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集団転移!ーギルドメンバーごと転移したLvカンスト竜騎士-  作者: 倉秋
ゼローム皇国の騎士編-御前試合ー
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49話

セニアが夕飯の準備をしているのを後ろから見ていた。

しかし、セニアの手際が良すぎる・・・一人で全員分を賄えるほどの手際の良さだ。


拠点の扉をノックする音が聞こえる。

同時に、扉が開く音が辺りに響いた。


「ただいま戻りました」


「す、すみません・・・時間がかかりました」


1号とトリスだ。

ゼフィラスの妹の捜索をしてもらっていたが・・・どうだったのだろうか?


トリスはへとへとになっていたが、1号はすました顔で神威(かむい)に近づいた。


「マスター、1号・・・ただいま戻りました」


そう言って、丁寧に一礼した。


「・・・1号も、目覚めた?」


そう言って、神威は1号の両頬を両手で触る。


「まふはー?」


マスターと喋ったのだろうが、頬を触られているので言葉が上手く出ていない1号。

神威は嬉しそうに、1号の頬を触り続けている。


「んん・・・!マスター、触ってくれるのは嬉しいのですが。

 まずは、トーマ様にご報告を済ませてもよろしいでしょうか?」


「報告?」


俺を見る神威。

1号に頼んだことを、神威にも話した。


――――――――――――――――――――


「なるほど・・・」


神威はそう呟くと、1号を見た。


「ご苦労様・・・どうだった?」


1号にそう話しかける神威。


「はい、まずは簡単に」


そう一言切る1号。


まず、ゼフィラスの妹は見つからなかった。

その後、ゴルム団長を見張ったが大した動きはない事。

トリスと共に、八霧(やぎり)の付けた丸印の場所を重点的に探したが・・・。

特に何もなかったことを報告してくれた。


「ゲートを使った可能性はあると思うか、八霧?」


「あるけど・・・すぐに足がつく方法を取るとは思えないね」


確かにな・・・。

一発でばれる方法だ。


このカテドラルは、随所に魔法防御を構築している。

内部でゲートを使おうものなら、ちょっとした騒ぎになるだろう。


「もう一度、地図を見てみるよ」


そう言うと、1号に手を差し出す八霧。

1号が地図を取り出すと、八霧に渡した。


「あの、僕は戻りますね」


「・・・そういえば、トリスはイグニスの従者扱いなんだよな?」


「はい」


少し考える。

イグニスにも、ゴルム団長が捕まったという話は行っているはずだ。

・・・トリスから、俺達の情報を渡しておいた方がいいかもな。


「イグニスにも、情報を共有しておいてくれ。

 ただ、派手に動くなとリルフェアから命令があったと伝えておくのを忘れずにな」


そう言えば、イグニスが派手に動くことはないだろう。

アイツの性格なら、勝手に判断して聖堂騎士達を動かす可能性がある。

良くも悪くも、正義感の強そうな奴だからな・・・。


「分かりました・・・では、また明日」


「ああ」


今日はこれくらいにしておこう。

・・・夜に動けば怪しまれる可能性も高くなるしな。


――――――――――――――――――――


頭を切り替えて、夕食を食べることにした。

せっかく、セニアが腕によりをかけて用意してくれた食事だ。

味わって食べよう。


「・・・あの、セニアさん?」


「セニア、でいいですよ、八霧様」


セニアがそう言うと、八霧は言い直すように。


「じゃあ、セニア。僕も・・・様付けはいいよ」


そう答えた。


「では、八霧さん?」


「・・・まあ、それでいいかな。って、そうじゃなくて」


机の上を指さす八霧。


「これは?」


机の上に乗せられた、ホカホカと湯気を立てる料理。

それは・・・『ラーメン』そのものだった。


「はい、腕によりをかけて・・・麺から作りました」


「凄いな・・・だが、ラーメンなんて知ってたのか?」


俺がそう呟くと、セニアは。


「EOSのメニューにはありましたよ?」


メニューにあったとそう答えてくれた。

そ、そうか・・・あったのか。


――――――――――――――――――――


・・・しかし、こっちに来て一週間と経ってないが。

元の世界にいた頃が、遠い昔のようだ。

見知った料理を見ると、そう感じた。


「現実の料理を見ると、異世界だとは思えなくなるね」


「ああ・・・そうだな」


俺達も、いずれ帰れるのだろうか?


