束の間
――?
ガウは自分が見知らぬ浴槽につかっていることに気付いた。
いつの間に服は脱いだのか、ここには誰が運んだのか。
――私は……。
だんだんと思考がはっきりしてくる。確か、ウードの家かも知れない場所を見つけて、鍵が開いていたから中に入って。
そこで身体が冷え切ってしまい、完全に動けなくなった。
――誰かが……。
浴室の外から声がした。
「ガウ、着替えここに置いておくからね」
それだけ言って出て行く声の主。
――ウード?
途端にガウは全て思い出す。では、ウードが風呂に入れてくれたのか、ガウは納得する。
――あぁ……。
ふつふつと血が温められていく。同時に、身体中にいつもの感覚、力が満ちていくのを感じた。
とにかく、ウードに会えた。
そのことがガウを落ち着かせ、何とも言えない気持ちで満たしていく。
ガウは身体がよく温まったのを見計らって浴室を出た。
リビングに行くと、ウードが夕食を作って待っていた。肉料理が中心で、後は温かなスープ、パン。
「食べられる?」
向かい側の椅子に座ったウードが心配そうにガウに問いかけた。彼女はバスローブに袖を通し、濡れた髪を頭に巻いたタオルで固定していた。
ウードは小ざっぱしりとした灰色のシャツを着ていた。
「大丈夫じゃ」
椅子に座るなりガウは食べ始める。安心してお腹が空いたのか、いつもより食べるペースも早い。
その様子をじっと見守るウード。
「な、なんじゃ」
「いや、何でもないよ」
にっこりとするウード。
――君に危険が及んでいなくて、本当に良かった。
今頃は森に王の馬車が入っており、家も見つけられているだろう。けれど、こことつながる接点はないはず、とウードは考え――。
「ああっ!」
「だ、だから何じゃっ」
あっという間に食事を平らげたガウがウードの声にびっくりして少しむせた。
――絵だ。
確か、サインを……。
――大変だ。
立ち上がるウード。
「ガウ、悪いけど」
彼女の手を取る。
「今すぐここを出よう」




