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集団転移!ーギルドメンバーごと転移したLvカンスト竜騎士-  作者: 倉秋
ゼローム皇国の騎士編-御前試合ー
46/381

46話

2話前と、直接繋がる話の流れになります。

そして、今。

トリスと1号から話を聞いていた時間まで戻った。

俺が勝ったというと、トリスは嬉しそうに。


「じゃあ、勝ったんですね?」


そう言った。


「ああ」


ハインツの様子を見る。

控室の隅のベッドで寝ているが、俺の視線に気づくと手を振っていた。


「・・・次は、6回戦ですね」


トリスがそう言う。

ああ、次は・・・魔法剣士と、重装の騎士だったな。


「そうだな、見ていくか?」


「いえ、僕は・・・僕に、出来る事をしてきます」


そう言うと、トリスは八霧(やぎり)に貰った地図を握りしめた。


「そうか・・・任せたぞ」


「はい!」


トリスは元気よく言葉を返すと、去っていった。


俺は控室でセニアが用意してくれたドリンクを飲みながら、

次の対戦の見学をすることにした。


俺も動きたいところだが・・・俺も八霧も御前試合の参加者だ。

戦いが終わるまでは、控室で待機していることを命令されている。

勝った者も、負けた者も、事情が無い限りは控室待機だ。

なんでも、過去に起きた替え玉事件のせいで基本出入りは禁止らしい。


――――――――――――――――――――


本日6戦目はフェイ対ディラー。


フェイは木刀を武器に、魔法をエンチャントして戦う魔法剣士。

そこそこ歳を食った見た目で、歴戦の剣士の風貌。

茶髪の髪を、バンダナで纏めている。


対するディラーは、大型の盾と、長めの槍を持った重装騎士。

顔をすべて覆うヘルムには、槍を模した彫り物がしてある。

なるほど、ロンギヌス騎士団というのは一目でわかるな。


「6回戦、開始しま―――」


「むうん!!」


開始の合図と同時に、ディラーの槍がフェイの身体を狙う。


「おいおい、せっかちだな!」


左手で木刀をなぞると、槍を弾いた。

弾かれた槍から、火花が迸る。


「ぬ!?」


思った以上の力で弾かれたのか、槍を構える体勢が崩れるディラー。


「魔法剣士の俺に対し、先制攻撃で機先を制す。

 そうだよな、そうした方がいい」


そう言いながら、木刀の先で地面をこするフェイ。

そして、その木刀の先を、ディラーに向けた。


「エンチャントされる前に、先制攻撃。

 定石だが、俺には通じないぜ」


フェイの木刀は、何も詠唱していないのに魔力の光で輝いている。


「・・・なるほど、一筋縄・・・ではないか」


槍を構え直し、盾の下側を地面と接触させたディラー。

その盾の重さか、接触させると同時に小さな砂煙が盾の下で起こる。


―――――――――――――――――――――


「盾持ちの強みを使うか」


「強み?」


「ああ、軽装備の戦士と戦うときは有効な手だ」


盾を相手に向けたまま、自分はゆっくりと近づいていく。

相手からすれば、盾を掻い潜って攻撃しなければならない状況だが。

不用意に近寄れば、盾の一撃を食らい。

間合いを取れば、リーチの長い武器で一方的に攻撃される。

相手の横や後ろに回れたとしても、あの重武装とそれを動かす筋力。

一撃で仕留めきれなかった場合は、逆にピンチを招くだろう。


とは言え、弱点が無い訳でもない。

攻撃する一瞬の隙を突かれれば、防御も崩れるだろうし。

何より、魔法からチクチクと攻撃されると対処が出来ない。

俺の場合は、ナイフ投げや槍投げのスキルがあるから、それで対処できるが。


目の前の彼は、果たしてどういう手を使うのだろうか。


――――――――――――――――――――


盾でじりじりと、フェイを闘技場内の端まで追い込む。

フェイは、魔法の光を放つ木刀を構えたまま、ディラーの隙を伺っていた。


(盾を構えて、ゆっくりと攻める。俺が攻撃した瞬間に、反撃するつもりだろう)


