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集団転移!ーギルドメンバーごと転移したLvカンスト竜騎士-  作者: 倉秋
ゼローム皇国の騎士編-御前試合ー
34/381

34話

7号の正式名称が判明します。

カレーは好評で、すぐさま売り切れた。

神威も満足そうな顔で7号と話している。

ラティリーズとリルフェアの二人も、満足そうな顔で口元を拭いている。


・・・しかし、意外に大食らいな二人だった。

俺以上に食べるので、正直びっくりした。


「普段は決められたものしか食べられないから・・・こういうのは新鮮でいいわね」


「はい、お母様」


それは何よりだ。

カレーは家庭食だから、口に合わなければどうしようとも思ったが。

それは、杞憂だったようだ。


「それで、トーマ。ここを避難所にしても大丈夫かしら?」


先ほどの話か。


「それは構わない。むしろ、この場所を預けられた身としては断れないと思うが」


「そうね」


そういって、リルフェアは笑っている。

立ち上がり、一息入れると。


「明日は御前試合の本戦、遅くなる前に戻るわ」


リルフェアは、広間の真ん中にある銅像に触れる。

それと同時に、ラティリーズを手招きした。


そう言えば・・・この銅像、いつの間に運び込んだんだ?


「その銅像、いつここに?」


「イグニスが運び込んでくれたのよ」


なるほど。

・・・イグニス、存外力持ちだな。


しかし、誰もいないと勝手に入られるという事だ。

何かしら、鍵のようなものを掛けた方がよさそうだ。

避難所にするというのなら、尚更だ。


「さて、ご馳走になって悪いけど・・そろそろ戻るわね」


銅像の目が光ると、ゲートが開いた。

その中に入っていくリルフェア。

ラティリーズもその後を追おうとするが、一瞬、こちらに振り向いた。


「トーマ様、ご健闘をお祈りします」


そう言って、一礼するとゲートの中に飛び込んだ。

光と共に閉じるゲート。



カレーの後片付けをしながら、八霧と話す。

すると、7号が俺の顔を見て。


「あ、トーマ様、お顔にカレーが付いてますよ?」


「・・・本当か?」


咄嗟に口を拭おうとするが、7号に制止される。


「服の裾が汚れます!はい」


メイド服のポケットからハンカチを取り出すと、口元を拭ってくれた。


「あ、ああ・・・ありがとう」


「いえいえ・・・あ、前髪も少し跳ねてますね」


そう言うと、7号が手鏡で俺の顔を見せてくれる。

・・・おお、アバターで作ったままの顔だ。

そう言えば、こっちに来てから初めて鏡を見た・・・。


「・・・って、俺は若返ったのか」


まじまじと顔を見る。

現実の顔は皺とほうれい線が出始めていたが。

目の前の顔は皺ひとつない、30代の男性だ。


こちらに来てから、肉体的も精神的にも疲れがほとんど感じないと思っていた。

この『トーマ』というキャラのステータスが関係しているものだとばかり考えていたが。

・・・年相応に、若返ったという事でもあったか。


「・・・そうか」


何となく、納得した。

前に7号に言われた、『若い』とはそう言う事か。


7号に言われた癖毛を直す。


「ありがとう、7号」


「はい」


にっこりと微笑む7号。

その様子を見ていた八霧が、神威に顔を向ける。


「・・・ねえ、神威」


「ん?」


カレーの皿を、片付けようとしている最中だった神威。

その行動を止め、八霧の方を向く。


「7号って・・・ずっと『7号』なの?」


「??」


言ってる意味が分からないと、首を傾げる神威。


「名前だよ。7号って・・・番号名だし」


「・・・あ」


気づいたかのように、手を打った。

そう言えば、そうだな。

『7号』は彼女の型式名だ。

名前かと言われれば、微妙だろう。

・・・ずっと、流れでそう呼んではいたが、彼女にも名前が必要だろう。


「名前は、メイド服の後ろに刺繍してある」


「え?」


7号が、自分のメイド服を見る。

そして、その刺繍は・・・手首の襟の裏に書かれていた。


「前からずっと考えてた。

 でも、EOSだと名前変更するのにお金掛かる」


そうだったか・・・?


