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集団転移!ーギルドメンバーごと転移したLvカンスト竜騎士-  作者: 倉秋
ゼローム皇国の騎士編-御前試合ー
55/381

55話

日光も明るくなり、昼前の雰囲気が出る時刻になる。

2回戦目の掃除も終わり、審判たちが控室に入ってきた。

3回戦目は、俺とフェイだ。


審判たちの姿を見た俺は、腰を上げた。

俺が立ち上がると同時に、向かいの席に座っていたフェイも立ち上がる。


「よろしくな、騎士様」


「ああ・・・よろしくな、魔法剣士さん」


フェイと握手を交わす。

・・・魔法剣士か、果たしてどんな戦いになるやら。


――――――――――――――――――――


太陽の光が降り注ぐ闘技場内に、観客の歓声が響く。

審判も額の汗を拭いながら開始の合図を行う。


「3回戦、開始!」


審判の一声が響く。

同時に、武器を構える俺とフェイ。


(重騎士・・・だが)


目の前の男は、カイトシールドを左手の小手に備え、

右手には、質素なロングソードを構えている。

そして、その構えを見たフェイは警戒するように間合いの外で様子を探る。


(隙が無い・・・どうする、俺よ)


得物の木刀を構え、フェイはそう一人考える。


だが、攻めないことには勝てはしない。

反撃上等で攻めると決意するのは早かった。


左手で木刀をさすると、緑色の光が木刀を覆う。


「『大樹の拘束(ウッドバインド)』!」


フェイが詠唱すると同時に、木刀の先を地面に突き刺す。

木刀を覆う緑色の光が、空中に霧散した。


トーマの足元の地面が隆起する。

地面が裂け、その間から木の根のようなものがトーマの足元に絡んでくる。


「拘束技か」


ツタのような根っこが足を拘束するように、締め付ける。


その、トーマの様子を見たフェイが走りだす。

木刀を左手で触りながら、目の前のトーマに狙いを定める。


―――――――――――――――――――――


目の前に、フェイが迫る

足元は、木の根っこのようなもので拘束されている。

・・・なるほど、束縛してから攻撃か。

攻め手の常套手段の一つだ。


「・・・『魔法の斬撃(マジックスラッシュ)』!」


青白く光る木刀を振ると、俺に向かって透明な斬撃が飛んでくる。

・・・ディラーを追い詰めた一撃だな。


カイトシールドを正面に構える。

マジックスラッシュが衝突する直前に、盾で払うようにその攻撃を殴打する。

その殴打で、マジックスラッシュの斬撃は掻き消えた。

パリィを極めれば、魔法攻撃も弾くことが出来る。

しかし、フェイの狙いは・・・そのパリィ自体だった。


盾で見えなかった死角から、フェイは既に俺を間合いに捕らえていた。

俺が振った盾をしゃがんで回避し、俺の真下に入り込んでいたのだ。


「こいつが本命だ・・・!」


真下から突き上げるように、木刀の突きを放つ。

狙いは、俺の・・・顎。


咄嗟にロングソードを手放し、

その手放した手の親指と人差し指で木刀の刀身を押さえ込む。

しっかりとつかんだ感触が指に伝わり、目の前で木刀の突きが止まった。


フェイの一撃を防いだように見えたが・・・

その突きを放った男の顔はにやけていた。


「へ・・・!見てたぜ、その白刃取りは!」


「!」


木刀の刀身が光る。

同時に、押さえていたはずの刀身が消えて無くなった。

空を切る、俺の指。


まずい、そう思った瞬間には。

俺の顎を、本物の木刀の突きが襲った。


「どうだ、『幻影突き』の味は」


かき消えた幻影に代わり、本物の木刀が俺の顎に突きを入れていた。

その木刀の刀身は、白刃取りをした、丁度真横を通っていた。


・・・指で挟んだというのも錯覚だったか。


「・・・なるほど」


兜越しとは言え、顎を突かれ顔が少し持ち上がる。


その体勢のまま顔をフェイの方向へと下ろす。

顎を突いたままの木刀は、俺の顔でフェイの方向に押されていく。


「な・・・効いてないのか!?」


その様子に気づいたフェイが俺の下側から、後ろへと飛び退く。


顎のあたりをさする俺。

なるほど、不覚を取ったな。


前の戦いで、白刃取りは見られていたと気づくべきだった。

彼は俺が受け止めるのを知って、はったりをかましたわけだ。

もし、俺と同等かそれに近い戦士だったら・・・俺は倒れていただろう。


油断のし過ぎだ、相手がどれだけの戦士かも分からないというのに。

それに、『幻影斬』か。

・・・EOSには無いスキルだ、興味深い。


―――――――――――――――――――――


目の前の男に、一撃を入れた。

だが、まったく効いている素振りが無い。


「確かに俺の木刀には・・・魔法攻撃を付加していたはず」


握る木刀を見る。

確かに、目の前の男を突いた時には魔力を付加したはずだ。


魔力を含んだ武器は鎧を貫通し、内部にダメージを与える。。

重装備でも、その事実は関係ない。

それは、前に戦ったディラーが如実に表している。


だが、目の前の男には効いた様子が全然無い。

身体が魔力に強いのか、それとも・・・鎧が?


