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集団転移!ーギルドメンバーごと転移したLvカンスト竜騎士-  作者: 倉秋
仲間探しの旅編ーセラエーノとコンドアの街ー
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110話

セラエーノが懐から首輪を取り出すと。


「ふん、ふん、ふーん」


楽しそうに、首輪をカチャカチャと弄っている。


「あの、トーマ様・・・セラエーノ様は何を・・・?」


そう聞いてくるラティ。


「さあな・・・予想が出来ん」


セラエーノの事だ、危ないものではないはずだが。


しばらくカチャカチャと言う音が部屋に響く。

少し暇なので、カロと話すことにした。


「セラエーノと一緒に来たのか?」


「ああ、外れの村で出会って、それ以来だ」


カロが、腰に下げた刀を触る。

御前試合で折れた刀だ、直してもらえたか。


「助かったぞ、トーマ殿」


「礼ならセラエーノに言え」


「既に言った、だからこそトーマ殿に言っている」


「そうか」


ふっと笑う俺。


「出来たー!よし」


セラエーノがガッツポーズを作ると、その出来た首輪をガルゴに装着した。


「な、なんだこりゃ!」


「呪いの首輪だよ、外せないからね」


「何!?」


両手を縛られた状態で、首輪に手を掛けるガルゴ。

ガチャガチャと首輪を弄るが、取れそうにない。


「それが付いてる限り、ステータスは爆下がりするからね。

 もう、悪いことをしようなんて思わない方がいいよ」


「何だって・・・!?」


何度も、何度も首輪を外そうともがくガルゴ。

努力も空しく、首輪はがっちりとガルゴの首に巻きついたままだ。


「くそ、くそが!」


「どれだけ下がるんだ?」


「95パーセント以上」


エグイな、おい。


今のガルゴは、この世界の兵士よりも弱い気がする。

これなら、引き渡しても大丈夫だろう。


「本当に外れないよな?」


「鍵を作らないと外せないよ。まあ・・・無理だろうけど」


「無理?」


「私と同等の鍛冶スキルを持ってないと鍵の複製は無理」


そりゃ無理だ。

ご愁傷様だな、ガルゴ。


「くそぉぉぉお!!」


ガルゴの叫びが、屋敷中に響いた。


―――――――――――――――――――――


屋敷の前に、複数の兵士が押しかけてきた。

雨の盗賊団と言うのは、それだけの悪行を重ねていたようで。


傘を差した野次馬たちが、連行されていく雨の盗賊団に石や泥団子を投げていた。

自業自得とは言え、多少は可哀そうに見えるな。


「ご助力、感謝いたします」


敬礼をする兵士。


「いや、捕まってよかったよ」


「彼らに親族を殺された者も多く、ああされても文句は言えないでしょうね」


子供の投げた石が、ガルゴのこめかみに当たってふらついている。

・・・ステータスが下がったというのは本当だな。


「報酬も出ますので、後日我々の詰め所に来て下さい」


「あ、ああ」


「では」


もう一度敬礼をすると、傘をさして走りだす兵士。


「一件落着、か」


そう呟き、手を見る。

俺は本気であいつを殺そうとした。

ムカついて、ここまでしたのは初めてだろう。


あの二人が、ガルゴの毒牙に掛かると思うと我慢が出来なかった。


「申し訳ございません、トーマ様。ご迷惑をお掛けしました」


「ああ、そうだな・・・」


振り返ると、申し訳なさそうな顔をしたオリビアが俯いていた。


「我々は、本来ならばトーマ様やマスター。

 ギルドに所属する団員を命を掛けて守る存在。

 それなのに・・・今回は」


「もういい、無事だったんだからな」


ポン、とオリビアの頭の上に手を置く。


「それよりも塩漬け、届けなくていいのか?」


あ、と言う顔をするオリビア。


「忘れるところでした・・・!」


再び足元のユニットを展開すると。

今度こそ、首都へ向かって走りだしたオリビア。


「・・・やれやれ」


色々あり過ぎて、疲れた。


――――――――――――――――――――


雨の盗賊団は壊滅、この屋敷にも平穏が訪れた。

あの後セラエーノが隠された横穴を発見し、それを塞いだ。

