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装備

「今、モンテ様の事を褒めてくれたじゃないですか。」


「まぁな。...さぁっ!それじゃあ早速依頼を受けてみるか!冒険者ランクをFランクに上げるには簡単な依頼を五回こなせば良い。スタートは早い方が良いだろう?ただ、その前に装備を整えなきゃな。そんなヒラヒラした格好で冒険者を名乗る訳にもいかねぇ。よし、ちょっと待ってろ。」


 マークさんは早口で捲し立てると、勢いよく立ち上がってそそくさと部屋から出ていってしまった。


 うーん、何か逃げられたような。

 まぁいいや。魔物を討伐する為には冒険者ランクをあげる必要がある。

 それなら、早く依頼をこなしていった方が良い。

 焦らず、確実にを大事にしつつね。


 マークさんとの話を終え一息ついた私は、ふと部屋のなかを見回す。

 机の上には紙が積んである。

 紙って凄い貴重な物だったけど、ここでは普通に使われているのかな。

 壁際にあるのは、あれは本棚かな?

 村長の家で見た事がある。

 どうやらここはマークさんの仕事部屋だったようだ。


 ふと、目線を上へと向ける。

 マークさんが座っていた椅子の背後の壁に、薄黄色の綺麗な紙が貼ってある。

 紙には何やら文字が書かれているようだ。


 ええと、なんて書いてあるんだろう?


 グランハイト王国公認 パレッタギルドマスター Aランク冒険者 マーク・リチャードソン


 えぇえ!Aランク冒険者!

 あれっ!Aっていうと、上から数えて...二番目?

 それって、かなり凄いんじゃないかな。


 私がギルドマスターの証明書を見て驚いていると、大荷物を抱えたマークさんが戻ってきた。


「ふぅ、お待たせ。これが基本装備一式だ。まずは...」


「マークさんって、Aランク冒険者なんですか!」


 私は大きな声でマークさんの話を遮った。


「えっ、ああ。どうして知って...ってそれか。まぁ、昔は現役だったがな。今は椅子と机とペンが基本装備で目の前の書類をひたすら退治しているよ。」


「でもっ、強いんですよね!今度手合わせを」


「あー、あー、いいんだよ俺の事は。まずは自分の事、だろ?」


 今度はマークさんに私の話を遮られてしまった。


 マークさんも少し嫌そうな顔をしているし、あまり自分の事については触れられたくないのかなぁ。

 ここは素直に謝っておこう。


「あぁ、えぇと。すいません。」


「おう、まぁいいや。そんで、装備の説明をするぞ、まずここにあるのがブーツとストッキングとレギンスとコルセットにジャケット。ストッキング以外は全部レッドボアのなめし革で作られた初心者御用達の装備だ。後は鉄製のショートソードとガントレット、レッドボア皮のポーチ、採取用ナイフと採掘用の小型ピッケルだ。」


 えっと、この赤いのがブーツとジャケットで、黒いのがレギンスとコルセットでいいのかな?

 ショートソードは分かるけど、この黒いガントレットっていうのは、形からすると腕に付けるのかな?

 うーん...


「...マークさん...その...着方がわからないです。」


「...マジかよ...」


「ネクト村にはこんな服、無かったんで。」


「あぁ、わかった。じゃあ、ちょっと待ってろ。ジョーン!おい!ジョーン!もう来てるだろ。」


 マークさんが声を張り上げると、一人の女性が部屋へと入ってきた。


「朝一番から大声で呼ばないで下さい、ギルドマスター。っと、そちらの方は?」


「あぁ、ジョーン、済まないな。いや実はな...」


 マークさんはジョーンと呼んだ女性に事の次第を説明する。

 ジョーンさんの服もマークさんと同じでピシッと整った印象を受ける。

 肌が白く、切れ長の三白眼が特徴的な美人さんだ。

 その綺麗な目元なのだが、何やら変わったものを付けている。

 丸く加工されたガラスが眼球の前で留まるように細い鉄で固定されている。

 この世界のオシャレなのかな?でも前が見づらく無いのかな?

 気になる...。


「...わかりました。ギルドマスター。...あら、私の顔に何か付いてますか?」


「あっ!いや、その...」


 どうやらジョーンさんの顔に付いている物が気になって、じっと見つめてしまっていたようだ。


「その、ジョーンさんで大丈夫ですか?」


「ああ、自己紹介がまだでしたね。私はジョーン・ウィケツキーと申します。ここ、パレッタの冒険者ギルドで受付業務を担当させて頂いてます。どうぞ、気軽にジョーンと呼んでください。」


 ジョーンさんはニコリと笑った。

 少し怖そうな印象だったけど、笑った顔は優しくて...

 う、美しい。


「はっ、初めまして。ネクト村のシャキラです。よろしくお願いします。」


「ええ、よろしく。それで、装備の着方がわからないのでしたね。私が教えますので安心してください。と、他にも足りないものがありそうですね。取ってまいりますので少々お待ち下さい。ギルドマスターも一度退出をお願いします。」


「あぁ、わかった。」


 二人が出てから暫くすると、今度はジョーンさんだけが水の入った桶と布を何枚か持って部屋へと入ってきた。


「お待たせしました。シャキラさん。ところで、シャキラさんの住んでいたネクト村ではパンティやブラジャーをつける習慣はありましたか?」


「...パンティとブラジャーって、何です?」


「わかりました。大丈夫です。...まぁ、この二つはギルドマスターには用意できないので、とりあえず私のを何セットか差し上げましょう。では、始めましょうか。」


「ありがとうございます。よろしくお願いします。」


 私は返事をした。が。

 何故だろう。

 ジョーンさんの目がギラギラしている気がする。

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