サティルナス――到着
ウードが階段を下り、ある程度進んだところで上でハッチが閉まり、地上からの明かりが途絶えた。ただ、前もって点灯していたライトのおかげで視界は良好だ。松明よりはいくらか明るいライトが、二人を照らしている
「深いね」自分の声が大きく響いて、ウードは驚く。
そうね、とガウは振り返らずに答える。
壁にも足元の階段にも埃は少なく、ここが常時使用されていることを想起させる。
「昔来た時は、こんなに明るくなかったわ」
松明の明かりでどうにか降りたのよ、とガウ。それにしても、ドアを自動で開閉したり、壁のライトにしても、どうやって動かしているのだろう。魔法力でないことはウードにもわかる。魔法が働く時に現れる、場の歪みのようなものを感じなかった。つまりこれらは、科学的な力によるものだと思われた。
――高い技術力を持つもの。
それがドワーフなのだと言うことを、ウードは改めて実感した。
「つ、着いたー」
どのくらい下ったのだろう。同じ風景にいい加減酔いそうになった頃、二人の前に扉が現れた。
小さな白い門だった。幅は一人が通るには十分だが、二人となると狭い。
「これも自動?」ウードがガウに質問する
――いや、どうだったかなぁ。
そもそも、こんなものあったっけ? 取り敢えずガウは門の真ん中に手を伸ばす。観音開きのように、押せば開くように見えたからだ。
ぴたり、とガウは門の表面に触れる。
金属だった。材質は不明だがひんやりとした感触が掌に伝わる。
ぴぴぴっ。
「わっ」
慌てて手を引っ込めるガウ。
『ようこそ、サティルナスの街へ』
謎の声。ウードは驚いたように自分の耳に触れる。彼の瞳がいっしゅん緑に輝き、またすぐ元の色に戻る。
――門が、喋った? いや、それよりも、今……?
その驚きも冷めやらぬうち、音を立てながら門が内側にゆっくりと開いていった。




