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集団転移!ーギルドメンバーごと転移したLvカンスト竜騎士-  作者: 倉秋
ゼローム皇国の騎士編-御前試合ー
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64話

俺に付いて来ようとしたリルフェアは直属の護衛に咎められていた。

初めはゼフィラスを心配し、戻ることを渋っていたが。

リルフェアが会場に突然現れた事に会場が騒ぎ出していた。


その声を聞き、流石にまずいと思ったのだろう。

護衛についていくように、自席へと戻っていった。

俺に、「ゼフィラスを頼むわね」と言って。


俺は、抱きかかえたゼフィラスを控室まで連れて行き、ベッドの上に下ろした。


あの聖剣で生命力の多くを失ったのか、顔色はかなり悪くなっていた。

治療が必要かと、道具袋内の回復アイテムを漁るが。

もう一度、ゼフィラスに目線を戻すと、規則的な寝息を立てていた。

顔色も、僅かだが戻り始めている。

よかった、手遅れではなかったようだ。


八霧と救護班のプリーストがゼフィラスの傍まで駆け寄る。

その顔色と、寝顔を見るとお互いにほっとしていた。


ゼフィラスをプリーストに任せ、俺達は少し離れた場所で話していた。


「あの力、なんだか聖剣って呼ぶには歪な能力だったね」


「ああ・・・『魔剣』だ、それは」


俺がゼフィラスの傍に立てかけられた聖剣を指差す。


「『魔剣』。・・・宵闇さんが使っていた剣にもそう呼ばれたのがあったよね?」


随分懐かしいことを言うな・・・というより、よく覚えていたな。


「『宵闇1号』の事か?」


「ああ、うん・・・そんな名前だった気がする」


ダサいと一瞬思ったな、八霧。

・・・俺もそう思う。


セラエーノの処女作で、いろんなものを詰め込んだ失敗作だったっけ。

宵闇さんも苦笑しながら受け取っていたな。


振る度に、効果が変わる。

振った瞬間にHPが1になった事もあったし、突如テレポートすることもあった。

逆に計算外の威力を発揮したり、届いてないのに攻撃が命中することもあった。

故に・・・魔剣と呼ばれていたんだ、『扱えない』ってことで。


ただ、セラエーノの処女作という事もあり。

宵闇さんは引退するその日まで、ずっと腰に下げていた。


まあ、実戦で使う事はほとんどなかったがな。

とにかく、『不安定』の一言に尽きる迷剣だった訳だ。


「でも、他にも作ってたんだよね?」


「ああ、最終的に『宵闇10号』まで作っていたぞ」


コンセプトがそれぞれ違った10本の剣。

大剣だったり、細剣だったり。

唯一の共通点は、宵闇さんに合わせて全て『剣』だったという事だ。


そして最後の10号は、引退の日に渡した・・・記念品のようなもの。

まあ、その剣たちも宵闇さんが引退したことで同時に消滅したはずだ。


先の戦いの時に、聖剣を見た時に感じた似ているという感覚。

それは恐らく、『宵闇1号』に形状が似ていたからだ。


まあ、よく似た剣と言うだけだろう。

宵闇さんの剣がこの世界にある訳が無いからな。


――――――――――――――――――――


プリーストは手早く看護し、ゼフィラスに毛布を掛けていた。

・・・どうやら、治療は本当に必要ないみたいだな。


その様子を見て、俺と八霧はほっと一息ついた。

そして、八霧は俺に振り向くと、指差してきた。


「次は僕だよ、トーマさん」


「ああ、分かっている」


決勝は俺達だ。

八霧と戦うのは何年振りか。


EOSの時に何度か戦ったが、あの時のはじゃれ合い感覚だ。

今目の前にいる八霧は・・・全力で俺に挑んでくるだろう。


「お二人共、ここにいられたのですね?」


声のした方向に顔を向けると、審判長が立っていた。


「審判長?」


「決勝戦までの簡単な説明をさせていただきたく。

 よろしいですかな?」


「ん?何かあるのか?」


ただ、このまま戦うだけだと思っていたのだが。

この言いようだと、他に何かありそうだな。


「ええ、決勝戦前に踊りを奉納するのが習わしでして」


「踊り?」


八霧が首を傾げる。


「本来の目的は、お互いの身体を休めるための休憩時間なんですが。

 その間、時間が空きますので、踊りはその・・・時間つぶしみたいなもので」


なるほど、俺は戦ったばかりで、八霧の方が多く休んでいる。

その帳尻合わせのための、休憩時間か。


「ですので、1時間後・・・控室にまでいらっしゃってください。

 それまでは、自由時間になります」


「自由時間?」


「決勝戦は真の強者同士の戦い。

