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集団転移!ーギルドメンバーごと転移したLvカンスト竜騎士-  作者: 倉秋
ゼローム皇国の騎士編-御前試合ー
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59話

準決勝戦開始になります。


「なるほど、それで神威(かむい)は来ない訳か」


「はい、リルフェア様に連れて行かれました」


セニアの作ってくれた、おにぎりを頬張る。

神威はリルフェアと、ゼフィラスの妹の探索に行ってくれているのか。

何事もなく、解決に向かえばいいが・・・。


そんな事を考えながら昼食を済ませた。

隣で食べていた八霧(やぎり)も満足そうな顔をしている。


「美味かった、ありがとうなセニア」


「い、いえ、そんな・・・」


照れているセニア。

その後ろの廊下に、見覚えのある少女が歩いてくる。


神威だった。


満足気な顔をしながら、こちらに向かって来る。

その顔を見て、確信した。


「解決したようだな?」


「ん・・・見つけた」


頷いた神威の頭を撫でる。


「よくやった」


「んぅ」


目を細める神威。

気持ちよさそうに撫でられていた。


「・・・トーマ様、ゴルム団長の件ですが」


いつの間にか、神威の隣にいたオリビアがそう声を上げる。


「ああ、どうなったんだオリビア?」


どうなったと聞くが・・・まあ、おおよその予想は付いている。


「最早、言い逃れできない状況ですね」


簡単に、オリビアが状況を説明してくれた。


ゴルム団長の罠にかかり、全員が閉じ込められた事。

その罠を破り、イグニス達とゴルム一行を包囲して捕らえた。

そして、現在・・・ゴルム一行は捕らえられ、牢獄に入れられているとのこと。


「ゼフィラスの妹は?」


「べリーゼ様なら、リルフェア様が連れて行かれました。

 一度、医者に見せるとのことです」


「・・・そうか、出来るなら先にゼフィラスと会わせたかったが」


あいつの事だ、言葉だけでは納得しない可能性もある。

妹を救ったと言っても、信じないだろうな・・・あの様子じゃ。

妹自身を見せれば、話は早かったんだが。


「なんにせよ、ご苦労だったな二人とも。大手柄だ」


「ん、少し頑張った」


「私はマスターを助けただけですので」


オリビアはそう言うと、微笑んだ。


「オリビアも、よく頑張ったな」


そう言って、オリビアの頭も撫でた。

頭を撫でられたオリビアは一瞬、硬直した。

しかし、顔を赤く染めると。


「その、恥ずかしいですね・・・」


そう言って、顔を俯かせた。


「へえ、オリビアでも照れるんだね」


「や、八霧様!茶化さないで下さい」


顔を赤く染めたまま、俺から距離を取るオリビア。

撫でていた手が空を切る。


「と、とにかく、ご報告はここまで、です!」


照れたのを隠すためか、強引に話を終わらせようとするオリビア。

その様子に、八霧は苦笑していた。


――――――――――――――――――――


しばらく4人で話していた。

すると審判が控室に入って来て、辺りを見渡した。


「準決勝を開始しますので、出場される方は準備をお願いします!」


控室に響く、審判の声。

そろそろか・・・。


「いよいよだね」


「ああ・・・二人とも、ご苦労だったな。セニアも、昼食ありがとうな」


そう言って、三人を見る。


「うん、トーマも頑張って」


「応援していますよ、トーマ様、八霧様」


「決勝戦、期待してますからね!あ、怪我しちゃだめですよ!」


三者三様に激励の言葉を送ってくれる。

そして、三人は控室から出て行った。


御前試合も佳境・・・だな。


――――――――――――――――――――


控室に戻ったラクリアは、新しいレイピアを磨いていた。

午前中に折られたレイピアと同じ形状のものだ。


「ラクリアさん、準備が整いましたか?」


「ああ、行くよ」


審判にそう返したラクリアはレイピアを布で拭き、鞘に納めた。

その様子を遠くで眺めていた俺は、八霧の肩を叩く。


「勝てよ、八霧」


「負けると思う?」


そう言うと八霧は立ち上がり、壁にかけていた棒を片手に持った。

そして、近寄ってくる審判に話しかけると、その後についていった。


――――――――――――――――――――


八霧とラクリアが対峙する。

その間にいる審判が開始の合図をする。


「準決勝、1回戦目・・・始め!」


審判が高らかにそう叫び、場外へと退散していく。

審判が退散したのを見計らい、ラクリアが八霧に向けて言い放つ。


「悪いが・・・速攻で決めさせてもらう!」


ラクリアが両手に構えるレイピアと剣が八霧に向けられる。


(こいつは、長期戦になれば俺の敗北が決まる・・・なら、速攻しかない!)


