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集団転移!ーギルドメンバーごと転移したLvカンスト竜騎士-  作者: 倉秋
ゼローム皇国の騎士編-御前試合ー
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53話

宣誓を終え、俺達8人は闘技場内に案内された。


審判長が見上げる。

その目線の先には、ラティリーズ達がいる席があった。


「ラティリーズ様、御前試合に勝ち残った勇士たちに何卒、お言葉を」


一番高い閲覧席に座っていたラティリーズが腰を上げる。

8人全員を眺めるように目線を動かすと。


「勝利した者も、敗北した者も・・・その雄姿は私の目に刻まれております。

 どうか、勝ち残った者も怪我無きよう、全力で武技を競って下さい」


凛とした声が、会場に響くと。

少し経ってから、拍手喝采が巻き起こった。


その会場の様子を見て、もう一度ラティリーズ付近を見る審判長。

すると、あることに気づいた。


「おや・・・リルフェア様の姿が無いな」


審判長は不思議そうに席を見ていた。


「・・・お言葉を頂こうかと思ったのだが、どうしたのだろうか?」


「審判長、リルフェア様はお風邪を引いたと」


「おお、そうなのか・・・残念だな」


「症状は軽いそうなので、体調が戻り次第出席されると」


「そうか・・・」


二人が話し終えると同時に、立ち上がっていたラティリーズが座った。

その様子を見た審判長に連れられ、俺達は控室に戻された。


控室に戻るなり、ラクリアとジーラスが審判に呼ばれた。

早速、始めるらしいな・・・。


しかし、リルフェアが風邪を引いた?

