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83話

夜の道を歩く女性。

つばの広い帽子を深々と被り、赤い目をキョロキョロとさせて周りを警戒している。


「大丈夫かな・・・『スケ』、『カク』」


女性の傍を歩く、骸骨の二人組。

片方『スケ』と呼ばれた方はボロボロのローブを纏い、剣を腰に下げていた。


「大丈夫ですよ、ご主人」


「我々がいるので、ご安心を」


『カク』と呼ばれたスケルトンは力強く頷いた。

スケに比べて大柄な骨で構成された身体と、

全身を包む鉄の鎧が彼の力強さを際立てていた。


「と言うよりも、怯えすぎなんですよご主人。

 この一帯じゃ、ご主人以上に強い人なんていないですよ?」


「そうは言うけど・・・怖いものは怖いの」


夜中に、一人歩き。

護衛はつけてるけど、やっぱり夜は怖い。


「はぁ・・・アーセ村まであと数時間ぐらいですよ?

 それに、偉大な死霊術士(ネクロマンサー)が夜に怯えてどうするんですか」


「スケ、言い過ぎだぞ。主人も妙齢の女性だ。

 強いとはいえ、それに変わりはない」


「いやいや、カク。ご主人はそんじょそこらの魔物よりも強いんだぞ。

 そんな人が、夜に怯えてどうするんだって、俺は」


「そんなことだからモテないんだぞスケ」


「なぬ!?お前だって一緒だろうが!」


「骸骨だからな、我々は」


その二人の掛け合いを見て、笑う女性。


「ふふ・・・二人共、ありがとう」


「?」


顔を見合わせて、主人と呼ぶ女性を見る二人の骸骨。


「少し楽になった、さあ、先を急ぎましょう?」


「了解しました、ご主人」


「早く宿に泊まりたいものですな」


更に、歩みを進める一行。

すると、篝火を囲む男達が見えた。


男達も彼女らに気づき、松明を片手に近づく。


「ぬぉ!?スケルトン・・・!?」


スケとカクを見て驚く男達。

その男の面々は、ブルホーンだった。


「あれ、ガムリさん」


「って、アズさんじゃねえか!何やってんだこんなところで」


「護衛任務の帰りですけど」


村まで、女性を送る仕事の帰りの途中だ。


「ガムリ、丁度良い・・・彼女も仲間に引き入れよう」


「はぁ?」


「まあ、耳を貸せ」


汚いフードを被った男が、ガムリに耳打ちをする。


「なるほど・・・それはいいな」


「ああ」


ガムリが、アズと向き合う。


「実はな、アズさん。俺達はアーセ村に逃げたクイーンゴブリンを追ってるんだよ。

 村人に付け入って、仲間の振りをしているらしい」


「クイーンゴブリン!?ご主人、大物ですよ」


「ああ、我々でも勝てるかどうか」


「ああ、だから、協力してもらいたい・・・頼む!」


手を合わせてガムリは頭を下げた。


「本当ですよね、その話?」


「あ、ああ!」


アズは、二人の骸骨を見ると。


「協力しよう、か?」


「ご主人の命令ならば」


「主人の命令は絶対です、全力を尽くしましょう」


スケとカクは片膝をついてアズに忠誠を見せた。


「うん、やろう。それでガムリさん、状況はどうなってるの?」


「ああ、それなんだが―――」


不意に、カクの目線が彼らの集団の中にいるゴブリンロードに目が行った。

普段から赤く血走っている目が、真っ赤に染まるほどになっていた。


(様子がおかしいな)


ゴブリンが人間と組むのは珍しい事ではないが。

彼のその様子に疑問を覚えた。


手に握る鈍器も、禍々しい骨の棍棒だ。


(・・・主人に危害が及ぶようなら、全力で守るだけだ)


