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集団転移!ーギルドメンバーごと転移したLvカンスト竜騎士-  作者: 倉秋
仲間探しの旅編ーセラエーノとコンドアの街ー
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95話

敵の撃破も確認せずに勝ったと喜ぶ。

これ程危険な状況はない。


やった、と思っても大抵はやれてないことが多い。

特に正体不明の奴と一戦交える時は。


「な、なんだと・・・無傷!?」


「悪いか?」


正直、神威が適当に唱えた魔法の方が強いだろう。

鎧の表面には焦げ跡が付いているが、ダメージは特にない。


「爺さん、実戦経験が豊富そうなあんたなら、この状況がどうなのか分かるよな?」


「・・・」


苦虫を噛み潰したように表情をゆがめる老人。


「目の前の敵はわしの最大級の魔法でも倒せなかった。

 部下もろくに攻撃が出来ない状況・・・か」


麻痺して、地面に倒れている部下たちを見る老人。


「負けじゃ、バンドック」


「何!?」


「負けと言った、それともお主が奴を倒せるとでも?」


「・・・」


俺をちらりと見ると、バンドックは剣を引き抜いた。


「なら、やってや―――」


引き抜いた剣を目掛けてナイフを投げた。

剣の刀身にナイフが当たると、その衝撃でバンドックが剣を手放してしまった。


「どうした?」


「貴様・・・!卑怯な!」


「準備する前に叩く、当たり前のことだ。

 お前達もそうしたんだろう?こんなボウガンなんか大量に用意して」


陣地の端にある、大量に積まれたボウガンと矢を見る。


「正々堂々戦ってるのなら俺も手出しはしなかったさ。

 だが卑怯打ちをするのなら、俺は容赦しない」


「っち」


舌打ちをするとバンドックは近くに立てかけた槍を握った。


「こいつ―――」


その刃先を俺に向けようとした瞬間に、槍の先端近くを押さえた。


「いつの間に距離を詰めやがった!?」


力を籠めて、槍を引き抜こうとしたが俺の方が力が強い。

槍はびくともしなかった。


「くそ!」


そのままの姿勢で俺を蹴るが、力の入らない格好での蹴りは大したことが無い。

ただ、履いているズボンにブーツの土が付くだけだ。


「ほら」


槍から手を離すと、転ぶバンドック。

力を籠めたままだったので、その場に転んだみたいだな。


「ちぃ・・・!貴族の俺をこうもコケに・・・!!」


「バンドック、もう諦めた方がいい。

 実力差は圧倒的じゃ、これ以上は見苦しい―――」


「うるせぇ!!冒険者如きに騎士団が負けたとなれば、家に顔向けでき―――」


俺の蹴りが、バンドックの身体を捉えていた。


「がひゅ―――!」


情けない声を上げて、バンドックはその場に倒れた。

白目を剥いて、地面に倒れているバンドックを見る。


「お前も苦労するな、爺さん」


「うむ・・・給金がいいと言うだけで、仕える先を選ぶべきではないの」


老人はそう呟くと、部下たちの介抱を始めた。


団長が倒れたという報告を聞いた炎の剣の会メンバーは、

フランベルジュ同盟の包囲を止め、気絶した団長を担いで街に帰っていった。


「助かったぞ、旅の方」


体中に折れたボウガンの矢を生やした団長らしき男がそう話しかけてきた。


「いや、あいつらが俺達に仕掛けたに近い、自衛のために戦ったまでだ」


流れ弾とは言え、御者と言う被害者が出たんだ。

やり返さないと気が済まなかったし、何より他の被害者を増やしたくは無かった。


「しかし、団長・・・まさか、道に近い場所で襲って来るとは」


「ああ、完全に油断した」


「何があったんだ?」


俺がそう聞くと、セルジュと先ほど名乗った男が口を開いた。


「我々はこの町はずれの平原で訓練をしていたのですが―――」


簡単に、状況を説明してくれるセルジュ。

なるほど。


「じゃあ、訓練中にいちゃもんを付けられて否応なしに戦ったと」


「本来ならボウガンを使うのはご法度のはずなんですがね」


騎士同士の決闘に、遠距離武器は不要だろう。

決闘とはそういうものだし、使うのだったらただの殺し合いだ。


「戦場の沙汰だな、今回は」


