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集団転移!ーギルドメンバーごと転移したLvカンスト竜騎士-  作者: 倉秋
仲間探しの旅編ーセラエーノとコンドアの街ー
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96話

エリサやシス、フィナが増えたカテドラル内のギルド拠点は賑わっていた。

いつでも女性の声が響く、賑わいを見せていた。

トーマが留守の間は八霧(やぎり)が代理のリーダーとして拠点を纏めている、のだが。


元々参謀役が板についていた事もあり表立ってリーダーを務めるというのは、

八霧にとってはほぼ初めての事で。


(これは、結構大変だな)


拠点の維持に必要な金銭の管理や、メンバー全員へのケアや会議への出席。

前者は半分は神威(かむい)に任せているから負担は少ない。

後者も、問題児と呼べる人物がいないのでそこまで大変ではないし、

会議内容も初めから決まっているようなものなので対処もしやすいけど。


総合して見ると、かなりの仕事量だ。

これをトーマさんはラティリーズの護衛の隙間にやっていたのかと思う八霧。


「やっぱり、すごいね」


そう一言呟きながら、今月の拠点維持費の計上をリルフェアに報告しに行った。


リルフェアさんはいつも通り部屋で紅茶を飲みながら眼鏡をかけて本を読んでいた。

本のタイトルは『メグワーナの恋』・・・ああ、僕が直した本の一つだ。

確か、長編恋愛小説だったはずだけど。


「あら、八霧君?」


「こんにちは、リルフェアさん。

 拠点維持のための経費が計算できましたので提出に来ました」


「そうなの?じゃあ、そこに置いて頂戴」


机の上を指差すリルフェアさん。

確認しなくていいのだろうか?

予算の計上だ、確認しないと色々まずいのでは?


「いいんですか、不正に計上してるかもしれませんよ?」


「そんなことする男には見えないわよ、貴方は」


くすくすと笑いながら、本に目を落とすリルフェアさん。


「・・・信頼されるのは、嫌な気にはならないですけど。

 一応、目は通してくださいね、リルフェアさん」


「ええ、分かったわ」


――――――――――――――――――――


予算の計上が一応終わったので、拠点に戻りながら次の事を考える。

次は、イグニスさんと警備体制の会議だ。


僕は警備任務に就いているわけではないけど、トーマさんの代理として出ている。

こっちの情報もそこそこ手に入るし、出席する価値はある。


会議室に到着すると、既に複数の聖堂騎士達が椅子に座っていた。


「おお、八霧殿」


「どうも」


従者と言うのは、そこまで位の高い役職ではないみたいだけど。

御前試合準優勝者という肩書は伊達ではないみたいで、

扱い的には騎士とほぼ同等という感じがする。


「実はイグニス殿が風邪を引かれましてな。

 今回は私『オットン』が代理の会議長として―――」


髭を生やした老年の男性、オットンが会議を進めていく。


現在の状況に、警備の増員。

そして、近くバルク国から使者が来るとの報告もあった。


「バルクからの使者は数年ぶりだ、粗相が無いようにな」


「オットン殿、粗相とは?」


若い聖堂騎士の男性がそう返す。


「バルクとは、現在は和平を結んでいる。

 しかし、いつその和平を破るかも分からぬ連中だ。

 下手に刺激して、戦争にならぬようにしろ、そう言っただけだ」


「なるほど・・・そうですか」


「特にバルクを指揮するティアマ女王はリルフェア様の実の妹。

 その力は強大で、恐るべき魔法を使うと聞く」


リルフェアさんの妹がバルクを治めているとは前に聞いていたけど。

オットンさんの口ぶりからするに、途轍もない力を持っていそうだ。


(・・・厄介な人そうだ)


敵対すれば、確実に僕達と争う事になりそうだ。

なんだが、そう予感めいたものを感じる。


「要するに変なことはするなという事だ。

 ・・・まあ、使者に変なことをする聖堂騎士はいないと思うがな」


オットンさんは話をそう締めると、警備のローテーションを決め始めた。


――――――――――――――――――――


「ふぅ・・・これで一段落かな」


拠点に戻る道すがら、そう呟く。

細かいことは色々残っているけど、それは拠点で片が付くことだ。


「あ、八霧さん!」


「メルちゃん?どうしたの、こんな所で」


食堂の前を通り過ぎた時だ。

エリサの義妹?のメルが僕を見つけてこっちに駆け寄ってきた。


「お姉ちゃんの手伝いしてたんだ!」


「へぇ・・・そうなんだ」


エリサは良く、食堂の手伝いをしている。

食堂に努めるコックからもその働きぶりは好評らしい。


「そうそう、八霧さん。

 実は食堂で足りなくなってる食材があるんだって」


「足りない?」


カテドラルには大量の物資が入ってくる。

それでも、足りなくなることなんてあるのだろうか?