こちらの世界は、俺を必要だと言ってくれる人がいる。

リルフェアやラティリーズとの約束・・・専属騎士としての仕事。

今、目の前に帰れる扉があったとしても。

俺は戻らないだろう。

少なくとも、ラティリーズが俺を必要とする限りは。


だが、それは俺のエゴだ。

他の・・・八霧や神威は、帰りたいと思っているかもしれない。

帰りたいと思っているのなら、出来れば帰してやりたい。


・・・今は、帰れるのかどうかすら、分からない状況だがな。


「八霧、神威」


二人がこちらを見る。


「元の世界に、帰りたいか?」


いっそのことだ、聞いてしまおう。

藪蛇になるかも知れないが・・・な。


「元の世界に?」


顎に手を置き、考える八霧。


「そんなに、かな?」


「そうなのか?」


意外だ、結構な即答だった。

帰りたいかと聞いて、かなり長考するものだとばかり考えていたからだが。


「うん、こっちの世界なら・・・僕のしたいことが出来そうだし」


「したいこと?」


頷く八霧。

そして、目を窓の方向に向ける。


「うん、僕・・・薬剤師になりたかったんだ」


「薬剤師・・・だから、錬金術師を選んだのか?」


そう考えると、八霧が錬金術師を極めたのも頷けるが。

目の前の八霧は


「うーん、そこまで深く考えてなったわけじゃないけど。

 ・・・でも、今この状況になってこの職を選んで正解だった、そう思ってるよ」


八霧は懐から赤いポーションを取り出した。

それをじっと見る八霧。


「トーマさんは、僕の家庭を知ってるから分かると思うけど。

 うちじゃ、薬剤師になれるお金は・・・何処にも無いからね」


母親と二人きりの生活だと聞いた。

そうか・・・薬剤師になるとしても、薬科大学を出なければならない。

費用を考えるだけでも、莫大だ。


・・・母親とうまくいっていない八霧としても、

その夢を叶えようとするのは難しい、か。

夢を諦めなければならない状況、という訳だ。


「でも・・・この世界なら、僕の薬で色んな人が治せる。無免許だけどね」


そう言って、おどけて笑って見せた。


御前試合の最中も八霧のお陰で助かった奴が大勢いた。

彼でなければ、助からなかった命もあるだろう。


そうか、薬剤師になりたかったのか。

そして、この世界なら・・・八霧の夢が叶う。


「・・・だったら免許を取ればいい、こっちの世界でな」


そうだ、()()八霧は無免許だ。

だったら、免許を取ればいい話だ。


「免許って・・・お金かかるんじゃない?

 今の僕たちに、そこまでのお金・・・無いんじゃ」


そうだな、今は無い。

EOSで使えたゲームマネーも、今じゃただの金貨だ。

こいつを溶かして、金塊にすればいいとも前に考えたが。

それは、まだ最終手段にしておこう。


それに・・・金策の手段ならもう一つある。


「金なら心配するな、ここにある」


道具袋からあるものを取り出す。

それは・・・小さい、宝箱だ。


「これ・・・ミミック?」


手のひらサイズに小さい箱に、そう言葉を掛ける八霧。

息をするように、箱のふたが揺れている。


「俺と宵闇さん、Gさんの・・・へそくりだよ」


そう言って、ミミックの鍵の部分にある、ダイヤルキーを回す。


すると、ミミックの蓋が勢いよく開く。

同時に、ミミックから湧き出す宝石と金塊。


「こいつは、ギルドが困った時に使おうと3人で溜めておいた保険。

 ヘルフレイムの所持金の10倍以上は溜まっているはずだ」


「・・・そんなに!?」


流石の八霧も驚いていた。

ギルドの所持金など、目が無い程の金額が溜まっている。


俺がEOSで引き出したゲームマネーとは別の、金銭的な保険。

このミミックの中には、課金用アイテムも大量に入れておいた。

ただしゲームマネーは一銭も入っていない。

理由は簡単だ、この小型ミミックには『金貨』が入れられなかったからだ。


「ああ・・・ただ、ギルダー達に見つかると勝手に使われる可能性が高かったからな。

 誰にも知らせず、全員の共用ストレージに隠していた訳だ」


「でも、これは・・・ギルドのためのお金だよね?」


「ああ、ギルド(みんな)のための金だな」


目の前で金塊や宝石を吐き続けるミミックを見る。

これを売れば、資金源になるだろう。


「だから気にするな・・・もし、気になるんだったら稼いだ金で返せばいい。

 それ自体はお前の自由だし、強要する気は無い」


「トーマさん・・・」


「ただし、やるからには半端はするんじゃないぞ。それだけ約束してくれ」


「もちろんだよ・・・!」


そう言う八霧は嬉しそうだ。


宵闇さん、Gさん・・・いいよな?

八霧や、神威の為に、この金を使っても。

もし・・・怒るのなら、俺だけにしておいてくれ。


読んで下さり、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] ゴルムは有罪確定なんだから拷問でもして居場所を吐かせれば良いのに… 色々とヌルイ世界というか… この主人公ってやることが中途半端でモヤモヤする。
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