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集団転移!ーギルドメンバーごと転移したLvカンスト竜騎士-  作者: 倉秋
ゼローム皇国の騎士編-御前試合ー
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36話

八霧(やぎり)と闘技場内に向かうと、そこの雰囲気は先ほどと違っていた。

張り出された予定表に書き込まれた人物名。

そして、集まっていた俺達含め・・・16人。


どうやら、俺達が最後に合流した参加者らしい。。


1回戦 ラクリアVSランキ

2回戦 ドノヴァVSジーラス

3回戦 ソフィアVS八霧

4回戦 ブロギンVSドリー


午前中の内容は以上だ。


午後からは。


5回戦 ハインツVSトーマ

6回戦 フェイVSディラー

7回戦 ゼフィラスVSエッジ

8回戦 カロVSレンドガ


俺は、5回戦・・・午後の部の最初だ。


そして明日の日程。


午前中に今日、勝ち抜いた者同士が戦う。

準々決勝という訳だ。


そして午後から、準決勝と決勝。

こうして、御前試合の王者が決定する。


俺の予想通り、勝ち残ったとすれば。

準決勝でゼフィラスに当たり、決勝で八霧に当たることになる。

・・・そうか、決勝で八霧に当たる可能性もあるのか。


俺達の姿を見た、ある二人がこちらに歩いてくる。


一人は赤い綺麗なローブを纏い、とんがり帽子を被ったいかにも魔女という女性。

俺よりも多少低い身長だが、女性にしてはかなりの高身長だ。

顔は左目の下に泣きぼくろがある、妖艶な女性に見える。

そして、それよりも目立つのが胸。

・・・プリラに負けず劣らずの巨乳だ、目のやり場に困る。


もう一人は白髪が混じる壮年の男性。

身体に纏う鎧は傷だらけで、彼の顔にも無数の傷跡が刻まれている。

そして背負う大剣の鞘も、修復を繰り返したからか、つぎはぎだらけになっている。

歴戦の傭兵、そんな雰囲気の男性だ。


「よう、俺の相手ってのはお前だな?」


片手を上げて、俺に挨拶をしてくるその男性。

俺は一度予定表を見ると、彼の名前を確認する。


「『ハインツ』・・・で、いいのか?」


「おう、その通りだ。『狼の牙』の団長といえばそこそこ名が通っているんだがな」


そう言って、鎧の胸辺りを指さす。

そこには、狼を模したエンブレムが張られていた。


「まあ、そんな肩書・・・この大会では何の関係もない。

 俺は一人の戦士としてここに立っている、だから正々堂々戦おうぜ?」


そう言って、手を差し出してきた。

その手を握り、握手をする。

するとハインツはにっこりと笑い、握った手に力を籠めた。


「心置きなく戦える相手ってのは、滅多に現れるものじゃない。

 そういう意味では、あんたはとても楽しみな相手だ」


「あ、ああ?」


「前回は酷かったんだぞ?ほとんどが貴族の息がかかった戦士同士の戦い。

 真剣勝負とは名ばかりの、八百長に近かったからな」


前回・・・?