昨日は、元気そうに話していたが・・・。


――――――――――――――――――――


ラクリアとジーラスが、闘技場内に立つ。

その姿を見た観客も、歓声を上げ始めた。


「第1試合・・・始め!」


審判の声が響くと同時に、会場に歓声が一際大きくなる。


闘技場内で目線を合わせるラクリアとジーラス。

ラクリアは履いているブーツの先で、トントンと地面を叩く。

それを見たジーラスもまた、宣誓した時に使った長剣を地面に刺して、

首の骨を鳴らしている。


「へへ・・・楽しみだな、ジーラスさんよ」


「ああ、全力を尽くそうか」


ラクリアの両手に、剣とレイピアが握られる。

ジーラスも長剣を地面から引き抜くと、構えた。


じりじりと、構え合う二人を照らす日光。

太陽を雲が隠すと、辺りが少し暗くなる。

ラクリアが剣を動かし、ゆっくりとジーラスとの間合いを詰める。


ジーラスもそれに応対するように、足で地面をこすりながらラクリアに狙いを定める。

お互いに手を出さずにいると、雲の切れ間から日光が再び差し始めた。


咄嗟に、ラクリアの構える剣が動く。

ラクリアの剣に日光が反射し・・・光がジーラスの目に入る。


「っ!」


日光で目の眩んだジーラスが怯む。

同時に、駆け出すラクリア。


「はぁぁぁ!」


「っ、なるほど・・・戦場の沙汰だな!」


目を細めたままラクリアの振る剣を、構えた長剣で弾くジーラス。

しかし、弾かれた剣は本命ではない。

右手に持つレイピアが、ジーラスの左肩を貫いた。


「ぐぁ・・・!だが!」


右手の長剣を手放すと、刺さったままのレイピアを掴むジーラス。

そのまま自分の方向へと引き寄せた。

左肩から、血を吹き出しながらレイピアは深く刺さっていく。


「何を・・・!?」


ラクリアは驚いていた。

その驚きで、彼の身体が硬直する。


「ふん!」


レイピアから放した右手の拳が、驚いた顔をするラクリアの顔面を打ち抜いた。

その衝撃で、後方へ吹き飛ぶラクリア。


左肩に刺さるレイピアの持ち手を掴み、強引に引き抜くジーラス。

血が地面に垂れ、ジーラスの左腕と地面を濡らしていく。


引き抜いたレイピアを地面に転がし、先ほど手放した長剣を拾う。

そして地面に転がるレイピアに、その長剣を叩きつける。


柔軟性があり、壊れにくいとされるレイピアの刀身。

それが、粉々に砕け散った。


「さあ、どうする・・・『双異剣のラクリア』!」


地面に転がるラクリアにそう叫ぶジーラス。


「痛ってえ・・・くそ、レイピアを奪うために、あんなことをするとはな」


策を弄したはずが、自分が嵌められることになった。

地面から立ち上がり、殴られた顔をさするラクリア。


「だが、左手はもう使えないぞ、ジーラス」


「構わん・・・」


片手で長剣を構えるジーラス。


「はは・・・さすが『武器破壊』様だ!」


既に、双異剣ではなくなったラクリアは片手に残る剣を両手で構える。


――――――――――――――――――――


ジーラスが武器を破壊すると同時に、歓声などを上げていた声が止んだ。

二人の戦いを見入るように、観客たちは固唾を飲んで見守っている。


左肩から血を流し続けるジーラスの身体が少し揺れる。

瞬間、ラクリアの体が動く。


「!」


走るラクリアを迎撃しようと、右腕のみで構えた長剣を横薙ぎに振るジーラス。

それを、両手で構えた剣で受け止めるラクリア。

剣同士がぶつかり、火花が散る。


鍔迫り合いになると思いきや、ラクリアの片手がジーラスに向く。

その手のひらを、ジーラスに見せるように。


「『衝撃波(インパクトウェーブ)』!」


ラクリアの小手が光ると、ジーラスに向かって衝撃波が巻き起こった。


「ぬう・・・!?」


怪我をした左腕で防御の姿勢を取るが、

完全に防ぎきれず、ジーラスの身体は後方へと転がった。


「今だ!」


持っていた剣を逆手に構え、跳躍するラクリア。

両手で剣を構え、倒れるジーラス目掛け剣を突き立てた。


咄嗟に回避したジーラスだったが。

避けるのは間に合わず、胸を狙った剣の一撃を右肩に受けた。


「ぐぁぁ・・・!」


低く呻くジーラス。


一瞬、攻撃を外したラクリアは対応に遅れたが。

剣をジーラスの右肩から引き抜くと、馬乗りになった。

そして、逆手のまま握る剣を振りかぶる。


「降参しないと、死ぬぜ?」


勝ったと思う余裕か。

ラクリアの顔が少し笑う。


「ここは、戦場・・・笑うなら!」


ジーラスの左手の拳が、ラクリアの右頬を打ち抜いた。


「が・・・!?」


不意の強い一撃で、再び地面に転がるラクリア。

馬乗りから解放されたジーラスは、よろよろと立ち上がった。


「倒してから・・・笑え」


左手に力を籠めたからか、左肩の出血が激しくなっているジーラス。

右肩からも、血が流れ・・・両手が血まみれになっていた。

指先からは血が滴り、地面を濡らしていた。


「くそ・・・力が入らないんじゃないのかよ」


「一言も言っていない、ぞ?」


だが、ラクリアや観客が見ても分かるように。

ジーラスは既に限界間近。

大量の血を流し、目線は定まっていない。

先ほど吹き飛ばされた時のダメージも完全に抜けていない。


「っへ・・・これでこそ、御前試合だな!」


楽しそうに、ラクリアはそう言った。


ジーラスが転んだ際に落とした長剣を拾う。

その様子を見たラクリアも、剣を構えた。


――――――――――――――――――――


両者が睨みあい、また・・・一歩踏み出そうとする、その瞬間。

ジーラスがふらつき、地面に倒れた。


倒れたジーラスを中心に、血が広がる。


「くそ・・・身体が・・・動かん」


立とうと、右手を地面に付けるが。

力も入らず、血で地面に付けた手のひらが滑る。


その様子をじっと見ていた控室の男。

ジーラスに負けたドノヴァが見つめていた。

そして、口を開く。


「ジーラス・・・俺に・・・俺に勝った男が・・・自ら倒れるとは。

 それでも貴様・・・我がライバルか!!」


ドノヴァの雰囲気を考えると、周りの全員が驚くほどの声色でそう叫んだ。

その声は、戦うラクリアとジーラスにもしっかり聞こえていた。


「・・・そうだな、ドノヴァ・・・!」


勢いよく、両手を地面に付けるジーラス。

渾身の力を籠め、身体を立ち上げる。

それと同時に、両肩の傷口から血が吹きあがった。


「お、おいおい・・・!」


その様子と、鬼のような形相のジーラスを見て怯むラクリア。

手元に転がっていた長剣を拾い上げると、最後の力とばかりにラクリアに走る。


「うぉぉおぉ!!」


技などない、力任せの一撃は。

驚いたラクリアでも難なくかわせるほどの稚拙な攻撃だった。


盛大に空振りをしたジーラスの身体が、地面に倒れる。

立ち上がる力も何も残ってはいないように見えるその身体。


審判がジーラスに近寄り、様子を伺う。


「・・・勝者、ラクリア!

 そして、最後まで戦いを諦めなかったジーラスに拍手を捧げてください!」


審判がそう叫ぶと。

観覧席からは拍手喝采が起こった。


――――――――――――――――――――


勝利宣言と同時に、ドノヴァが闘技場内に走る。

倒れるジーラスに肩を貸すと、控室に戻ってきた。


「見事だ、ジーラス」


「そんなことは・・・無いさ、俺は負けたんだ」


「・・・やはり、お前は俺の・・・終生のライバルだ」


そう言って顔を見合わせるドノヴァとジーラス。


「ねえ、トーマさん」


隣に座っていた八霧が腰を上げる。


「ああ、渡して来い」


「うん」


懐からポーションを取り出すと、八霧は二人に駆け寄っていった。

いいライバル同士だな、ドノヴァとジーラスは。


読んで下さり、ありがとうございました。

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