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集団転移!ーギルドメンバーごと転移したLvカンスト竜騎士-  作者: 倉秋
ゼローム皇国の騎士編-御前試合ー
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60話

トーマVSゼフィラス戦が始まります。

ラティリーズは特別観覧席から、その八霧(やぎり)の試合を見ていた。


試合結果を見て、一瞬唖然としたラティリーズだったが。

顔を戻すと、八霧に向けて拍手をしていた。


そして、自分の横の席を見るラティリーズ。

その席は空席になっていた。

リルフェアの席なのだが、未だに戻ってきていない。


気になる事があると、昨日言っていた。

それで今日の朝にそれを調べると言って・・・出て行ったきりだ。


軽い風邪を引いて、部屋で寝ているという事にしてくれ・・・。

そう頼まれたので事情はラティリーズから、審判の方に説明したのだが。

・・・一体何をしているのか、説明してもらっていなかったので心配になりだした。


「お母様、大丈夫でしょうか・・・?」


その呟きに少し反応した護衛達。

心配させまいと椅子に座り直す素振りを見せて、視線を闘技場内へと戻した。


――――――――――――――――――――


ゼフィラスと共に、闘技場内に入場する。

お互い無言で、場内まで歩いていたのだが。


俺達を案内する審判はおどおどしている。

ゼフィラスの睨むような視線に、怯えているようだ。


闘技場内で、ゼフィラスと対峙する。

俺達の間にいる審判が俺とゼフィラスを交互に見る。


「準決勝、2試合目・・・は、始め!」


ゼフィラスの視線に怯えたように、審判は開始の合図を言い放った。


「さあ・・・戦おうか、トーマ殿」


ゼフィラスが背中の大剣に手を掛ける。

その顔は、相変わらず俺を睨みつけていた。

どうやら、まだ・・・妹が助かったという話は聞いてないみたいだ。


「待て、ゼフィラス」


片手を前に出し、手のひらをゼフィラスに向ける。


「・・・なんだ?」


怪訝そうな顔で俺を見るゼフィラス。


「お前の妹の件で話がある。お前の妹は―――」


話しておこうと思い、口を開くが。


ゼフィラスは腰に下げた剣を引き抜くと同時に、俺に斬りかかってきた。

それを、後ろに飛びのいて回避する。


「貴様・・・!なぜその事を・・・」


問答無用で斬りつけてきたゼフィラスの一撃を回避し、話を続けようとする。


「お前の妹は助かったんだ!だから―――」


2発目の剣が振られる。

それを左手のカイトシールドで弾いた。


「ぐ・・・!」


ゼフィラスが低く呻く。

弾かれた剣を構え直すと、俺を睨んだ。


「助かっただと・・・嘘をつくな!妹の件で、私を脅すつもりか!?

 貴様もゴルムと同じ・・・奸物の一人か!」


怒声強く、そう発するゼフィラス。

脅す・・・奸物だと?


