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集団転移!ーギルドメンバーごと転移したLvカンスト竜騎士-  作者: 倉秋
仲間探しの旅編ーセラエーノとコンドアの街ー
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94話

一度遠巻きに彼らを観察した。

どうやら、二つの騎士団がぶつかっているようだ。

しかし、紋様がよく似ている・・・紛らわしい程に。


「しかし、身内の戦いか」


リルフェアに教えてもらったが、騎士団と言うのは大きく分けて二つ。

聖堂騎士団のように完全に独立した騎士団と、複数の騎士団が連合を組んだ組織。

前者は一つの騎士団によって構成されたもの。

後者は複数騎士団からなる、グループを構成しているものらしい。


複数からなる聖槍騎士団や聖剣騎士団の場合、そのグループに所属するという証がある。

それが、紋様の2重の縁取りだ。

争い合っている二つの騎士団の縁取りは赤と黄色。

同じグループに所属している騎士団同士が戦っているという事だ。


(てっきり、別グループ同士の争いだと思ったんだが)


どうやら流れ弾は片方のグループのせいらしい。

それと言うのも、ボウガンを持っているのは片方のグループだけ。

しかも、対立するグループを囲む様に包囲していた。


「決闘には見えないな」


まるで戦争、殺し合いだ。

少なくとも対等な決闘ではない。


――――――――――――――――――――


「各員・・・っく!防御陣形を崩すな!!」


全方位からボウガンを射かけられフランベルジュ同盟団長であるゴドウィンは、

各騎士にそう命令を飛ばした。

騎士がひと塊になり盾を構えて全方位を防御している状態になっているが、

その盾の隙間を狙ってボウガンが射かけられる。

その為少しずつ、少しずつ団員の傷が増えていく。


「団長!このままだとジリ貧です!突撃しましょう!」


「セルジュ、若いなその考えは」


「え?」


盾で飛んでくるボウガンを防ぐゴドウィン。


「相手もそれを待っているんだ、炎の剣の会には魔法使いもいると聞く。

 俺達が突撃に転じたと同時に、魔法による攻撃が始まるだろうさ」


「何でそう言えるんです!?」


「攻撃が散漫すぎる、人数の割りに飛んでくるボウガンが少ないと思わないか?」


セルジュが敵を見渡す。

確かに、ボウガンを構えているのは約半数で、残りは俺達を傍観している。


「でも、どうして・・・」


魔法で一掃することが狙いなら、全員でボウガンを撃ってもいいはず。

むしろ、その方が効率がいいしこっちが焦れる可能性が高いだろう。


「突撃を警戒してるんだ、魔法も完璧じゃないからな」


「なるほど、斬り込んでくる可能性を考えて・・・?」


傍観している騎士達は、盾役。

その盾に阻まれた瞬間に・・・魔法が炸裂するという事か。


「ああ、出来るだけ少ない損害で―――っと!」


頭を狙ったボウガンを盾で弾くゴドウィン。


「だが、このままだとお前の言う通りジリ貧だ、突撃も視野に入れないとな!」


そう思い立ったゴドウィンだが。

次の瞬間には、その考えを改めた。


炎の剣の会、主力がいる場所。

つまり、バンドックが陣取っている場所で魔法が炸裂する音と、悲鳴が広がった。


「なんだ!?」


――――――――――――――――――――


「バンドック団長!後方から敵襲―――」


バンドックの隣で片膝をついていた伝令の身体が吹き飛んだ。

遠くから投げられた、騎士の身体に衝突して。


「何が起こった・・・?」


騎士の飛んできた方向を向くバンドック。

その先には、一人の男が立っていた。


「俺達の乗っていた馬車の御者にボウガンを撃ったのはお前等か?」


「貴様、誰だ!」


「名前は聞かない方がいい、立場がかなり悪くなるぞ」


「何だと・・・?」


竜騎士を襲ったと口外されたらまずいことになるのはこいつらだ。

俺も竜騎士がどれだけこの国で神聖化されているのかは分かっているつもりだ。


「団長、恐らく冒険者かと。あの首飾りは冒険者を表すものです」


バンドックの隣にいた騎士がそう囁く。


「冒険者だと?ふん!低俗で野蛮と知られる冒険者か」


「偏見は視野を狭めるぞ」


ピクリと眉が動くバンドック。