(まさか、魔法防御力も高いっていうのか・・・あの白銀の鎧は)


冷や汗が流れる。

倒す勢いで、俺は幻影斬を使用した。

どんなに重武装、重装甲でも顎の部分は急所の一つだ。

しかも、魔力攻撃を直接頭に近い場所に流すことになる。


なのに、目の前の男にダメージは無い。


「どうする、俺」


考えを巡らせる。

その中には、降参するというものも出てくるが、俺は頭を振る。

まだ出来る事があるのに、降参はないだろう。


木刀を構え、目の前の男と対峙する。


方法はまだある。

そう思い、木刀を念入りにさする。

青白い光が多重に木刀を包む。


「行くぜ・・・トーマさんよ!」


一歩踏み出すと同時に、木刀を振るう。


「『魔法の斬撃(マジックスラッシュ)』!はぁぁぁ!!」


走ると同時に何度も木刀を振るう。

無数の透明な斬撃が木刀を振る度に目の前の男に向かっていく。


目の前の男は、命中すると思われる斬撃のみを盾で弾く。

8発目のマジックスラッシュを放った俺は、跳躍した。


(掛かってくれよ、トーマさんよ!)


跳躍した俺に、盾を構えるトーマ。

同時に、ロングソードを構える手が見える。


(掛かった・・・!)


盾を構えるトーマに向かい、木刀をそのまま振り下ろした。

木刀が盾に当たる感触が、手に響く。


「今だ!」


盾を掴み、木刀を盾に押し付ける。

そして、木刀に残るありったけの魔力を盾に流す。


白刃取りをすれば、指から魔力が直に流れ。

盾で防御すれば、盾越しに魔力が身体に流れる。

どちらにしろ、トーマに魔力を流せれば俺の勝ちが見える・・・!

それに、盾を掴めば・・・パリィをされることもない。


他人に魔力を強引に流された場合、身体に拒絶反応が起き全身に激痛が走る。

無論、流した方にも反動があるので俺にもダメージが返ってくるが。

最早これしか打つ手がない。


だが、その目論見は。

流したはずの魔力が、そのまま自分に返ってきたことで、水泡に帰した。


「あぐぁ・・・あああ!」


全身に激痛が走ったのは、俺の方だ。

全身を引き裂く様な痛みが、体中に流れる。


「がは・・・!」


立っていられず、地面に崩れ落ちる身体。


「・・・な、なんで・・・だ」


僅かに動く右手を動かし、立ち上がろうとする。

すると、トーマの足が俺の前の間に見えた。

ウッドバインドで・・・拘束したはずなのに。


彼のブーツには、ウッドバインドが絡みついた際に付いた土が付着していた。

そして、彼の後ろに見える千切れたウッドバインドの跡。

ああ・・・そうか。

彼には、ウッドバインドは効いていなかったんだな。


そう思い、俺は目線を上げた。


「大丈夫か?」


そう言って、トーマは手を差し伸べてきた。


「おいおい・・・戦ってる・・・く、最中・・・だぜ?」


腹を押さえながら立ち上がる。

正直・・・激痛のせいで頭がぼーっとしている。

立っているのが精一杯の状況だ。


「おい、審判」


目の前のトーマが審判を呼ぼうとする。


「待て!まだ・・・終わってない・・・!」


足元に転がる、木刀を拾い上げる俺。

その動作だけでも・・・全身に悲鳴が走る。


「無理するな、お前の魔力を全部跳ね返したんだ。

 今のお前は・・・瀕死のはずだぞ」


「何・・・?全部、跳ね返した・・・?」


「ああ、あの程度なら・・・跳ね返すのは造作もない」


そう言うと、トーマは自身の鎧を叩いた。


「じゃあ・・・俺の魔法は全然、効いていないのか・・・?」


「全くという訳じゃない、がな」


「は、はは・・・そう、か」


力が抜けた。

同時に、身体が仰向けに倒れる。

握った木刀も、地面に転がった。


「・・・俺の負けだ、降参するよ」


これ以上争っても、勝てはしない。

魔法が全く効かない男・・・か。

自慢するわけじゃないが、魔法剣士としては俺は一流の部類に入る。

その魔法が一切効かないとは・・・世界は広いな。


――――――――――――――――――――


降参と聞いた審判が俺達に近寄ってくる。

そして、俺に訪ねてくる。


「降参と聞きましたが・・・もう一度聞きますが、降参でよろしいですね?」


「ああ」


俺が頷くと、審判が。


「フェイからの降参申し立てを受理・・・勝者はトーマとなります!」


そう、会場に向けて叫んだ。

その声が響くと、拍手と称賛の声が起こる。


観客に手を振る勝者のトーマを見る。


俺もまだまだだな・・・。

拘束技も、剣戟も。


・・・もう一度、修行のやり直しだ。

来年こそ、御前試合の勝者として・・・君臨して見せる。

そう1人思う、フェイであった。

読んで下さり、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「攻撃型タンクとして、培った18年が異世界で炸裂する。」 レベルの話?最初は割と良いと思った。
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