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集団転移!ーギルドメンバーごと転移したLvカンスト竜騎士-  作者: 倉秋
ゼローム皇国の騎士編-御前試合ー
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61話

ゼフィラスの聖剣は、青を基調とした大剣。

その刀身も、光を浴びると青白く光る。

ミスリル製だろうか、そう思いながら・・・目の前のゼフィラスとの間合いを詰める。


「パリィを使いこなすとはな・・・ならば、これはどうだ?」


そう言いながら、ゼフィラスは青白く光る聖剣『トワイライト』を顔の横に構えた。

突きの体勢だが、間合いが遠すぎる。

どう放っても、俺までは届かない距離だ。


何をするのかと、盾を構えながら様子を見ていた時。

ゼフィラスが両手で握る聖剣のルーン文字が複数光る。

すると、光るルーン文字の光が強くなり、聖剣を包むほどの光になる。


「『トワイライト・ブレイバー』・・・」


ゼフィラスがそう呟き、聖剣を上段に構える。

聖剣が纏う光が、上空へと伸び始めた。


そして、その光は聖剣の形に変化する。

まるで聖剣の刀身が光で伸びたような状態だ。

その神秘的な光に、会場も沸き立っていた。


「こいつは・・・」


高濃度の魔力の塊だ・・・あの光は。

なるほど、あの光の長さなら俺にまで届く。


「ゆくぞ・・・トーマ!!」


ゼフィラスが聖剣を振り下ろす。

光が凝縮し、巨大化したように見える聖剣の刀身が俺に向かって来る。


カイトシールドを構え、正面から受け止める。


光りが凝縮しただけに見えるその刀身は。

触れた瞬間に、盾の表面を破壊し始めた。


カイトシールドの表面を溶かすように破壊しながら、俺に向かって来る聖剣。


「魔力属性の攻撃か・・・!」


カイトシールドが真っ二つに割け、光の刀身が目の前に迫る。

その光を遮るように、小手で防御した。

小手にぶつかった瞬間、聖剣と小手の間でバチバチと魔法を弾く音が聞こえる。


聖剣は小手を貫通できず、光る刀身は小手に阻まれるように止まった。


「なんだと!?」


聖剣から出る光が弱くなる。

その様子を見たゼフィラスは小手から聖剣を離した。


ゼフィラスが剣を構え直す姿を見て、俺は小手を確認する。

傷はついていないが、聖剣を受け止めた場所は汚れていた。


俺が小手の汚れを払うと、その様子を見たゼフィラスが呟く。


「・・・やはり、危険な男だ」


自身の握る聖剣を見ると、俺に向けてくる。


「貴様のような危険で、力のある奸物を・・・ラティリーズ様の専属騎士には出来ん。

 ゼローム皇国の為、貴様をここで殺す!」


ゼフィラス叫ぶようにそう言うと、再び両手で聖剣を空に向けて掲げた。


最早、彼にとって俺は殺すべき相手だと思っているのだろう。

・・・とはいえ、話を聞いてくれない状況だ。

どう、誤解を解くものか。


「聖剣よ、その力を開放しろ・・・!」


その言葉と共に、高々と掲げられた聖剣が赤く光り始める。

その光は怪しくも、禍々しい色にも見えた。


ゼフィラスの身体にも変化があった。

赤いオーラのようなものが、ゼフィラスを包んでいる。

ゼフィラスの青い瞳も・・・オーラと同じ色に変わっていた。


(まるで、命を燃やすような・・・光だな)


その光は禍々しくも、どこか神々しく輝き始める。

ゼフィラスの命という炎を燃やすように、赤いオーラが激しく身体から噴き出し始めた。


赤いオーラを纏ったゼフィラスが俺に聖剣を向けた、その瞬間。


「いけない・・・ゼフィラス!止めなさい!」


急に観覧席側から声が上がった。

俺達の視線が、その声の主に向く。


その声の主は、リルフェアだった。


――――――――――――――――――――


ゼフィラスの身体は赤いオーラを纏い、目も・・・同じ色に染まっていた。


「兄さん・・・?」


その兄の様子を見て、驚いているべリーゼ。


「その力は、貴方の命を削るもの!使用は固く、禁じたはずよ!!」


ゼフィラスを見下ろし、そう叫ぶリルフェア。

その言葉を聞いたゼフィラスは一度、剣を下げたが。


「リルフェア様・・・その命令は聞けません。

 私は目の前の男を、殺さなければ・・・!」


そう言って、ゼフィラスは再びトーマに剣を向けた。


「この奸物が、いずれラティリーズ様をも殺すでしょう・・・!

