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その少年は、竜の少女に恋をする  作者: 滝岡尚素
第三部 精霊都市へ
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旅の目的

 現在。

 そろそろ夕刻にさしかかり、薄暗くなってきた川べりで四人の男女が引き続き立ち尽くしていた。


 「とにかく、野営の準備だな」

 サンタクララ、自分の荷物を背中から下ろし、てきぱきとテントを立て始める。

 「じゃあ私達も」

 それを見て、他の三人も準備を始める。







 やがて日は暮れて。

 この辺りは魔獣が多いようだが、小型の獣ばかりらしく人間のパーティが襲われるようなことはないようだった。



 四人は夕食後、焚き火を囲んで話をしていた。

 「俺はもう長いこと旅をしているんだ」


 「へえ。どの位?」とガウ。

 「そうだなあ。もう二十年になるかな」

 その言葉で三人が一斉に目を()いた。



 「ええ? あなた、ずいぶん若く見えるわよ」

 「そうよそうよ。いくら何でも計算が合わなくない?」

 当のサンタクララは涼しい顔だ。



 「見た目が若いのが唯一の取り柄なんだよ」

 にこりと微笑む。



 だが、目尻にも皺はないし、肌の艶から言っても四十代などには見えない。きっと相当若い頃から旅をしているんだろうな、とウードは納得することにした。



 「にしても、ドワーフなんて、初めて見たよ」

 「えへへ。そうでしょ」

 どこか得意そうなレンカ。



 「まあ、ドワーフは色々あったんですけど、これからは多分、あちこちで見ることになると思いますよ」

 「そりゃ楽しみだ。ドワーフの技術が広まれば世界は良くなるだろうからな」

 サンタクララはそう言ってマグカップからスープを(すす)る。



 「お前さん達は?」

 「僕達はちょっと事情があって、カナーティから出てきたんです」

 「ええ? カナーティだって? ってことはもう何ヶ月も旅してきたんだな」

 「ええ、まあ」

 ウードは笑って答える。竜化したガウに(くわ)えられて一気にここまで来たんです、とは言えない。



 「で? 何の目的で旅をしてるんだ」

 サンタクララの質問に即答できない二人。


 ――どこか落ち着ける場所を探しているんです。

 それはウードにとっての正解。


 ――ガウにとっての正解は?

 ウードはちらりと隣に座るガウを見た。

 彼女は眼を伏せ、マグカップの縁をなぞりながら考え込んでいた。



 焚火の木が()ぜる。




 「私達はね、居場所を探しているの」

 「居場所?」

 ええ。私達がありのままで暮らせる場所を探しているの――ガウは真剣な表情でサンタクララを見返す。



 「あたしはね、世界を見て回ることが目的です!」

 レンカ、幾分はしゃいだ声で答えた。

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