どうやら横穴は床に繋がるように掘っていたらしく、巧妙に細工もされていた。

誰も見つけられなかったというわけだ・・・迂回して床に掘ってるとはな。


セラエーノの持つ、物質内部を調べるハンマーが無ければ見つからなかっただろう。

本人も、金属の組成を調べるために使っていたハンマーを、

隠し穴を調べるために使うとは、と呟いていたが。


「ふぁ・・・んん!」


俺はベッドに横になり、ぼーっとしていた。


雨が降り続いているせいで、出て行くに出て行けない状態だ。

メイド達からもお礼がしたい、数日滞在してくれと頼まれたし。

俺としても有難いが、警備をする必要が無くなった以上、暇でしょうがない。


「少し寝るか」


まどろんで来た。

雨が止んだら、セニアと、ラティが受けたという炊き出しの手伝いと・・・。

そうだな・・・騎士団に顔を出すのも、面白いかも・・・な。


眠気が襲って来て、落ちかけたその時。

ドアを叩く音に、眠気が吹き飛んだ。


「うぉ、誰だ?」


「私です、セニアです」


「セニアか」


眠気眼をこすり、応対するために身体をベッドから起こした。


ドアを開けると、そこには申し訳なさそうに俯いているセニアが立っていた。


「どうした?」


「あ、その・・・今回の件、謝ろうと思いまして」


「謝る・・・操られたことか?」


「はい」


深々と頭を下げるセニア。


「御免なさい!」


「・・・」


謝られてもな。

セニアがドールである以上、あの道具に抗うのは不可能だったろう。

それに、謝るべきはガルゴ、セニアではない。


「頭を上げろセニア。あやつられたお前に罪は無いぞ」


「で、でも」


「気に病むなら、そうだな・・・」


何か、罰のようなものをさせればセニアも納得するだろう。

とはいえ、罰なんてすぐに思いつくものも。


部屋を見渡すと、一つ気づいた事がある。

長いこと雨が降っているので、洗濯物が溜まりつつある。

メイド達が言うには、洗って暖炉の近くに置くことで強引に乾かすらしい。


そうだ、洗濯でもしてもらうか。


「洗濯してくれ、俺の分を含めて仲間全員の」


「へ?洗濯?」


「ああ、セラエーノの分もカロの分も。

 ラティの分もな」


セニアは目を何度か瞬くと。


「は、はい!」


元気よくそう答えた。

身体を動かしている内に、気に病んでいる気持ちも少しは紛れるだろ。


――――――――――――――――――――


雨の降り続ける中。

一人の長いローブを着た女性がコンドアの街の入り口をくぐった。

ローブから覗かせる青白く長い髪が雨で濡れる。


「ふふ、竜騎士はこの街にいるのねぇ」


「・・・は、その筈です」


隣に控えているボロボロのローブを着た騎士が頷く。

その騎士の鎧は赤と黒で装飾されている。


「しかし、護衛にしては少なすぎるのでは・・・ティアマ様」


「あら、バルク第2位の騎士のあなたがそう言うの?」


「過信は禁物です、私以上に強い者は・・・ティアマ様を含めて大勢います」


そう言う騎士の顔はフードで隠れている。

しかし、フードから少しのぞかせる長い赤い髪と、端整な顔立ち。


彼女の名前はセイラ。

バルク国第2位の騎士であり、自他共に認める努力の騎士。

そして、ティアマの信奉者である。


「ティアマ様はバルク国の宝、宝石です。

 そのような方が、なぜこのような辺鄙な所へ・・・」


「会いたい人がいるのよ」


「会いたい・・・?」


目のハイライトが消えるセイラ。

その目は、ティアマが会いたいという人物に殺意を向けているような目だ。


「誰でございましょう?ティアマ様がわざわざ会いに来るような人物とは」


「ふふ・・・会えば分かるわ、会えば」


クスクスと、セイラの様子を見て笑うティアマ。


「さあ、探しましょうか」


「・・・は」


不服そうに答えるセイラ。

その様子を見て、ティアマはまたクスクスと笑うのだった。


読んで下さり、ありがとうございました。


活動報告で書いた通り、修正を行ってます。

物語にも結構な修正が入るので、次回の投稿が遅れますので、ご了承ください。


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