブロンドの髪にエメラルド色の瞳、白き魔女でなければ可愛がってやれるものを。

まぁ、純潔であればよいのだから………」


「………ひっ‼︎」


背後から羽交い締めにされ首筋を舐められる。


「まぁ、そう怯えるでない。

何も取って喰おうと思っておるのではない。

わしはなぁ。綺麗な人形同士が睦合っておるのを見たいのだよ。お前の好みの男を選べばよい。

『白き魔女』が狂う姿はさぞかし美しいであろうなぁ~」


ドンファン伯爵の合図で入って来た男達に傅かれ手を取られベットへ促される。

右を見ても左を見ても超がつく程のイケメン揃いに自然と笑みが溢れる。


「そなたも気にいったようであるな。楽しむがよい」


伯爵の言葉を合図に麗しい男達が私にむしゃぶりつき、与えられる快楽にいつしかドンファン伯爵が椅子に座り私の痴態を余す事なく見つめている事も気にならなくなった。


………はぁぁ………


ドンファン伯爵家に入る事も悪くなかったみたいね………


私は快楽に流されながら思考を過去へと飛ばした。






私の名はグレイス。

貧しい農村に生まれ、せせこましい両親と愛想のない兄に囲まれて育った。

貧しい農村では、働き手の男達は街に出稼ぎに出ている事が多く、村に残っているのは女、子供に年寄りばかりだった。


あの日も村に残っていたのは、女、子供に年寄りのみ。そんな村は盗賊の格好の標的になった。

しかし、この村が盗賊に襲われる事はなく、その夜盗賊団は一網打尽となる。


町の憲兵団にもたらされた情報こそ、正確な日時が記された盗賊団の次の標的場所だった。


以前から盗賊団の足取りをリークする情報が届けられていたが真意を疑っていた団長は、あの日誰もいない村に本当に現れた盗賊に度肝を抜かれた。

こんな貧しい農村に盗賊団が現れるなんてまず考えられない。この村には何かあると考えた団長が、情報を探るとある噂に行き着いた。


この村には『さきよみの力』を持つ娘がいると。




私は前世でプレイしていた乙女ゲーム『囚われの白き魔女は蜜夜に溺れる』の序盤のシーンを思い出していた。

何回も何回も繰り返しやったゲーム。


最推しは、白き魔女を必死に護るキース様だったけど、攻略対象全員に愛されるハーレムエンドも良いわよねぇ………


私は四方から伸ばされる悪戯な手や舌に翻弄されながらそんなことを考えていた。


まさか大好きな乙女ゲームの世界のヒロインに転生するとは思わなかった。


私が前世の記憶を思い出したのは、村が盗賊に襲われる数年前、直ぐに大好きだったあのゲームの世界だと気づき、行動を開始した。


ゲームの記憶を頼りに村で起こる事件や災害をあたかも予知したかの様に振る舞えばあっという間にゲームのシナリオ通り『白き魔女』が復活したと村中に広まった。そして予定通り盗賊団に村が襲われると憲兵団にリークし、本当に盗賊団が捕まれば町にもあっと言う間に私の噂は広まる事となり、今日めでたくドンファン伯爵家に連れて来られ養女となった訳だ。


全てシナリオ通り。


ドンファン伯爵の性癖が予想外だったが、これは嬉しい誤算だ。後は、16歳で迎える社交界デビューで攻略対象者達と出会いイベントをこなして行けば私の人生は最高のモノとなる。


大好きな乙女ゲームの世界に転生出来るなんて幸せだわぁ~


社交界デビューまであと1年。

このイケメン揃いのハーレムを堪能しつつ、ドンファン伯爵を手玉に取るのも楽しそうね~


私は前世のナンバーワンキャバ嬢だった頃を思い出し、ほくそ笑む。


あの頃も私を取り合い争う男達を翻弄するのが楽しかった。まぁ、今世の様にイケメン揃いとはいかなかったけれど。


攻略対象者達が私に溺れ、争うの………


そんな未来を想像し悦に浸りながら、与えられる激しい快楽に身を任せ絶頂を迎えた。


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