「ああ、そうだったね・・・ドールもNPC扱い。

 NPCの名前を変えるためには、『名無しの羽』が必要なんだよね」


「課金アイテムか・・・そう言えば、そんなものもあったな」


神威の話によると。

初めは名前を設定しようと思っていたらしいが。

一度、全員を作ってから設定しようと考えていたらしい。

だが、名前変更に課金アイテムが必要と後で知り。

無課金状態でプレイしていた神威はどうしようかと悩んでいたらしい。


「結果的に名前は、型式番号のまま・・・か」


だが名前は皆、付けていたようだな。

7号は、裾に書かれた文字を見ている。


『セニア』


そう、裾には刺繍してあった。


「セニア・・・私の、名前?」


「ん。皆にも、名前がある」


頷きながら、神威は全員を指さす。


「そうか、じゃあ・・・7号はセニア、という名前なんだな?」


神威にそう確認すると、頷いた。

じゃあ、これからは『7号』ではなく、『セニア』と呼ぶことにしよう。


「名前・・・セニア・・・はい!」


満面の笑みで、神威を見る7―――もとい、セニア。

彼女のその笑みは、とても柔らかく見え。

その笑みで、場にいる皆が自然に笑っていた。


――――――――――――――――――――


その頃、聖堂騎士団、団長室。

ゴルムは鼻を鳴らしながら、不機嫌そうに食事を取っていた。

その机の向かいには、ゼフィラスが座っている。


「ゼフィラス、貴様・・・トーマに勝てるのだな?」


「分かりません、やってみなければ」


ゼフィラスはソファーに立てかけている大剣を見る。

装飾が彫られた鞘は、ランタンの光で輝いている。


「分からん、ではない!必ず勝て!さもなければ」


「・・・どうすると?」


ゼフィラスもゴルムを睨む。

その威圧するような目に、ゴルムは一瞬怯んだ。


「ぐ・・・いいのか?貴様の妹がどうなっても」


「べリーゼが何か・・・?」


ゴルムは下品な笑い声を上げると、二回手を打った。

すると、団長室の奥の仕切りが開かれる。


そこには金髪、ウェーブが掛かった少女が聖堂騎士二人に、腕を押さえられていた。

そして、その少女は・・・ゼフィラスにはよく見覚えがあった。


「べリーゼ・・・!?」


ソファーに立てかけた大剣を持とうとするが。


「おっと、動くなよゼフィラス」


ゴルムがそう言うと、二人の聖堂騎士が短剣を少女に付きつける。

その行動を見て、ゼフィラスの動きが止まる。


「いいか!勝たねば・・・妹の命は無いと思え」


そう叫ぶと、ゴルムはゼフィラスを指さした。

その顔は、とても卑しい顔をしている。

鬼の首を取ったような、そんな顔を。


「ぐ・・・」


気絶しているように、べリーゼはぐったりとしている。

押さえている二人が強引に立たせているようにも見える。


「勝てばよい、ただそれだけの話だ」


ゴルムはそう言うと、食事を続けた。


「勝てば・・・妹を返してくれるというのか・・・?」


苦々しい顔をしながら、ゼフィラスはそう呟いた。

ゴルムはニヤリと笑うと。


「ああ、返してやろう。・・・だが、勝たねば・・・分かるな?」


「どうするというのだ・・・殺すのか?」


拳を握りながら、ゼフィラスはそう問う。


「そうだな・・・これだけの美貌を持つ少女だ。殺すのは惜しい。

 俺の妾にでもするか」


「な・・・!?」


唖然とするゼフィラス。

べリーゼはまだ15、付き合ったこともない生娘だ。

目の前の男に、殺意の眼差しを向けるゼフィラス。


「睨んでも、お前の立場は変わらん。

 さあ、さっさと奴を倒す準備でもしてくるんだな!」


「・・・」


二人の聖堂騎士を一瞥し、ゼフィラスは大剣を担いでその場を後にした。


彼を全力で倒すのは・・・頼まれずとも、するつもりだった。

戦士として、全力で戦いたいと、そう思っていた。

だが・・・今は違う。


妹の貞操の為にも・・・この勝負、命を失ってでも勝たねばならない。


ラティリーズ様の為に、捧げると言った命。

それを、肉親の為に捧げる。

・・・お許しください、ラティリーズ様。


心の中で、ラティリーズに謝ったゼフィラスは。

家族のために、命を掛けると・・・そう誓うのだった。


読んで下さり、ありがとうございました。

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