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その少年は、竜の少女に恋をする  作者: 滝岡尚素
第三部 精霊都市へ
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ハイレン

三部開始です。

やっと書き終わりました。

どうぞ宜しくお願い致します。

 サティルナスを出て二十日(はつか)余り。

 ウード、ガウ、レンカの三人は東に向かっている。


 そろそろ春も終わりが近く、連日暖かな日が続いている。

 三人、誰も馬に乗れないため基本的に徒歩だが、乗り合い馬車(オムニバス)も積極的に利用しながらの道行きだ。


 幾つかの小さな町では宿にも泊まり、きちんとベッドで眠った。路銀(ろぎん)はセラー、レナディナが持たせてくれた分がかなりあるため困らない。ただ、大金を持ち歩いているので常に足元がふわふわするような感覚をウードは味わっている。


 ウードは父親(リンクス)のことも気にかけていた。が、今のところ消息を知らせるような情報は皆無だった。


 新しい町に入る(たび)に酒場などでそれとなく聞き込んではみるのだが、流石に王国随一の魔導師、リンクス・フォルトッドの名とはいえこんな北の外れにまでは届いていないようだった。



 「精霊都市(せいれいとし)?」

 「うん。回復魔法の真髄が学べるんだって」

 サティルナスから旅立ったあの日、レンカはウード、ガウにそう教えた。



 「勿論、二人に他に行く所がなければ、でいいんだけどね」

 何でも、レンカは父親のセラーに聞いたことがあるのだそうだ――ここからずっと東に行くと、大きな川を挟んだ先に精霊都市があって、そこに住む種族は強大な回復魔法を使えるらしい――と。



 ガウが王国の兵士、ナヨリ・エフロンから受けた背中の傷を一瞬で癒やしたレンカの回復魔法は既に一定以上のレベルだと思われたが、彼女は、

 「もっと素早く回復させられるように鍛えたい」

 と言う。



 「や、何て言うか」

 ガウは、そんな彼女の顔を見て訳知り顔だ。



 「真面目よね、レンカって」

 え、そうかな? ――頭を掻くレンカにガウは、そうよ、とても真面目よあなた。と、深く頷きながら呟いた。






 正直、二人はリンクスのことやゼルスタン王国の動向は気になるところだったが、かと言って手掛かりのない状況で下手に動くと向こうに気取(けど)られてしまうかも知れない。それでなくともガウは最後の竜ということでゼルスタン(おうこく)に追われている身だ。



 大っぴらに大都市などで行動するよりも、そう言う街の方が動き易いかも知れない――少なくともウードはそう考えた。



 ために今、三人は東の外れを目指している。

 東の果て、大河を渡った先にあるという都市、『ハイレン』を。











 世界にはあらゆる場所に魔力が漂っていて、魔法使い達はその力を集中させ、操り、攻撃や回復、補助などに用いる。


 魔力は大気中に含まれている為、人々は常時その力に(さら)されている。そして、魔力の流れ――魔流(まりゅう)にはむら(・・)がある。


 世界の様々な地域で魔力の濃度は一定でなく、濃い土地と薄い土地にはっきりと分かれている。



 魔力の特に濃い土地には自然と人が集まり、街が作られた。そういった街では高い魔力を背景に、様々な研究開発が行われているようだった。



 人々は濃い魔力の中で、幻とも蜃気楼(しんきろう)ともつかないような、存在の不確かな『何か』を見ることがあるらしい。まるで妖精のような――精霊のような。



 いつの頃からか、異常魔流によって魔力が特に濃い(ばしょ)を人々はこう呼ぶようになった。

 精霊都市、と。

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