表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/381

90話

俺達が食堂で食事を終え、拠点に戻ってみると。

5号と6号がお互いの手を握って拠点のソファーに座っていた。


「ん?」


「おかえり、トーマ様」

「おかえりなさい、トーマ様」


・・・こいつは、目覚めたか?

その様子を見た神威(かむい)が、二人に走り寄った。


「シス、フィナ・・・起きた」


「「はい、マスター」」


「双子みたいだな、まるで」


息もピッタリだ。

神威の言うところの、蓋が取れたのだろう・・・この二人も。


髪型も、シスが左のサイドテール、フィナが右のサイドテール。

むしろ、そうしないと分からないくらい似ている。

って、当たり前か、元々セニアもオリビアも同じ顔をモチーフにしてるんだからな。


「あ、あはは・・・いきなりだから、びっくりした」


「そうだね、エリサ」


八霧(やぎり)とエリサは顔を赤くしながら、そう言う。


「セニアの時は恐怖心、オリビアは妹と言うキーワード。

 そして今回は、なんだ?」


「二人が、じれったいって思って」


「口を出したいって、そう思ったら」


「「喋れた」」


・・・じれったい、ね。

二人を見る。

未だに顔が赤い二人。


「なるほど、それぞれ・・・感情の何かが高ぶると蓋が外れるのかもな」


正確にはドール自身が感情を持ち、それが一定以上に高まると・・・という感じか。

しかし、じれったいという気持ちで目覚めるものなのか?

よく、分からんな。


「ただいま戻りました、給仕の方を手伝っていたので遅くなりました」


オリビアも拠点に戻ってきた。


「「お姉ちゃん!」」


シスとフィナがオリビアの左右両方の腕に絡みついた。


「シス、フィナ?・・・そう、起きたのね」


目を細めて、嬉しそうに二人を見るオリビア。

その顔は、とても優しい目をしていた。


しばらくオリビアはシスとフィナと話していた。

するとエリサが俺に近づいてきた。


「ええと、トーマさん」


「なんだエリサ?」


「私、ここに残ります。その、八霧くんと」


ちらり、と八霧を見るエリサ。

八霧もその視線に気づいて頷いていた。


「そうか、分かった。手続きは俺がしておく。

 ・・・そう言えば、メルはまだ来ないのか?」


イグニスを追いかけて行ったが、まさか迷子になったか?


――――――――――――――――――――


その頃、メルはイグニスの後を追って、カテドラルを走っていた。

一度目を離した隙に、イグニスを見失って数分。


「イグニス様は何処!?というか、ここ何処?」


どこかの倉庫の前で、メルはキョロキョロと辺りを見渡していた。


「迷子」


今、自分が置かれている状況を簡潔に言ってみた。


「どうしよう、お姉ちゃんの場所も分からないし・・・」


不安が頭の中を覆う。

どうしようかと、あたふたしていた時だ。


「あれ、こんな所に女の子が?」


「え?」


振り向くと、私よりも背の高い男の子が立っていた。

軽装鎧でマントはつけていない。

聖堂騎士にも見えない。


「僕は聖堂騎士見習いのトリス。ええと、聖堂騎士の誰かの家族?」


家族ではない。

ついてきただけの一般人だし。

あ、そうだ、あの名前を言えば分かってもらえるかな。


「トーマっていう人に付いてきたんだけど、迷子になっちゃった」


「トーマ様に?ああ、それなら僕が案内するよ」


こうして、トリスとメルは初めて出会った。


――――――――――――――――――――


メルの事は気がかりだったが、まあカテドラルから勝手に出る事は出来ないし。

何かあれば俺の所まで連絡が来るだろう。

そう思いながら、目の前に並べられたカードを見ていた。


「マスターは不健康」


「運動するべき、です」


「太った・・・?」


そう言って、自分の腹のあたりをつまむ神威。

太ったというよりは、筋肉を付けろと言った方が正しいんじゃないか?


