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集団転移!ーギルドメンバーごと転移したLvカンスト竜騎士-  作者: 倉秋
ゼローム皇国の騎士編-御前試合ー
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71話

いつもより少し短いです。



その後、優勝を祝う祝辞を審判長が読み上げ。

それが終わると同時に、今まで戦ってきた俺を含めた16人が闘技場に並び。

会場が彼らの健闘を祝福し、終了ムードに包まれたのだが。


「皆、まだ帰らないで。重要な話がまだあるの」


リルフェアが声を張り上げる。

その言葉を聞いた観客は帰るムードを切り上げて、耳をリルフェアに傾けた。


「一部の、聖堂騎士関係者はもう周知の事実でしょうけど。

 本日優勝した、トーマこそ・・・あの『竜騎士』よ!」


しん、と静まり返る会場。

そして、ポツポツと言葉が漏れ始める。


「竜、騎士?」

「伝説の存在の?」

「まさか、そんな事・・・嘘じゃないかしら」

「いや、だが見てみろ・・・あの白銀の鎧」

「うむ、伝承にある、竜騎士の鎧の色にそっくりじゃ」

「そ、それに・・・ゼフィラス様をいとも簡単に倒した・・・でしょう?」


ポツポツはざわざわになり。

ざわざわは、歓声に変わり。

やがて、怒号のような歓声に変わった。


「おおおおおお!!竜騎士様!」

「竜騎士様の再来だ!」

「良かった!国はもう安泰だ!」

「バルクも、ヘルザードも怖くないぜ!」

「竜騎士・・・様、かぁ」


驚いた。

物凄い歓迎ムードが会場を包んでいる。


「驚いてるわね、トーマ」


リルフェアは会場の様子を見ながらそう呟いた。


「ああ、なんでこんなに」


「それだけ、竜騎士という言葉が特別なのよ、ゼローム皇国は」


「?」


「貴方が想像する、以上にね」


「想像以上?」


「どこに行っても歓迎されるし、縁談も来るでしょうね」


何処に行っても歓迎される?

・・・縁談?


「御前試合で貴方の腕は証明されたし。

 誰も貴方を竜騎士か?と疑う人はいないでしょうね」


・・・とんでもないことになった気がした。


「もう、貴方はこの国の英雄も同然、そう言う事よ?」


「竜騎士、と言うだけでか?」


「ええ」


リルフェアは頷いた。


「だからこそ、御前試合の結果次第では皆に黙ってようと思ったんだけど。

 貴方は腕を見せたし、性格も私は買っている」


「・・・」


「貴方は竜騎士に相応しい人物。

 だからこそ、私は皆にあなたを竜騎士だと紹介したのよ」


「そう、か」


少し気恥しいが、悪い気はしない。


それに、俺が竜騎士になるまでは結構苦労した。

その苦労が、報われた気もした。


だが、この歓迎ムードだけは慣れそうにない。

なんといか、物凄い恥ずかしいのだ。

こっちは、ただのおっさんだぞ。


――――――――――――――――――――


ラティリーズとリルフェアが自室に戻る。


「はー・・・終わった終わった」


リルフェアは着ているドレスの紐を緩めると、豊満な胸が踊った。

そのまま、椅子にぐったりと座り込んだ。


「流石に、この格好は疲れるわね。礼装は肩が凝るわ」


そう言って、自分の肩を揉むリルフェア。


「お母様、優勝賞品の件なのですが」


羽織っていたマントを綺麗に畳み、机の上に置くラティリーズ。


「何がいいか、聞けた?」


「いえ・・・特に何もないと」


ラティリーズのその言葉を聞き、考えるリルフェア。


「そうよね、物欲が強い性格にも見えないし、いきなり言われても思いつかないわ」


「どうしましょうか・・・?一応、考えてみて欲しいと言っておきましたけど」


トーマの性格を考えると、無理なものは要求しないだろう。

むしろ、何かくだらないものを要求してそれで済まそうとするかもしれない。

何か、考えておかないと。


――――――――――――――――――――


夜。

拠点では、小さいながらも祝勝会を開いていた。


「おめでとうございまーす!トーマ様!」


そう言って、右腕に抱きついてくるセニア。


「ああ、ありがとうセニア」


「八霧さんも、準優勝おめでとう!」


「うん、ありがとう」


テーブルの上に並ぶ御馳走の数々と、シャンパンと酒。

シャンパンはノンアルコールだ。


俺も、久しぶりに酒でも飲むか・・・。


全員が色々話をしながら、夜が更けていく。

俺は、ウイスキーを一瓶空けて、次のワインの封を切っていた。


「とーぉましゃーん・・・へへへー」


「うお!?」


俺にしなだれかかってくるようにセニアが隣の席に座った。

そしてその息は、酒臭かった。


その行動に驚いて、ワインをこぼすところだった・・・。


「すみません、妹が」


「気にするな、無礼講って奴だよ。

 オリビアも、少しは飲んだらどうだ?」


そう言って、グラスを一つオリビアに渡す。


「では、一杯だけ」


トクトクトク、とワインをグラスの中へ入れていく。

グラスに半分くらいで止めると、オリビアはこちらにグラスを向けてきた。


それに返すように、近く空のグラスに少しのワインを注ぎ、乾杯した。


「ん・・・いい、ワインですね」


「ああ、インベントリに大量に余っている一つだ。

 意外にうまいな」


儲けものだ。

後で、リルフェアにも数本届けておこう。


「ふへへ~、とぉましゃーん」


抱きついていたセニアが、顔を胸に擦り付けてくる。

その顔は真っ赤だ。


「大分甘えん坊だな、セニア。というより、酔っぱらったのか?」


その頭を撫でる。

すると、顔を上げて俺の顔を見てきた。


「んーーーー!!」


「って、どぅあ!?」


いきなり、キスをしようと顔を近づけてきた。

その行動に驚いて、俺は椅子から転げ落ちた。


「と、トーマ様!?」

「トーマさん、大丈夫!?」


近くに座っていた八霧が倒れた俺に近づく。


「あ、ああ。セニア、何のつも―――」


「すぅぅ・・・すぴー」


俺の腹の上で寝てた。


「酒癖が悪いな、こいつは・・・」


セニアを抱き上げ、近くのソファーに寝かせた。

上から毛布を掛けると、安定した寝息が聞こえてきた。


「す、すみません・・・妹が」


オリビアがそう謝る。

本当に真面目だな、オリビアは。


「・・・まあいいさ。ところで、神威は?」


「お酒を一口飲んだら、卒倒しました。

 ・・・今は自室でおやすみに」


セニアの酒の弱さは、マスター譲りかもしれないな。


というより、弱すぎじゃないか?



読んで下さり、ありがとうございました。

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