「いや、違う・・・そうじゃ―――」


3発目は持っていた槍で受け止めた。

そのまま鍔迫り合いの姿勢で、ゼフィラスを向かい合う。


「・・・とても優秀で、信頼できるとリルフェア様は言っていたが。

 私を脅し、勝ちを得ようとは・・・!」


鍔迫り合いで、ゼフィラスの顔が間近まで迫る。

その顔は、怒りに満ちていた。


槍でゼフィラスの剣を押し返すと、体勢を崩したゼフィラスは後ろに飛び退いた。


・・・これは、まずい状況だ。

完全に誤解された。


「違う、俺はな・・・」


「貴様を倒さねば妹は助からない。

 脅しに屈して負けると思うな・・・!」


頭に血が上っているのか、前に会った時の冷静さは皆無だ。

俺の言葉を聞きすらしない。

これは、一戦交えるしかなさそうだな・・・。


――――――――――――――――――――


腰に下げた鞘に剣を戻すと、背中の大剣を引き抜くゼフィラス。

ゼフィラスの『聖剣』が光る。

あれが、聖剣『トワイライト』か。


近くでまじまじと見ると、その剣には見覚えがある・・・気がした。

正確には違う物だが、知っている剣によく似ている。


だが、俺の知っているその剣はルーン文字が30以上刻印されている。

目の前の大剣には、ルーン文字が10しか刻印が無い。。

・・・似ているだけか。


そう思い返し、槍を構える。

その構えた槍の先をじっと見た。


この槍は、セラエーノが作った傑作のうちの一つ。

白銀の槍、『銀の鍵』だ。

主な特徴は・・・テレポート能力の付加と、空間制御。


テレポート能力は、身体を任意の方向へテレポートさせるもの。

ただ、精密にできるわけでは無いので、緊急回避手段として使用することが多い。


空間制御は時間を歪ませる時間魔法系最上位の能力。

能力を簡単に言えば、相手の行動を遅くすることが出来るし、

こちらの行動を早める事も出来る。

また、空間を歪めることで遠距離攻撃の軌道を変えたりすることも可能だ。

こっちが、銀の鍵の主要能力と言っていっただろう。


ゼフィラスと戦うという事で出した、主力武器の一つだ。

彼の強さがどれだけのものか分からない以上、警戒のために装備していたのだが。

・・・勘違いされている現状では、防御に優れるこの槍がベストかもしれない。

彼の誤解を解いてから、戦いたいから、な。


日光を浴び、光る『銀の鍵』をゼフィラスへと向ける。

その様子を見て、警戒するゼフィラス。


「卑怯者に負ける剣は持っていない・・・掛かって来い!」


そう言うゼフィラスの声は怒りに満ちていた。。

聖剣を構えて、こちらの動向を伺う。


「・・・」


左の小手に付けていたカイトシールドを触る。

その具合を確かめて、改めてゼフィラスと向かい合った。


「ゆくぞ、トーマ!」


「・・・ああ、来い」


――――――――――――――――――――


二人が武器を構え合い、しばらくは拮抗状態だったが。

ゼフィラスが一歩、踏み込んできた。


「はぁ!!」


ゼフィラスの聖剣が、何度かカイトシールドにぶつかる。

その衝撃が、カイトシールド越しに腕に伝わってくる。


(確かに、今までの奴らとは段違い・・・だな)


盾に響く衝撃は、今まで戦った奴ら以上だ。

それに大剣に部類される聖剣を、まるで木の棒を振るうかのように軽く振っている。


・・・しかし、まったく隙が無いという訳ではない。


そう考えながら、次に聖剣が向かって来るタイミングで、

カイトシールドでパリィを行う。


「ぐ!」


カイトシールドに聖剣を弾かれ、多少仰け反るゼフィラス。

その身体に、槍の突きを見舞う。

仰け反った身体の体勢を瞬時に直したゼフィラスは。

その一撃を、聖剣の側面で防御した。


丁度ルーン文字が刻まれた部分に槍の刃先が接触する。

すると何かに弾かれるように、槍が弾き返された。

そこそこの反動だったが、体勢を崩すほどのものではなかった。


「・・・なるほど、ルーン文字の力か」


自身の槍を見る。

恐らく、あのルーン文字の一つは・・・反射だ。

防御力を高めるために、受けた衝撃を弾き返す能力が付加されているのだろう。

両手剣を使う剣士が、よく使っているルーン文字だ。


「この聖剣は、ゼロームの至宝の一つ・・・簡単に勝てると思うな・・・!」


「・・・」


ゼフィラスの握る聖剣が日光で光る。


――――――――――――――――――――


トーマとゼフィラスが戦っていると聞いた瞬間。

リルフェアは治療を切り上げさせた。


リルフェアお抱えの専属医師はその様子に驚いていたが、

そのままべリーゼを連れて、リルフェアは闘技場へと走った。


「あ、あの・・・!リルフェア様!?」


「急いで!ゼフィラスが危ないわ!」


「兄が・・・?」


兄の名前を聞き、その足を止めるべリーゼ。

それに引っ張られるように、リルフェアの足も止まった。

そして、足を止めたべリーゼに振り返る。


「いい?今、御前試合でトーマとゼフィラスが戦っているわ。

 貴方が無事だという事は、まだゼフィラスの耳には入っていないの」


「・・・それが?」


「ゼフィラスは貴方を助けるために必死で戦っているわ。

 それこそ・・・命を掛けて」


もし、このまま戦いが続けば・・・ゼフィラスは命を失う可能性がある。

相手はトーマだ・・・恐らく、いや、絶対にゼフィラスは命を掛けて・・・。

彼の所持する『聖剣』の能力を使用するだろう。


勝つためなら・・・その命を消すほどの力を使って。


「間に合わなくなる前に、ゼフィラスに知らせないと!」


そう言って、再びべリーゼの手を掴む。


「急ぐわよ、べリーゼ」


「え、ええ・・・でも、そんなに危険な状況なんですか?

 兄はとても・・・強いですよ?」


「それ以上に強い相手と戦ってるの。だから・・・『聖剣』の力を使うと思うわ」


「『聖剣』の力・・・?」


首を傾げるべリーゼの手を引っ張り、リルフェアは闘技場へと急いだ。



読んで下さり、ありがとうございました。

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