反論されたことにイラついたようだ。


「殺せ・・・!貴族であるこの俺を侮辱したこいつを!」


俺を指差すと、バンドックは唾を吐き散らしながらそう言った。

おお、怒ってるな。


「しかし、冒険者とは言え一般人・・・迂闊に手を出すと―――」


「魔法部隊!」


隣の男の制止も聞かず、バンドックは陣の後ろに控えていた、

魔法使い達に命令を飛ばす。


「この無礼者を殺せ」


「団長!」


副官らしき男が止めるも空しく。

陣の奥からローブを羽織った集団が現れた。


魔法使い達のリーダーらしき、白いひげを生やした老人は、

俺をちらりと見ると魔法の詠唱を始めた。


「やれやれ・・・」


魔法使いは5人。

普段なら、詠唱を待たずに攻撃を仕掛けるが。


前面にしか魔法使いがいない。


そうだな、今回は自分の魔法で自滅してもらおう。

盾を魔法防御力の高い、鏡の盾に切り替える。


目の前に立つ老人の持つ杖が光る。

魔法の詠唱が完了した証拠だ。

しかし、隠さないのか?

いつ仕掛けてくるか丸わかりだぞ。


老人の構える杖が揺れる。

仕掛けてくるな。


そう思った直後に、老人の前に火球が現れる。


「『火球(ファイアーボール)』」


予想通りだ。

その火球を俺目掛けて放つが。

既に反射する準備は整えてあった。


盾で真正面からファイアーボールを受け止める。

反射先は・・・老人の後ろの男だ!


狙いを定めて、ボールをバットで打つように盾で弾き返した。


「!?」


盾で弾かれると思ってなかったのか、驚いた顔の老人の横をすり抜けるように飛んでいく火球。

狙い通り、雷系の魔法を詠唱していた後ろの男に直撃した。


「ぐぁぁ!!」


着ていたローブが燃え、詠唱途中で杖を手放してしまう男。


「しまった、逃げろ!!」


周りの魔法使いが燃え盛る彼から距離を取るが。

魔力の充填された杖が地面に接触する方が早かった。


杖が、カラン、と地面に落ちると同時に。

その杖を中心にした電撃が周囲に走る。


「きゃあぁ!」


「うおぉ!?」


痺れ、感電する魔法使い達。

その様子を俺はまじまじと見ていた。


(こっちの世界だと、詠唱失敗は中途半端に発動するのか)


EOSだと詠唱失敗時は魔法が詠唱できないだけだったが。

なるほど、これも戦略として使えるな。


現に、目の前の魔法部隊は機能しなくなっている。

魔法の暴発によって、リーダー以外は地面に倒れていた。


「く・・・魔法を盾で弾くとはな」


「勉強不足だな、爺さん」


燃えていた魔法使いの男の火が消えた。

ピクピクと体が動いている、生きているようだな。


「勉強不足か、なるほど・・・隠居している間に世界は変わったようじゃな」


再び杖を俺に向けるが、その顔には焦りが見えた。

だろうな、目の前の男は魔法を弾き返す。

どの魔法を使えばいいか、悩んでいるのだろう。


そして、彼の導き出した魔法は。


「『火球(ファイアーボール)』『連続魔法(チェイン)』!」


彼の周りに、大量の火球が浮かぶ。

質ではなく、数か。


「我が魔力の神髄・・・!!」


杖を振ると一度火球は扇状に広がり、そして。

俺目掛けて一斉に飛びかかってきた。


「騙し無し、全てファイアーボールか」


敢えて身体で受ける。

一発当たるごとに、爆炎と熱風が体を包む。


「おお!」


バンドックの声が響いた。

濛々と、俺のいた地点に立ち上る爆炎。


「はぁ・・・はぁ・・・!どうじゃ、ワシの本気は!」


息を切らせてそう叫ぶ老人。

額には汗が浮かび、相当の魔力を消費しているように見えた。


「流石は『コンドアの炎』、ファイアーボールを極めた男だ」


「褒めても何も出ないぞ、小僧」


小僧、という一言にバンドックは反応したが。

炎の剣の会の虎の子ともいえる魔法部隊、その虎の子に反論するほど馬鹿ではなかった。


「そう言う話は、撃破できたかどうか確認するまで取っておけ」


爆炎を手で振り払い、俺はそう一言言った。

端的に言えば、痛くも痒くも無かった。


「「何!?」」


老人とバンドックの声が重なった。

仲いいな、お前等。


読んで下さり、ありがとうございました。

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