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集団転移!ーギルドメンバーごと転移したLvカンスト竜騎士-  作者: 倉秋
ゼローム皇国の騎士編-御前試合ー
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63話

ゼフィラス戦 決着になります。


「さあ・・・最終決戦だ・・・トーマ殿」


聖剣を構えるゼフィラス。

彼の纏う赤いオーラが、聖剣に集約していく。

その光景は、ゼフィラスの生き血が、剣に吸われていくような光景に見えた。


「あああああ!!『破滅の剣(ルーインブレイバー)』!!」


叫ぶように声を張り上げるゼフィラス。

持っていた聖剣を天高く掲げた。


聖剣が纏っていた光が、濃い霧のようなものを作りだす。

その霧が聖剣を中心に、渦を巻き始めると聖剣に変化が起こった。


「な・・・」


青かった刀身は黒くなり、その刀身の表面に、赤いラインが大量に浮かんでいた。

まるで血管のように、聖剣の表面を這っているそのライン。


「ふぅぅぅ・・・!!はぁあああ!!」


黒い聖剣から、血のように噴き出す赤い霧と光。

禍々しいそれが、俺の頭上を狙って振り下ろされた。


「来るか!!」


大盾を構え、それを目の前から受け止める。

腕に響く衝撃は、先ほどの比ではない程の物で。

俺の身体が、多少後ろに引きずられた。


「このまま、切れろぉ!!」


野獣が吠えたかと思えるほどに、ゼフィラスの声色が変わっていた。

同時に、大盾を押す力が急に強まる。


「なるほど・・・!こいつがゼフィラスの本気か」


大盾で聖剣を押さえながら、槍を握る手に力を籠める。

その槍を握る手に、ゼフィラスから放たれる赤黒いオーラが纏わりついてくる。

生暖かいそのオーラの感触。


(こいつは・・・?)


俺の腕に、違和感がある。

動きが阻害されるような、その感覚。


「なるほど・・・むぅん!!」


大盾を前面に押し出し、ゼフィラスの聖剣を弾き返す。

弾き返した勢いそのままに、大盾をゼフィラスの身体に衝突させた。


「ぐ・・・!?」


盾で殴られるような形になり、ゼフィラスの身体はよろけた。

それを見て、俺は多少後退する。


(あのオーラ、ただの見掛け倒しじゃないな)


手に残る、その違和感。

あのオーラは、こちらの行動を阻害するような効果があるのだろう。

長い時間接近戦をするのは不利だな。


「げは・・・!ごほ・・・!」


自分の胸を押さえながら、ゼフィラスが立ち上がる。

咳き込んだ口からは、血が垂れ始めていた。

顔にも、死相が見え始めている。

身体に纏う、赤黒いオーラも蝋が無くなりかけた蝋燭の火のように小さくなっていく。


「はぁぁーーーーー!!」


ゼフィラスが雄たけびを上げると、消えかけていたオーラが再び燃え始めた。

・・・消えかけた火に、油を入れたように。

そして、その『油』は間違いなく彼の命だ。


(そうか、ゼフィラス・・・そこまで)


彼の命が溶けるように消えていくように見える、その様子。


俺は、大盾を地面に投げ捨てた。

ガランガランと音を立てて地面に転がる大盾。


(命を掛けて俺と戦ってくれるのは嬉しい。だが・・・俺はラティリーズに誓った)


盾を捨てた左手でゼフィラスを指差し宣言する。


「来い、ゼフィラス。次でお前を倒す!」


「ぐぁぁ・・・!トーマ・・・あな、たを、タオス!」


ゼフィラスの表情が鬼のような形相になる。


(お前を・・・死なせはしないってな!)


その為にも、この戦い・・・早期に決着をつける。

ゼフィラスに残された時間は、そう多くはない。


だからこそ・・・『次』で勝負を決める・・・!