じゃあ、この人は前の御前試合にも参加したことがあるのか。


「前年準優勝者・・・よね?」


隣にいた魔女がそう声を上げる。

準優勝者・・・この人が。


「名ばかりのな、それに俺は・・・エマに負けたんだからな」


「エマ・トラッシュ・・・聖騎士ね」


「聖堂騎士のもう一人の聖騎士、か?」


ゼフィラスともう一人、聖騎士がいると聞いたが。

それがエマという人物なのだろう。

今は、国境沿いに配属されているとか・・・会ったことは無い。


「ああ、あいつの強さは半端じゃなかった。

 だが、それよりも強いと言われているゼフィラスが今回は出場している」


「厄介よねぇ・・・勝てるかしら」


そう言って、魔女は少し困ったように苦笑した。


「あ、そうそう。私はソフィア。よろしくね、ヤギリ君」


そう言って、ソフィアは八霧の手を握り、握手する。

八霧もそれに答え、手を握り返していた


「よろしく、ソフィアさん」


「負けないわよ?」


にこやかに、ソフィアという女性は八霧と握手をしていた。

その様子を見たハインツは語りだす。


「俺とソフィアは同郷でな。狼の牙の連中とも仲がいい」


「・・・同郷か」


だから、仲がよさそうにに見えるのだろうか。


「俺達はゼロームの東にある、『ウォルリーク』っていう街から来てるんだ。

 普段は狼の牙の拠点なんだが・・・」


そう言うと、ハインツは言葉に詰まっていた。


「まあ、なんだ。俺達は傭兵団として全国を回っているんだけどな。

 最近はヘルザード帝国との戦争の影響で、稼ぎ口が増えてる」


「・・・戦いが増えれば、傭兵の仕事も増える、か?」


ああ、と頷くハインツ。


「だから、俺は『狼の牙』の名を売りに来たんだ」


なるほど、いい成績を残せば彼の名声が高まる。

それによって、狼の牙の名も知れ渡ることになるだろう。


「まあ、あんたといい試合が出来れば、俺はそれで十分だがな」


そう言って笑うハインツ。

気持ちのいい人だ、その狼の牙でも慕われていそうだな。

そう考えていたら、八霧がハインツに近づいてきた。


「ところでさ、そのエマって人は強かったの?」


八霧がそう聞く。


「ああ、強かった。敵には回したくないと思うほどにな」


そう語るハインツの顔は、懐かしさを感じる様な顔だった。

だが顔は笑っている、嫌な戦いではなかったようだ。


「まあ、あんたらも聖堂騎士なら・・・いつかは会うだろうさ」


そう言うと、ハインツは闘技場の壁に掛けてあった時計を見る。


「そろそろ、1回戦の準備が始まるぞ。

 戦いを見るなら控室に移動した方がいい」


時間を見ると、1回戦の10分前。

確か、対戦者はラクリアとランキだ。

人間とオーガか、どんな戦いになるのだろうか?


―――――――――――――――――――――


控室に入ると、その部屋の隅でベンチに座り何かを考えているゼフィラスがいた。

その顔は、なにやら追い詰められているようにも見える。


「ゼフィラスさん、どうしたんだろ?」


「・・・」


無言で近づき、ゼフィラスの前まで行く。

話かけるか、少し悩んだが。

・・・放っておけない気もしたので、声を掛ける事にした。


「ゼフィラス?」


「・・・トーマか」


顔を上げると、俺を睨むゼフィラス。

その目からは殺気を感じる程、鋭い敵意を感じた。


「あなたに・・・負けられなくなった。全力で潰させてもらう」


それだけ言うと、ゼフィラスは再び目線を落とす。

これ以上、話しかけても無駄だろう。

・・・そう感じる程、彼の姿は鬼気迫るものがあった。


ゼフィラスから離れ、八霧と話す。


「・・・何かあったな」


「何か・・・?」


「ああ」


昨日の彼とは全くの別人に見える。

何かあったと思えるほどに。


それに、ハインツから聞いた『貴族の息』が掛かった戦士という言葉。

もしかしたら、貴族の奴らから圧力がかかったんじゃないかと思う。

だが、彼ほどの人間が貴族から圧力を掛けられたくらいで、折れるようにも思えない。


・・・気になるな。


――――――――――――――――――――


1回戦の準備が始まる中、控室にタオルを運ぶトリスを見かけた。

ここでも小間使いか、大変だな・・・。


「トリス」


「あ!トーマ様」


タオルを所定の場所に置くと、俺に走り寄ってきた。


「どうかしたんですか?」


「・・・ゼフィラスの様子を見てくれ」


「え?」


振り返り、ゼフィラスのいる方向を見る。

そして、トリスは少し驚いた表情をした。


「ゼフィラス様、どうしたんでしょうか・・・?」


トリスでもわかるほど、ゼフィラスの顔は歪んでいた。

そして先ほどよりも、近寄りがたい雰囲気を醸し出していた。


「俺も気になってな・・・トリス、何か心当たりはないか?」


「心当たり?」


「ああ、ゼフィラスが誰かに脅されたとか、そんなのだ」


トリスが顎に手を当てると、何か考え込む仕草をする。

そして、あることを思い出したのか、俺の顔を見た。


「一つだけ、心当たりというか・・・。

 昨日、ゼフィラス様が団長室から出てくるのを見ました。

 お顔は見えなかったんですけど・・・その、後ろ姿が怖かったのを覚えてます」


「怖かった・・・か」


あの団長に何か言われた、そう考えるのが妥当か。


「トリス、お前・・・団長室に入れるか?」


「え?は、はい・・・雑用事で呼ばれることもありますので」


・・・調べてもらうか。


「危険かもしれないが、団長室を調べてくれないか?」


「ゴルム団長の、部屋をですか?」


「ああ・・・ゼフィラスの様子、彼の部屋に関係ありそうな気がするんだ」


その言葉を聞いたトリスは一瞬考えるが。

俺の顔を見て頷くと。


「トーマ様のいう事なら、間違いはなさそうですね。

 分かりました!調べてみます」


そう言ってくれた。


「・・・ありがとう、だが・・・無理はするなよ?」


そう言うと、トリスはにっこりと笑い。

はい!と元気よく答えた。


その姿に、一抹の不安を覚えた。

無茶をするんじゃないかと。

・・・何か、保険を持たせた方がいいだろう。


そう思い、道具袋を漁った。


読んで下さり、ありがとうございました。

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