「ええ、だから助かりました。

 我々はこの通り小規模ですし、装備も」


見れば、騎士達の着ている鎧はボロボロで、修繕を繰り返したような跡が残っている。

見てくれは悪いが、物を大事にする精神がその鎧からは見て取れた。


「ん?ああ、この鎧が気になるか?」


団長と呼ばれたゴドウィン、だったか。

その人物が自分の鎧を親指で指さしていた。


「悪いな、フランベルジュ同盟は歴史ある『貧乏』な騎士団なんだ」


「お陰で鎧はボロボロ、剣は研ぎすぎて細くなるし」


「相手は新品同様の鎧と剣を持っていたが?」


あのバンドックと言う男の剣と鎧は傷も付いていない新品だった。


「ああ、炎の剣の会の団長はこの辺で有名な貴族の一人息子なんだ。

 故に、スポンサーと言う奴が付いている」


なるほど、資金が潤沢なのか。


しかし・・・戦った理由が、紋様が似ているという理由か。


「器量が小さい団長なんだな、炎の剣は」


「む・・・はは、一般人からもそう見えるか。

 貴族主義だか何だか知らないが、騎士は一般人でも貴族でも平等。

 騎士の役目を果たすのに、出自は関係ない・・・そうだろう?」


ゴドウィンが他の団員にそう語り掛けると、全員が強く頷いた。


「ここにいる奴らは皆、貧民や一般人。

 中には没落した貴族の出の奴もいる。

 炎の剣の会は出自を重視するらしいが、俺等は来る者は拒まん」


そうか。

そう言われれば、騎士団と言うよりは傭兵団に見える。

装備の色もバラバラだし、胸に入った紋様以外に一致性はない。


「だが、騎士としての誇りは捨ててない。

 この紋様に賭けて、俺達はそう誓っているんだ」


「立派な心掛けだな」


「大したことじゃない」


ゴドウィンは照れたのか、俺から目線を外した。

立派と言われて嬉しかったのだろう。


「しかし・・・あなたは凄いな、たった一人で魔法使い達を倒してしまうとは」


「適正な距離にいない魔法使いの相手は想像以上に簡単だぞ」


「あの『コンドアの炎』もいたはず、どうやって勝ったのですか?」


セルジュが目を輝かせてそう言う。

コンドアの炎?

ああ、あの爺さんがそう言われていたな。


「『コンドアの炎』こと、ドドル氏はファイアーボールの使い手。

 騎士にとっては防ぎようのない相手だが・・・?」


全く効かなかった、と言っても半信半疑で見られそうだな。

竜騎士と名乗れば一発で理解されるだろうが・・・。

流石にこの数相手にばらす気にはなれない。


ここは、嘘をついておくか。


「鎧の後ろに魔法防御用の細工をしておいたんだ。

 ご自慢のファイアーボールが全く効かなかったんだ、

 相当ショックを受けただろうさ」


「なるほど、ショックを受けている間に魔法使い達を倒したと。

 戦略的には道理に適っている・・・だが、君は本当にただの冒険者か?」


「Eランクのな」


そう言って、首に下げている飾りをわざとらしく触った。

ゴドウィンは訝し気に俺を見ていたが。


「まあ、助けられたのは我々だ、恩人を疑うのは騎士道に反する、か」


そういうと、俺の目の前に立ち手を伸ばしてきた。

握手、か。


その手を、握り返す。


「助かったぞ、旅の方」


「困った時はお互い様だ、そうだろ?」


「ああ、そうだな。その考えに騎士も一般人も関係ないさ」


お互いに手をしっかりと握る。


「世話になった礼をしたい、コンドアの街にある詰め所まで来てもらえないか?」


「いや、遠慮しておく。コンドアには俺達も用があるからな」


「そうか、何か困りごとがあったら俺達を頼ってくれよ?」


ゴドウィンはそう言うと、団員を連れてコンドアの街へと向かっていった。

色々な騎士がいるようだ・・・向かっているコンドアの街と言うのは。



読んで下さり、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] ルールが明確に決められてるとかチャンバラゴッコならともかく普通の戦場で卑怯もクソもへったくれもないわな(笑)そんな戯言言うのは平和ボケしたボンクラだけだよ。
2022/01/13 20:23 退会済み
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