 どちらかが死ぬことも、相打ちになることもあります。

 ・・・ですので、家族に別れを言う時間、遺言を書く時間を設けているのです」


「物騒な理由で自由時間を作ってるんだね・・・」


「まあ、昔からの習わしですよ。

 今では、救護班の腕も上がっていますので死者は少なくなりましたが。

 そんな訳で、自由時間自体は今も続いているのですよ」


そうか。

だがそう言われると、何をするか・・・。


「僕は部屋に戻ってようかな?」


「休むのか?」


「ううん、薬瓶のストックを増やそうかなって」


そう言って、自分の脇腹辺りを叩く。

そうか、俺に使う薬瓶を調合するのか。


「そうだな、俺は・・・」


身体は十分に温まっているし、今更準備をする事も無い。

とは言え、拠点で休むと八霧の手の内を見てしまう可能性もある。


なら、神威とオリビア、セニアに一度顔を出して来よう。

ラティリーズとリルフェアにも顔を出しておいた方がいいか。

・・・ゴルムの扱いも多少気になる。


――――――――――――――――――――


神威達は、観覧席で俺の戦いを見ていたようだ。

観覧席の端で、3人で何かを話していた。


観覧席に上がった俺を見つけると、近づいてきた。


「だ、大丈夫でしたか、トーマ様?」


心配そうに聞いてくるセニア。


「この通り、怪我も無いぞ」


「良かった・・・あの、次は八霧さんですよね?」


「ああ、あいつの成長が楽しみだ」


俺がそう言うと、セニアの後ろにいたオリビアが声を上げた、


「成長・・・ですか」


「ああ」


成長と言えば。

この世界に来る前に、エリサのLvが上がったことをプリラが喜んでたっけな。

そんなに時間が経っていないというのにその出来事を懐かしく感じる。


・・・。


エリサもプリラも、無事だろうか?


「あの、トーマ様・・・?」


心配そうな顔をして、俺の顔を覗いてくるオリビア。

自分の顔を触ると、少し顔が強張っていた。


「はぐれた仲間の事を考えていたんだよ、オリビア」


「はぐれた・・・エリサ様に、プリラ様、セラエーノ様に、テネス様ですね」


「ああ・・・」


その中でもエリサが一番Lvが低い。

つまり、俺達の中では一番弱いという事だ。

心配だ、怪我してないだろうか?


「エリサ、心配?」


神威がそう尋ねてくる。


「ああ、あいつが一番Lvが低いからな」


「そっか、うん・・・そうだね」


神威も心配そうにする。


「で、でも!無事ですよ、きっと!」


セニアがそう励ましてくれる。


ああ、無事であってほしい、本当に。


「・・・とにかく、御前試合が終わったら本格的に調査しよう。

 リルフェアも、協力してくれるはずだからな」


その時には、俺は聖堂騎士団として働くことになるだろう。

本格的な調査には、八霧か神威・・・或いはオリビアかセニアに頼むかも知れない。


了承が取れれば俺自身が行くが、それは難しいだろう。

何せ、守るのがラティリーズ・・・この国の神様なんだからな。


「どうやって、探す?」


「それはまだ、考え中だ。情報が少ないし、下手にも動けないからな」


俺がそう喋っていると、闘技場内で踊りが始まっていた。

ゼローム皇国に伝わる伝統的な踊りらしく、

布一枚を纏った美女たちが、激しく踊っている。

揺れる胸が、目の毒だ。


踊りが始まったという事は、そこそこ時間が経ったという事だ。

ラティリーズ達にも顔を見せる予定だったし、そろそろ行くか。


「・・・ラティリーズと、リルフェアにも顔を出してくるよ」


そう言って、特別観覧席へと向かおうとする。


「では、私も参りましょう」


そう言って、オリビアが俺の横に立つ。


「オリビア?別に、俺一人で大丈夫だぞ?」


「いえ、個人的にお礼と、聞きたいことがありますので」


聞きたい事・・・?

まあ、着いてきたいのなら断る理由も無いが。


「姉さん、粗相は駄目ですよ!」


「すると思うの、セニア?」


「するとは思えませんけど!姉さんは何でもはっきり言う人ですから!

 気に障るようなことも、すぐに言うような気がして」


確かに、そんな感じは受けるが。

・・・だが、地雷を踏むような子にも見えないが。


「セニアは実姉を信頼できない、と?」


「い、いいえ、そう言う訳じゃ」


「・・・言い争いをする気なら、俺はもう行くぞ?」


そう言い残し、俺は歩き出した。


「と、トーマ様!」


その俺に続くように、オリビアが後ろから追いかけてきた。


読んで下さり、ありがとうございました。

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