「コンドアの街特産の、茸の塩漬けが足りないんだって」


「特産品か」


なるほど、それなら足りないというのも頷けるな。

いくら物資があったって、その街でしか出来ないのなら足りなくもなる。


「それでね、おつかいしてくれる人を探しているんだって!」


「へぇ、そうなんだ」


コンドアの街って、確かトーマさんの行った場所に近かったはず。

そう考えると、かなり遠いな・・・。


「往復だけで1週間以上かかる計算か・・・おつかいと言う距離じゃないな」


と言うよりも、経費が下りるとは思えない。

距離が距離だし、そんな食材だけで人が動くとは。


「あ、八霧くん」


「エリサ」


エプロンを着たエリサが厨房から出てきた。


「お姉ちゃん」


「メル、手伝いの途中で出て行くのは駄目よ」


「はーい」


とたとたと、厨房に戻っていくメル。


「エリサ、おつかいの話を聞いたんだけどどういう事?

 食材が足りないというだけで、あんな距離を移動させるのは・・・」


「ああ、それなんだけど」


エリサが軽く説明してくれる。


なんでも、1か月後に開催される貴族会の料理にどうしても使う食材らしい。

しかも、今回の貴族会には他国からの出席者もいるという事。

腕によりをかけて作りたいという意向もあり、予算は下りるそうだ。


「なるほど、そういうことか」


「だけど、行ってくれる人が見つからないの。

 結構な距離を移動することにもなるし、道中も危険があるし」


確かに、東側は首都のある西側に比べると荒れている。

前領主であったゴルムの管理が悪いとも言えるけど。


「ねえ八霧くん、誰か行かせられないかな?」


「メンバーから?」


「うん、安心して任せられるし」


そう言われ、考える。

候補に挙がるとすれば、オリビア、シス、フィナ。

神威は拠点の整備と管理で忙しいし、僕も離れるわけにはいかない。

エリサも、ここに来たばかりだし遠征させるのは気が引ける。


「量はそこまで多くないんだよね?」


「うん、一人居れば十分かな」


そうなると、オリビアが適任だろう。

一人で行動出来るし、有事にも対応できる。


「分かった、相談してみるよ」


「ありがとう、八霧くん」


エリサはそう言うと、微笑んだ。

その顔に一瞬ドキッとした。


――――――――――――――――――――


拠点に戻ると、オリビアとシス、フィナが編み物をしていた。

その隣では神威がドール用の服を仕立てていた。


「神威、相談があるんだけど」


「?」


「オリビアを借りたいんだけど、大丈夫?」


「借りる?・・・変なことするの?」


「変な?」


首を傾げる僕。

変なことってなんだ?


「あの、マスター・・・変と言われましても様々なものがあります。

 主体性が無いと八霧様が困ると思いますが・・・」


「エッチなことするの?」


今度はどストレートにボールを投げた。


「し、しないよ!!エリサがいるのにする訳ないじゃないか!」


「冗談、八霧顔真っ赤」


指摘されて顔を触る。

確かに、顔は火照っていた。


「エリサ、幸せ者」


「はあ・・・もう、それで、借りても大丈夫?」


「説明次第」


おつかいの事を簡単に説明する。


「なるほど、食材が足りない・・・と」


「うん、オリビアにお願いできないかな?」


オリビアを見る神威。


「大丈夫?」


「ええ、特に難しくはないかと。

 シス、フィナ・・・私がいない間はマスターを守るのよ」


「はい、お姉ちゃん」

「了解です、お姉ちゃん」


双子は同時に頷いた。

その様子を満足気に、オリビアは見ていた。

読んで下さり、ありがとうございました。

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