―――――――――――――――――――――


ゼフィラスの聖剣を握る手と腕は、赤黒いオーラに包まれ、見えなくなり始めていた。

・・・本当に聖剣か、と思えるほど禍々しいものを感じる。


「トーマ・・・トーマ!!」


ゼフィラスの顔には、表情が無い。

いや、顔はこちらを睨みつけた鬼のような形相をしているが。

それは・・・ゼフィラスの感情には見えなかった。


「うぉあああああ!!」


叫びながら、黒い聖剣を振り上げるゼフィラス。

・・・その身体から出る赤黒いオーラがまた、聖剣へと集約されていく。


「悪いが、もう・・・決めさせてもらうぞ」


今度はこちらが走る。

両手で槍を構え、ゼフィラス目掛けて突進する。


「トォォォマァァ!!」


中途半端にオーラを集約させた聖剣を振り上げ、俺に狙いを定めるゼフィラス。

そして、俺とゼフィラスの間合いは・・・お互いに攻撃が届く範囲まで詰まった。


「『銀の鍵』の力・・・!」


両手に構える槍が光る。

同時に、槍『銀の鍵』の能力が発動する。


剣を振り下ろすゼフィラスの動きがゆっくりに見える。

ビデオのコマ送り再生のように、非常にゆっくりに。


俺に向かって来るそのゆっくりな聖剣を難なくかわし、

ゼフィラスの背中まで身体を動かす。


そして・・・そのまま彼の首を拘束した。


その行為と同時に、『銀の鍵』の能力が終了した。


「が、なぁ・・・!?」


急に後ろに回られたと感じたはずだ。

『銀の鍵』の能力は空間制御。

時間を制御し、周りの時間をゆっくりにすることが出来る。


「終わりだ」


首を絞める腕に力を籠める。


「が・・・ぁ・・・」


ゼフィラスの身体から力が抜けていく。

握る聖剣が地面に落ち、音が響く。


気絶し、地面に倒れるゼフィラス。

彼の握っていた聖剣も、ゼフィラスが気絶すると同時にその黒い姿が青く戻った。

・・・これは、本当に魔剣かも知れないな・・・。


「ゼフィラス!」


気づけば、闘技場内にリルフェアが入って来ていた。

気絶し、倒れるゼフィラスを心配そうに見る。


「大丈夫なの!?」


「気絶してるだけだ・・・こいつほどの戦士なら、すぐに目覚めるだろう」


そう言って、ゼフィラスを抱き上げた。

男にお姫様抱っこをすることになるとは思わなかったが、まあいい。


――――――――――――――――――――


「しかし、その聖剣・・・本当に『聖剣』なのか?」


控室へとゼフィラスの身体を運びながら、リルフェアに聞く。


「ええ、聖剣の『レプリカ』よ」


俺の後に付いてくるように、リルフェアも歩く。


「・・・模造品なのか?」


ゼフィラスの腕と名声を考えれば、本物を使っていてもおかしくはない。

なのに、レプリカを与えたのか?


「ええ、本物の聖剣は・・・ゼフィラスでも扱えない程に強力な力を持ってるの」


「つまり、この『聖剣』はゼフィラス用に作られた剣・・・なのか?」


ゼフィラスの腕に抱かれた聖剣を見る。。


「いいえ、正確には・・・聖剣を真似て作った名工の作品の一つ。

 ゼフィラスに扱えたからこそ、預けたの」


「なるほど、模造でも名剣という事か?」


「ええ、少なくともこの国では非常に優れた剣の一つよ」


優れた・・・。

能力を見るに、諸刃の剣に見えるが。


「ゼフィラス・・・もう、無理するんだから」


そう言うと、俺の抱きかかえるゼフィラスの顔を撫でた。

かすかだがくすぐったそうにしている。


「・・・貴方が死んだら、私もラティも悲しむんだからね」


そう言うリルフェアの顔は、とても優しく微笑んでいた。


読んで下さり、ありがとうございました。

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