 ゼローム皇国の敵はここで抹殺します・・・!!」


「何を勘違いしてるの!見なさい!貴方の妹はここにいるわ!」


リルフェアが叫ぶようにゼフィラスに言い放つ。

その声を聞き、目線を上に上げるゼフィラス。

その瞳に、自身の妹が映った。

同じ髪色の、ウェーブが掛かったその髪の女性を。


「べリーゼ・・・?」


トーマに向けていた剣を下ろすゼフィラス。


「兄さん!」


べリーゼのその声を聞き、べリーゼとトーマを交互に見たゼフィラス。

戸惑うように、トーマに話しかけた。


「・・・これは、どういう事だ・・・?」


そう言ってトーマへと、事の次第を訊ねるゼフィラス。

トーマは槍を地面に刺し、説明を始めた。


――――――――――――――――――――


「だから、言っただろ?お前の妹を助けたって。

 正確には俺の仲間が、助けたんだがな?」


特別観覧席にいる自分の妹と、俺を交互に見るゼフィラス。

そして、何かを悟ったように顔をはっ、とさせた。


「・・・勘違いをしていたのか、私は?」


「最初から言っただろ、お前の妹は助かったって」


そう言って、俺は兜を触る。


「お前が話を聞かずに斬りかかってくるから、言うタイミングを失ったんだよ」


俺がそう言うとゼフィラスは目を瞑り、自嘲するように笑った。

同時に、ゼフィラスを包んでいた赤いオーラが消え、目の色も元に戻った。

聖剣の放つ赤い光も消え去った。


「そうか・・・私の、勘違いだったか」


憑き物が落ちたように、ゼフィラスの表情が変わった。

前に見たような、落ち着きのある顔に。


先ほどまで見せていた怒りの表情は、消し飛んでしまったようだ。


「・・・ありがとう、トーマ殿」


そう言って、俺に頭を下げるゼフィラス。


「あなたの事を誤解していたようだ・・・すまない」


「まあ、俺はほとんど何もしていない。

 感謝するなら、助け出した神威とオリビア・・・リルフェアにしてくれ」


トーマがそう言うと、ゼフィラスはもう一度自分の妹を見た。

そしてその傍にいるリルフェアと、神威がいる辺りの観覧席を見る。


「皆に・・・迷惑を掛けたようだな」


ゼフィラスはそう呟くと、目線をトーマに戻した。


「ああ、一人で悩むからそうなるんだ。

 リルフェアにでも言ってれば、事態は好転したかも知れないだろ?」


トーマにそう言われ、返す言葉もないような様子のゼフィラス。

だが、自身の置かれた状況を考え反論する。


「しかし、私は・・・ラティリーズ様の剣だ。

 剣が、主に迷惑を掛けていいはずがないだろう?」


その言葉を聞いて、俺は深い溜息を一つ吐く。


「それで、こんな状況になった・・・こっちの方が迷惑が掛かったと思わないか?

 リルフェアも、神威もオリビアも、手伝ってくれたセニアとトリスも。

 これだけの人数が、お前の妹の事を心配して動いたんだぞ?」


トーマにそう言われて、ゼフィラスはリルフェアを一瞬見て。

そして、トーマに目線を戻した。


「ならば、どうしろと・・・?」


「相談しろ、一人で悩むな。

 ・・・一人で解決できることは、そう多くないんだぞ?大体―――」


トーマが説教を始めると、会場が静かになりだした。


・・・それはそうだ、闘技場内で起きているのは戦いではなく。

国で一番人気がある騎士が、パッと出てきた騎士に説教を受けているのだから。


その様子を、しばらく会場は静かに見ていたが。

ゼフィラスの人気を裏付けるように、会場から野次が飛んできた。


「ゼフィラス様に何てことを!」

「そうよ、身の程を知りなさい!」

「聖騎士様に説教?何様のつもりなのかしら!?」


など・・・色々な野次が飛んできた。

ほとんどが、女性の声。


俺はその野次を聞き、改めてゼフィラスに人気があると思った。

そして同時に、話を遮られたことに多少、イラついた。


「五月蠅いぞ!外野共!俺は今ゼフィラスと話してるんだ!」


会場に響くトーマの怒鳴り声。

一瞬、会場が静まる。


すると目の前のゼフィラスが、笑いだした。


「ゼフィラス?」


「はは・・・ははは・・・!ああ、すまないトーマ殿。

 あなたを笑った訳では無い・・・その、叱られたのは、父上以来だったからな」


そう言って、自分の笑いを止めるように、咳を切った。


「すまない、確かに私の落ち度だった。

 一人で悩まず、相談すべきだったろう・・・な」


「ああ、その通りだ。お前の仲間は大勢いる。

 この会場だって、お前の仲間ばかりだ・・・おかげで俺は悪役だな」


女性からの睨む視線が俺を刺している。

やれやれ、と肩をすくめて見せた。


「すまない、説教する気は無かったんだが」


「いや・・・嬉しかったよ。説教など、遠い昔の話だったからな」


叱られたことが嬉しかったのか、にこやかな表情をしているゼフィラスだったが。

気を取り直すように、一つ息を吸うと、彼の表情が真剣なものに変わった。


「だが、今は御前試合中だ・・・戦いを再開しよう、トーマ殿」


そう言い、聖剣を構えるゼフィラス。

その顔は・・・とても清々しい顔をしている。


「ああ、もちろんだ」


思わぬ形で中断した試合は。

二人が間合いを取り、構えた事で再開された。


読んで下さり、ありがとうございました。

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