闘技場内に毒でも撒かれれば、その時点でこちらが圧倒的に不利になる。

ならば、場を準備される前に彼を倒すしかない。

そう考えたラクリアが、防御を捨てて八霧に襲い掛かる。


レイピアの連続した刺突と、剣による斬撃が何度も八霧に襲い掛かるが。

八霧は手に持った棒で軽く、全て弾き返した。


「!」


ラクリアが間合いを取る。

ただの錬金術師、しかも持っている武器は棒。

それに全て、自分の攻撃が弾かれた。


(なんだ・・・こいつは!ただの薬師じゃないぞ)


冷や汗が垂れる。


ラクリアは、ゼロームでも有数の剣士。

御前試合で生き残るのも伊達ではないという事は、周知の事実。

そしてその事実は、自負もしている。

その剣士のラッシュが、一度として通らないのだ。


(偶然だ・・・!)


両手の武器を再度構え、間合いを一気に詰める。


だが・・・結果は同じだった。

初撃のレイピアの突きは棒で弾かれ。

その弾いた隙をついて剣の斬撃で襲うが、身体に接触する前に棒で弾かれる。

構え直したレイピアで再度突きを放つが、それも難なく回避された。


「・・・っ!」


意地になり、何度も攻撃を繰り返すが・・・目の前の少年は、

顔色も、息の乱れも無く、淡々と攻撃を弾き返してくる。


「くそ・・・!」


間合いを再度取る。

武器を構え直し、少年と対峙する。


前に負けた、ソフィアもブロギンも・・・こんな化け物と戦ったのか・・・?

勝てる気が、まったくしない・・・!


――――――――――――――――――――


目の前に立つ、ラクリアさんを見る。

先ほどの攻撃全て、見えていたし回避も簡単だった。


焦っている攻撃は読みやすいって前に聞いた事があるけど、その通りだ。


「・・・八霧君からは、攻撃しないのか?」


少し息を切らせたラクリアさんがそう聞いてくる。

攻撃、か。


「僕には、僕のタイミングがあるからね」


「そうか・・・ふふ、自信が無いのかな?」


息を整えながら、そう言うラクリアさん。

その顔には、冷や汗が流れている。

・・・挑発のつもりで、そう言っているのか。


確かに、挑発に乗った相手は行動がシンプルになる。

それを見越して、今度は反撃をするつもりなんだろうけど。

・・・そんな言葉では、僕は挑発されないよ。


そう思っていたが、次の言葉が癇に障った。


「まあ、薬師など・・・その程度という事さ」


・・・その程度。

挑発だという事は分かるけど、少しムッとした。


錬金術師を馬鹿にされたのなら、そうもならなかっただろう。

だけど、彼は・・・薬師を馬鹿にした。

棒を握る手に、力が入る。


夢である薬剤師は薬を扱う職業、そういう意味では薬師だろう。

それを、馬鹿にされた感じがした。

・・・じゃあ、お望み通り見せよう。

僕の、『攻撃』を。


「今から『一発』だけ、全力で攻撃するよ?」


「何・・・?」


両手の武器を構え、警戒するラクリアさん。


「何をする気だ?」


片手で棒の端を持ち、上段に振りかぶる。

背中につくほど、棒を後ろへと構えた。


「受けるかどうかは・・・あなた次第だよ」


今度はこっちからの挑発。

錬金術師が剣士に対して、攻撃を宣言しているのだ。


ラクリアさんの表情が変わる。


「いいぜ、受けてやるよ・・・錬金術師」


両手の武器を、防御の構えに変えるラクリアさん。


「じゃあ・・・!」


僕が覚えている数少ない打撃技。

その衝撃で、相手を吹き飛ばすための近接技。


「『大地の一撃(ガイアブロウ)』!」


振りかぶった棒が緑色のオーラに包まれる。

その棒を、ラクリアさんに叩き下ろすように、振り下ろした。


「そんな攻撃・・・!」


レイピアと剣をクロスさせ、直上から迫る棒を迎え撃つ。


棒とクロスさせたレイピア、剣が衝突する。

すると、レイピアと剣が音を立てて砕け始めた。


「!?」


ラクリアに握られる両手の武器が、粉々に砕け散る。

武器を砕き、押さえるものが無くなった棒が、ラクリアさんの顔の寸前を通る。

そのまま地面に棒が衝突すると、闘技場の地面が陥没する程の衝撃が地面に走った。


その衝撃で、ラクリアは身体が吹っ飛ばされた。


「なぁ・・・!なんだ、これは!?」


吹っ飛びながら、その光景を目に焼き付けるラクリア。

少年が叩きつけた棒を中心に広がる、地面の陥没とひび割れ。


そして、その威力を最後まで見ることなく。

ラクリアの身体は、観覧席周辺まで吹き飛び、誰も座っていないベンチに叩きつけられた。


「が・・・」


低い呻き声が漏れる。

ベンチからずり落ち、観覧席の床に落ちるラクリアの身体。

何とか立ち上がろうと、腕を伸ばすが。

その腕は力なく、床に落ちた。


審判の一人が、観覧席まで走ると、ラクリアの顔を見る。

そして、闘技場内にいる審判に手で合図を送る。


「しょ、勝者・・・八霧・・・!」


審判は驚いた表情で、そう宣言した。

その光景に呆然としていた観客たちも、八霧に拍手を送りだした。




読んで下さり、ありがとうございました。

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