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僕にもわかんない

『大丈夫だよ。もし僕でよければ相談のるよ』


表示された言葉を押すしかなかった。これしか表示されなかった。


「ほんとに?!ありがと!」


冴島が云うには西野の様子が最近おかしいってことだった。


「LINEの返信も遅くて。既読もついてるのに。」


「冴島さんは西野のこと、どう思ってるの?」

予測変換で『冴島』と簡単に出てくることに腹が立つ。何度もスマホのメモ機能で告白のセリフを書いていたから仕方ない。


「トオルのこと・・・。うーん、わかんない」


「わかんないってどういうこと?」

既読がついてから5分経って返信が来た。

「好きって何なのかな・・・」

この幼馴染みの2人は、どうしてこんなにも拗れてしまってるのだろう。“幼なじみ故に”ってことか。


「僕にもわかんないや。」


「桐島くんは好きな人いる?」


ピコンピコンッッ


『いないよ』


送信して机の上にスマホを伏せる。おでこに貼ったガーゼに手を当てる。

「まだ痛む。痛い、痛いよ・・・」


********


今日、西野と話そう。今すぐに謝ろう。悶々としても仕方が無い。

練習後に水道で顔を洗う西野を見つけるなり、僕は駆け足で向かって謝った。

「西野、ごめん!!」

「え、どうした?」と西野は少し困った表情を浮かべる。

「送ってもらったのにお礼言えてないし、それにさ・・・」

「そんなこと気にしてたんか?」西野は笑った。

「桐島に失礼なこと言ってごめんな。悪かった。」

西野は「まだ痛むか?」とおでこのガーゼを指して心配そうに言う。

西野は優しい。その優しさに敵う者はいない。


「俺、ずっと考えてたんだ」

「なにを?」

「リノのことどう思ってるかってこと。」

西野はあの後からずっと考えてたらしい。真面目なやつだ。

「幼なじみから変わらない気がするんだよなー」と言った。


「西野、ちょっと来いー」

監督に呼ばれて西野は「はい!」と返事をして手荷物を日陰に置く。

顧問の元へ駆ける西野の背中に向かって、「後悔しても知らねえよ?」っと叫ぶ。

「えっ?」と一瞬振り向いた西野に、表情がバレないように足早に去る。

巻き上げられた砂が砂埃となり広がってく。

生まれ変わるなら西野になりたいとつくづく思った。


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