そう1人思い、カクは膝を上げた。


――――――――――――――――――――


その頃、アーセ村では。

ゴブリン達の仮のねぐらの用意がされていた。


「おおぅ!?凄いですなソウマ殿」


「ん?」


村の外れの廃屋をそのまま持ち上げて持ってきた。

これなら、わざわざ立てる必要はないだろう。

その廃屋を村長宅のすぐ脇に置いた。


ズゥゥンと低い音を立てて地面と接触する廃屋。


「アンタ、オーガ以上の力を持ってるんじゃないのかい?」


「どうだろうな?」


クロンが廃屋の中を確認する。


「へぇ、皆で寝るには良さそうだね。

 こんな場所、貰ってもいいのかい?」


「いいんだろ、ギルド長?」


「ええ、許可は取ってますので、大丈夫ですよ」


なら問題はないだろうな。


「何から何まで、有難いことだよ。

 明日から、しっかり働くからね!」


「ああ、頼みますよ、クロンさん」


「任せておくれよ!」


ドン、と胸を叩くクロン。

自信満々の顔でそう言い切った。


――――――――――――――――――――


二人が待つ宿に戻ると、既に就寝中だったようで。

抜き足差し足で、ソファーに横になった。


「・・・」


確かに、エリサは近くにいる。

そう直感しつつ、俺の意識はまどろんでいった。


早朝、夜も明けない程の時刻。

男達の雄たけびにも似た声に、意識が起こされた。


「・・・なんですかぁ、こんな朝早くにぃ」


のそりと、ベッドから起き上がるセニア。

その声に、ラティも起きたようだ。


「何かあったんですか?」


「外から大声が聞こえたな。村長宅の方だが、何かあったのかもな」


ゴブリン達が何かしたのか?

いや、昨日の今日で騒ぎを起こすはずが無いか。

それに、聞こえてきた声は野太い男の声だ。


気になったので、上着だけ着替えて外に出る。

セニアとラティには宿に残ってもらった。


「ああ、あなたも起きたのか」


上半身に鎧を来たアセルと廊下でばったり会った。

髪には寝癖が付いている、急いで出てきたのだろう。


「アセルか。ああ、起こされたな」


「中々の大声だったからな」


「エミーナは?」


「寝てるよ、眠るとなかなか起きないんだ」


呆れたように言うアセル。


「もしもの時は、命取りになるよ」


「そうだな・・・で、何か心当たりはあるか?」


アセルにそう聞くが、首を傾げていた。

どうやら、心当たりはなさそうだな・・・。


「行ってみるか?」


「ああ、もちろんだ」


宿を後にして数分。

村長宅が見える道まで歩いたが。

大声を上げた主が、そこにいた。


ブルホーンの奴らが、クイーンゴブリンのクロンと睨みあっていた。

周りにはゴブリン達が倒れている。


「へっへっへ・・・流石は『呪いの棍棒』、強いな」


ガムリがゴブリンロードのゾグの握る棍棒を見る。

その棍棒は骨を固めたような、禍々しい見た目をしている。


「くそ・・・!ゾグ、アンタ」


片方の肩を手で押さえ、うずくまっているクロン。

怪我をしているらしく、押さえている手には血が付いていた。


「ゴゥア!」


血の付いた骨棍棒を振り回すゾグ。


「あれは、『呪いの骨棍棒』・・・何であんなものがここに」


「骨棍棒?」


「所持者の力を上回る能力を授けるが、理性を奪う呪い付きの棍棒だよ」


バーサーカー状態って事か。

いや、今はそんな事を考えてる状況じゃない。


「クロン!無事か」


走り寄って、彼女の近くにしゃがんだ。

肩の傷の様子を見るが、傷は深くないようで、出血は止まっていた。


「あ、ああ・・・ソウマ、大丈夫だよ」


「おいおいおい!またお前かよ!

 俺らの邪魔をするんじゃねえよ!!」


「お前等、どういうつもりだ。クロンは村の一員になったんだぞ?」


「は?」


「村長からの許可をもらい、村へ入村した。つまり、クロン達は村人だ」


一瞬、ブルホーンの面々が黙るが。

ガムリが大声で笑いだすと、全員がつられて笑いだした。


「はっはっはっは!傑作だな、ゴブリンみたいな知恵の無い種族が村人?

 そんな嘘を誰が信じるってんだ!」


「う、嘘じゃないさ。アタイ達はきちんと許可をもらった―――」


「うるせえ!!この下等種族が!黙って首を差し出せってんだ!!」


ガムリが隣に立っているゾグをちらりと見る。


「やっちま―――」


ガムリが言うよりも早く、ゾグはこちらに向かって走りだした。


「グォォォォ!!」


「って、ぬわぁ!?」


振り回していた棍棒にガムリが巻き込まれ、地面に叩きつけられた。


「・・・っ、逃げなよソウマ。あの状態のゾグは危険だよ」


「女を置いて逃げると思うか?」


立ち上がり、指の骨を鳴らす。

後ろで様子を眺めているブルホーン(やつら)にも、制裁を加えないとな。


読んで下さり、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] ナレーション設定なのか主人公目線なのか第三者視点なのか書いてないからよくわからんが、誰目線やねん(笑)
2022/01/13 20:27 退会済み
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