表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その少年は、竜の少女に恋をする  作者: 滝岡尚素
第二部 話者と剣士
62/250

売られた喧嘩

 昼寝をしていた二人は騒がしさで目を覚ました。

 昼間でも吸音魔法の効果なのか居住区は割と静かなのだが、今は尋常ならざる程の怒号が遠くから聞こえて来ていた。


 身支度もそこそこに二人が騒がしさに向かうと、商業区大通りの広場に黒山の人集(ひとだか)りができていた。




 『見えてる? ウード』

 最近、内緒話は竜語でするようになっている二人。



 ドワーフ達より背の高いウードとガウ。彼らの頭越しに見えたのは、鎧を着込んだ兵士達が数人のドワーフと睨み合っている光景だった。その中に、入国時にウードとガウを審査したラベントがいた。



 『人間の兵隊、だよね』

 『ええ、そのようね』

 声に僅かな怒気(どき)をはらんでいるガウ。人間の兵隊(かれら)は多分、ガウがこの世で大嫌いなものの一つだろう。



 「お前等では話しにならん! ドワーフの(おさ)を呼べっ」

 怒鳴り声を張り上げる男。ゼルスタン共通語だ。



 見ると、男は上等そうな鎧を着て兵士達の最前列に立っていた。



 ――二本?

 ウードは男が同じ長さの剣を腰の両側に帯びているのに気づいた。盾は持っていないようだ。



 『二刀流ね、あいつ』

 ガウが、ウードと同じように男を見ていた。



 「まず、儂らで話を聞くと言っているだろうが」

 ドワーフは男の前で堂々と腕を組み仁王立ちだ。



 「ええい、この……」

 (らち)の開かなさに苛立ったのか、男が剣の(つか)に手を掛けた。



 「い、いけません! エフロン様っ」

 真後ろにいた兵士が慌てて彼を押しとどめる。


 と、控えていたドワーフ達も武器に手を置いている。



 一触即発。



 両者睨み合いになった。



 「私は王の(めい)を受けているんだぞっ、恐れ入ってさっさと――」

 族長に会わせろ、言い募るエフロンに。




 「幾ら王国(ゼルスタン)からの使者とは言え頭ごなしにそのようなことは認められん。まずは儂らが――」



 ドワーフの言い終わらないうちに。







 エフロンの抜いた剣が、ドワーフの鼻先に突きつけられていた。






 「――これは、どういうつもりかな?」

 切っ先を睨みつけ、ドワーフが問う。



 「さあ、どういうことかな?」

 すっかり目の据わったエフロン。



 「――おい、ラベント」

 「はっ」

 ラベントがそのドワーフに剣を渡す。

 幅広の長剣(ロングソード)だった。ウードはてっきり斧なのかと思ったが、(それ)では相手の間合いに勝てないと判断したのかもしれない。



 「()いだろう。相手になろうじゃないか」

 剣を構えるドワーフ。



 わあっ、と周囲から歓声が上がる。


 ――この人はいつもこうだ……。

 諦めたように、エフロンの背後の兵士達は彼らと距離を取るべく後退する。






 『僕たちも下がろう』

 ウードはガウの手を引く。

 取り巻きのドワーフも後退。



 広場の真ん中で、エフロン、ドワーフが剣を構えて睨み合う。




 「改めて名を聞こうか、使者殿(どの)

 「俺はナヨリ・エフロン。取り敢えずお前を斬り捨てて、後ろの奴らが言うことを聞くようにしてやる」



 「そうか、儂はハリヤ。やれるものなら――やってみるが良い!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