左手に魔法を詠唱し、その手で木刀をなぞる。

すると、木刀に電撃が走った。


「なら、重装備用の攻撃をさせてもらうぜ!」


木刀で、叩くように盾を殴るフェイ。

木刀に走っていた電撃が、盾に通電する。


「ぐ・・・!」


電撃の痛みで、多少後ずさるディラー。


「どうだ、電撃の痛みは?」


「重装備に対する、電撃は最良の選択だな・・・」


そう言うと、ディラーは再度盾を構え直す。

すると、盾の表面に淡い光が現れ始めた。


「だが、対策をするのは当然だろう?」


フェイが木刀を構え直すと、再び電撃を纏わせる。

その木刀で、ディラーの盾を狙う。


「!」


盾に木刀が衝突すると、再び電撃が弾けるが。

盾には感電せず、大気へ全て弾き返された。


「く・・・魔法防御か」


「ああ、その通りだ」


木刀を盾から離すと、フェイは間合いを取って木刀を構え直す。


「・・・なら」


左手で木刀をなぞると、木刀が淡く光る。


「む・・・」


その様子を見たディラーは盾を構えて警戒した。

フェイはその場から跳躍すると、木刀を振り上げる。


自分の落下に合わせるように、木刀を振り下ろすフェイ。

未だ淡く光る盾に木刀が衝突する。

すると、衝撃波のようなものが衝突した部分から巻き起こった。


「ぬう!?これは・・・!」


盾に衝撃が走り、ディラーは盾ごと後ろに仰け反った。

それでも衝撃の反動が抜けきれず、後ろに身体が引きずられるように、仰け反った。


対するフェイも、その衝撃波の影響で身体が後ろに吹っ飛んでいた。

空中で2度回転すると、綺麗に地面に着地した。


衝撃波(インパクト)か」


「ああ、いくら魔法防御が高くたって・・・これは防げないだろ?」


魔法『インパクト』は魔法防御に関係なく、衝撃を与える魔法。

ただし完全に無視できる、という訳ではない。

魔法防御力の高い相手に使用すると、

自身に帰ってくる衝撃も強くなるデメリットも存在する。


「だが、お互いが吹き飛ぶ・・・どうにもならんぞ」


体勢を整えたディラーがそう言う。


「ああ、そうだな・・・だが、俺は『魔法剣士』だぜ」


そう言うと、再び木刀を触るフェイ。

淡く光る木刀。


「同じ技が二度、通じると思うか?」


「それは・・・どうだろうな!」


木刀を振りかぶるフェイ。

ディラーは盾を構えてそれを待つ。

だが今度は槍を構え、フェイに反撃をしようとする。


再び、木刀と盾が衝突すると衝撃波が巻き起こる。

先ほどと同様に、二人の体勢が崩れる・・・が。

ディラーの槍の一撃が、吹き飛ぶフェイを捉える。


「おっと・・・!」


紙一重で槍をかわすが、肩に槍の先が接触する。

多少の血が空中に舞うが、フェイは意に介さず自身の策を実行する。


吹き飛ぶ体勢のまま、木刀を構えるフェイ。


「『魔法の斬撃(マジックスラッシュ)』!」


構えた木刀が空を切る。

すると、木刀の軌道から現れた光波のようなものが、ディラーを襲った。


「な・・・!」


ディラーも無理な体勢で反撃を行ったため、それを防御することが出来なかった。

防御も、受け身も取れずに、まともに光波を浴びるディラー。


「ぐぁ・・・!?」


光波はディラーの身体を突き抜ける。

同時に、ディラーが片膝をついた。

その顔は、痛みで歪んでいる。


「がぁ・・・こいつは・・・!」


「高濃度の魔力を身体に流されたんだ、立ってるだけでも辛いはずだぜ?」


「ふ・・・!なるほどな・・・2度目はこう来たか」


胸を押さえながら、ディラーが立ち上がる。


「頑丈だな・・・普通の戦士だったら、あの一撃で倒せるぜ?」


多少驚きつつも、フェイはディラーを褒めるようにそう言った。


「ロンギヌス騎士団の代表として、簡単に倒れるわけにはいかん!!」


叫ぶようにそう言うと、槍と盾を捨てるディラー。

腰に下げた剣を引き抜くと、構える。


「『狂戦士化(バーサーカー)』・・・!」


鎧ごと赤い光を纏うディラー。

ヘルムから覗く目も、赤く光る。


「な・・・その魔法は・・・!」


フェイが間合いを取る。


「こうなれば、俺にもう時間は無い。

 先に、決めさせてもらうぞ・・・フェイ!!」


重装備にも拘らず、ディラーの身体はフェイを凌駕するほどの速度で動く。

一瞬で間合いを詰められたフェイは、木刀で防御の型を取る。

狂戦士状態で振り下ろされる剣の一撃は、防御したフェイを木刀ごと吹き飛ばした。


「ぐ・・・!」


地面を転がるフェイ。

片手を地面に立てると、飛び退きながら体勢を直す。

そして、自身の木刀を見た。

たった一撃なのに、木刀には大きな傷が出来ていた。


(魔法で強化しているとはいえ・・・次の攻撃をまともに受けると折れるな)


「何をしている!」


ディラーの身体は、一瞬の考え事のうちに再びフェイの間合いに入っていた。


「まずい・・・!」


咄嗟に木刀に魔法をかけ、防御の姿勢を取る。


――――――――――――――――――――


ディラーの攻勢が、数分に及び続く。

数十回という剣戟を、紙一重でかわしたり、木刀で受け、防ぐフェイ。


しかし、次第に押され始める。

体中は、かわしきれなかった攻撃のせいで、血まみれになっていた。

だが、致命傷は一つも負っていないのは、彼の技量ゆえだろう。


「があああ!!」


ディラーは既に、狂戦士化の影響が出始め。

技というのが無くなり、ただただ、力のままに剣を振るっている。


「くそ・・・!」


だが、力のままに振るうその一撃は。

まともに食らえば致命傷になり得るほど、重い。

フェイの身体が吹き飛び、地面に転がる。


「まずい・・・!」


目の前に、剣を振りかぶるディラーの影が映る。


「が・・・!」


しかし、剣を振り上げたまま固まるディラー。

プツリと何かが切れたように地面に仰向けに倒れた。


「はぁ・・・はぁ・・・はぁぁぁー」


フェイが肩で息をしながらため息をつく。


「間に、あったぁ」


地面にへたり込み、息を切らせるフェイ。


「審判、狂戦士化が切れたぜ・・・」


「あ、ああ・・・勝者、フェイ!」


歓声が上がる、闘技場内。

倒れたディラーを見るフェイは。

一礼すると、控室に帰っていった。


読んで下さり、ありがとうございました。

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