シスとフィナの得意技は占いらしく。

それを聞いたエリサが食らいつくように占いを頼んだ結果。

まずは神威から見るとの話だった。


「それに、好きなものだけ食べてる」


「栄養不足になる、要注意です」


「野菜は嫌い」


「神威、好き嫌いせずにきちんと食え、シスもフィナも心配していってるんだぞ」


「むぅ」


不服そうに口を噤む神威。


「次、八霧さん」


シスが八霧を見ると、手招きをする。


「ああ、うん」


机の対面の椅子に座る八霧。

その様子を見ると、机に並んだカードを回収し、切りなおしている。

そして、一枚づつ八霧の前に置いていく。

タロットカードに似ているが、見た事も無い絵柄だ。


「待ち人と出会う」


「運命の人と再会する」


おお、当たってる。

エリサがそうなら、だけどな。


「え?本当、かな?」


つい、エリサを見る八霧。

八霧の顔も、エリサの顔も赤くなっている。


「ただ、多少の受難あり」


「受難を越えた時、結ばれます」


受難・・・記憶喪失の事か?


「次は、オリビアお姉ちゃん」


「私?」


八霧の代わりに、オリビアが席に座った。

また、カードを回収すると切りなおして並べるシス。


「お姉ちゃんは、大怪我する可能性有り」


「身体は大事に、です」


「大怪我ね」


オリビアが大怪我?

Lvを考えると、余程の事が無いとオリビアは怪我をしなそうだが。


「気を付けるわ、ありがとう二人共」


二人の頭を撫でるオリビア。


「エリサさんは?」


「お願いします!」


ふんす、と息を巻くとオリビアの代わりに座るエリサ。

占って欲しがってたし、楽しみだったのだろう。


「・・・」


先ほどと同様にカードを切り直すシス。


「死のカードと守り手のカードが出てる」


「え?」


「死は貴方に起こる、そして守り手は・・・」


カードを切ると、シスは一枚引き抜いた。

そのカードには、錬金術師のような男が描かれていた。


「八霧さんみたい」


「僕?」


「うん・・・ただ、占いだから信じるも信じないも勝手」


「信じすぎて、自己を見失わないでね」


エリサは死ぬと聞かされて一瞬呆然としていたが。

ハッと気づくと、苦笑いを浮かべていた。


「さあ、最後はトーマさんだよ」


「俺か?俺はいい」


首を振る。

占いは余り信じない方だ。


「嫌?」

「駄目?」


目を潤ませるな、シスとフィナ。

そんな目をされると。


「・・・分かった、分かったよ」


渋々、席に座る。

その様子を見た二人はにっこりと笑っていた。

良い性格してるな・・・二人共。


カードを切り終わり、目の前に並べられていくカード。


「責任、神、守り手のカード」


「神様を守る?」


「・・・当たってるな」


ラティが神様だとしたらその通りだが。


「これでいいか?そろそろ、メルを探しておいた方がいいと思うんだが」


腰を上げてそう言う。


「そうですね、探しましょう!」


エリサもそう言ってくれた。


「メル?」


「ああ、こっちの世界の・・・そうだな、エリサの妹にあたるのか?」


「そう、ですね」


「そうなんだ、じゃあ僕も探すよ」


八霧も白衣を脱ぐと、服の煤を払った。


――――――――――――――――――――


「おかしい」


「うん、おかしい」


シスとフィナは並べられたカードを見ていた。

それには、統率者の描かれたカードと、竜が描かれたカードが重なっていた。

そしてその前には、死を示すカードが。


「竜騎士じゃない、竜」


「敵?」


「敵かも」


「じゃあ、統率者を殺そうとする、竜?」


「多分」


カードをもう一枚取り出す。

そこには、竜が描かれていた。

それを、統率者のカードの上に乗せる。


「竜が、統率する竜を、殺す?」


読んで下さり、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