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その少年は、竜の少女に恋をする  作者: 滝岡尚素
第四部 南方騒擾
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混乱の後に

 「サルク殿」

 テトはオーガの(おさ)に笑いかけた。

 サルクは隣に立つテトに、軽く頭を下げる。


 会釈するオーガの肩を叩き、にこりとするテト。

 「全く、お互いに死ななくて良かったな」


 「兵士長――私は」

 何か言いかけるサルクを、テトは押し留める。



 「とにかく我々は戦わずに済んだ、それで良いじゃないか」

 と、そこへ複数の騎馬がテトの元にやって来る。



 「どうか」

 (テト)が声を掛けると全員降馬し、彼の前にひれ伏す。





 「は。我らで全部隊、(くま)無く見て参りました」

 兵士等は軍勢の被害状況を確認していたようだ。




 それによれば砲弾の直撃を受け、不幸にして亡くなった者が数百名。

 そして、攻竜兵器にやられて身体を()かれた者が二万名以上。中にはマルフォント王以下、致命傷を負った者も多くいた。だが、それらは――。





 「ぜ、全員だと? 全員、回復したというのか」

 「は」

 そこのお方によって、と兵士達はレンカを指した。

 どうやらレンカの魔法は本陣だけでなく、外で負傷し倒れたままだった兵士達をも、全て癒したようだ。



 ――こんな、お若い娘さんが?

 当のレンカは不意に注目を浴び、耐えきれずサンタクララの後ろに身を隠す。



 ――いや、よく、見れば。

 テトは改めて彼らを確認する。



 ――魔導師のリンクス様に、元近衛(このえ)兵長のマルドゥム殿まで。

 マルドゥムは兵士長と目が合うと、目だけで挨拶する。



 ――それに、エフロンと、あれはクラスト・テトルアンではないか。

 何度か戦場でその姿を見た。戦斧(バトルアックス)を振りかざし、何人もの敵を一度でなぎ倒す勇猛な姿を。



 ――そして、リンクス殿のご子息。

 先程の兵士を鎮めるため使った数多(あまた)の言語。



 凄まじい治癒魔法を放ったドワーフの――レンカと言ったか――娘。



 ――加えて、竜の少女。

 「あなたたちは、どういう――」




 「まあ、色々あって、今は、国を作ろうと思っています」

 ウードが屈託のない笑顔で答える。




 「ならぬ!」

 どこかで声が響く。



 全員が振り返った先。

 「そんな勝手が通ると思うてか!」

 ゼルスタン王国、国王マルフォント・マナがそこにいた。

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