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その少年は、竜の少女に恋をする  作者: 滝岡尚素
第一部 世界と戦う前に
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束の間

 ――?

 ガウは自分が見知らぬ浴槽につかっていることに気付いた。

 いつの間に服は脱いだのか、ここには誰が運んだのか。


 ――私は……。

 だんだんと思考がはっきりしてくる。確か、ウードの家かも知れない場所を見つけて、鍵が開いていたから中に入って。


 そこで身体が冷え切ってしまい、完全に動けなくなった。

 ――誰かが……。


 浴室の外から声がした。

 「ガウ、着替えここに置いておくからね」


 それだけ言って出て行く声の主。

 ――ウード?


 途端にガウは全て思い出す。では、ウードが風呂に入れてくれたのか、ガウは納得する。

 ――あぁ……。

 ふつふつと血が温められていく。同時に、身体中にいつもの感覚、力が満ちていくのを感じた。

 とにかく、ウードに会えた。

 そのことがガウを落ち着かせ、何とも言えない気持ちで満たしていく。

 ガウは身体がよく温まったのを見計らって浴室を出た。









 リビングに行くと、ウードが夕食を作って待っていた。肉料理が中心で、後は温かなスープ、パン。

 「食べられる?」

 向かい側の椅子に座ったウードが心配そうにガウに問いかけた。彼女はバスローブに袖を通し、濡れた髪を頭に巻いたタオルで固定していた。

 ウードは小ざっぱしりとした灰色のシャツを着ていた。


 「大丈夫じゃ」

 椅子に座るなりガウは食べ始める。安心してお腹が()いたのか、いつもより食べるペースも早い。

 その様子をじっと見守るウード。

 「な、なんじゃ」

 「いや、何でもないよ」

 にっこりとするウード。

 ――君に危険が及んでいなくて、本当に良かった。


 今頃は森に王の馬車が入っており、家も見つけられているだろう。けれど、こことつながる接点はないはず、とウードは考え――。

 「ああっ!」

 「だ、だから何じゃっ」

 あっという間に食事を平らげたガウがウードの声にびっくりして少しむせた。




 ――絵だ。

 確か、サインを……。

 ――大変だ。

 立ち上がるウード。



 「ガウ、悪いけど」

 彼女の手を取る。

 「今すぐここを出よう」

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