表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
集団転移!ーギルドメンバーごと転移したLvカンスト竜騎士-  作者: 倉秋
仲間探しの旅編ーセラエーノとコンドアの街ー
103/381

103話

コンドアの街の夜。

雨も小雨になり、外に出られなかった大人たちがちらほらと外に出てきた。

コンドアの街名物の『夜の商店街』だ。


雨季は昼に大雨が降り、夜には小雨になることが多い。

そのため、普段は昼に開く店を夜に開くことが多くなり。

最終的に、夜の商店街と呼ばれるほど大規模なものになった。


その夜の商店街を、道の外れから見る一団がいた。


「リーダー、賑わってますね」


「ああ」


黒を基調にした生地に緑の一本線が入ったローブを着た一団。

その一団が光を避けるように暗がりで街の様子を眺めていた。


「今回の獲物は?」


「黄金と呼ばれた男が残した、マジックアイテムだ」


「また狙うんですか?前に失敗したものを・・・」


「装備すれば、魔法の才の無いものでも魔法が扱えるようになる。

 人によっては喉から手が出る程欲しいものだぞ。

 再度狙うだけの価値はあるんだよ」


リーダーがニヤリと、口を歪める。


「ところで、あのメスエルフがこの街に入ったというのは本当か?」


メスエルフ、ドリーの事だ。

数日前に護衛として雇ったが、事の真相を言うと反抗してきたので排除しようとした。

しかし、流石は御前試合出場者・・・手傷は負わせたものの始末するには至らなかった。


「ええ、目撃情報があります」


「どうしますか、リーダー」


「邪魔をするようなら始末しろ、当面は盗みが先だ」


リーダーはそう言うと、一団を見た。


「まずは、『コンドアの炎』に接触するぞ」


「は」


男達は歩き出した。


「『魔術聖書(マジックバイブル)』を手に入れるのは我々だ」


――――――――――――――――――――


コンドアの炎、騎士の詰め所。

街の中央から少し外れた場所にあり、潤沢な資金で作られた建屋は立派な物だ。

その建屋の前には、警備の騎士が二人立っている。


「ん・・・?」


その見張りがあることに気づいた。

黒いローブの男がこちらを見ているのだ。

物乞いには見えないその破れの無いローブと目線の強さ。


「炎の剣の会に何用か?」


「団長のバンドックに会いたい」


「失礼だが、面会予定などはあるのか?」


「雨が来た、と言えば通るだろう」


「?」


警備は首を傾げたが、黒いローブの男の言う通りに団長に伝えると。


「来たか、そうか・・・わかった」


その来客を迎え入れた。


炎の剣の会の拠点の中でも一番上等な来賓部屋に通すバンドック。

飾られた壺や、絵画を見て雨の盗賊団のリーダーはため息を漏らした。

呆れているような顔で。


「相変わらず趣味の悪いことだ」


「そう言うなよ、情報が欲しくないのか?」


コンドアの街の警備だって馬鹿ではない。

盗賊対策として警備隊を編成している位なのだが。


毎回現れる『雨の盗賊団』に全く対処できないのには理由がある。

内側に手引きする者がいるからだ。


「分け前はいつも通り、3割だ」


雨の盗賊団のリーダーが、懐から袋を取り出す。

その中には大量の金貨が入っていた。


「いつもより多いな」


「去年は、予想以上の豊作だったからな」


雨の盗賊団の盗みを裏で炎の剣の会が支援する。

街の警備の状態、パトロールの時間帯、私的に雇った警備の情報など。

集められるだけの情報を、リーダーに渡すバンドック。


「今回は一番の大物だ、前回、前々回は辛酸を舐めさせられたからな」


「黄金の宝物か?いい加減諦めた方がいいんじゃないか?

 リスクが高いと思うんだが」


「主人が病で臥せっている。今が好機とも言えないか?」


バンドックから渡された情報の掛かれた紙に目を通すリーダー。

何度か頷くと、紙の一点に指を指した。


「今回も冒険者を雇ったのか」


「ああ、ただ・・・誰かまでは情報が手に入らなかった。

 人づてだと、男一人と女二人という情報だけだな」


こめかみを何度か人差し指で小突くリーダー。


「ランクの高い冒険者にその編成は無かったはずだ。

 どこかの流れの冒険者だろうな」


ソファーから立ち上がると、紙を懐に入れた。


「情報は有難く貰っておく。

 だが、気づかれてはないだろうな?」


「おいおい、炎の剣の会は誠実をモットーにしてるんだぜ?」


「情報を売っておいて何が誠実だ」


お互いにニヤリと笑いあう。


「騎士団を疑う奴は少ない、それも俺達は聖剣騎士団に所属しているからな」


「名前だけで信頼するとは馬鹿な奴も多いな」


「そう言うな、そのバカのお陰で助かってるんだろ?」


「そうだな」


――――――――――――――――――――


騎士団の詰め所を後にした雨の盗賊団のリーダーはコンドアの街の路地裏に来ていた。

目的は路地裏自体ではなく、そこに存在する下水への入り口だ。


「いつ来ても酷い臭いだな」


「そりゃ、下水ですし」


文句を言いつつ、下水道を進む一行。

薄暗い道を松明の光を頼りに進んでいく。

足元はヘドロで汚れ、壁にもべっとりと何かがくっついている。

ネズミが足元を通っていく。


「それで、下水のあいつらは何処にいるんですかね?」


「あいつらの事だ、俺達を遠くから見張ってるだろうさ」


構わずにそのまま下水の奥へと進んでいく。


すると、下水道の脇に掘られた横穴が見えてきた。


「ここだ」


横穴を覗き、松明の火を近づける。

すえた臭いと、生温い風が中から吹いてきた。


――――――――――――――――――――


下水に潜った雨の盗賊団の数は半数。

もう半数は、コンドアの街で用心棒探しをしていた。

雨の盗賊団は腕利きの盗賊が集っているが、腕に覚えのある人間は少ない。

故に、用心棒は彼らにとっての生命線でもある。


「どうしますか、サブリーダー」


サブリーダーと呼ばれた初老の男性が自分の髭を触る。


「うむ」


酒場に顔を出したが、役に立ちそうな人材はいない。

酒を飲んだくれている底辺冒険者、傭兵騎士。

商人や、エルフも混じっていたが眼鏡に適う者はいなかった。


「駄目だな、次に―――」


目の前を通り過ぎる影。

いや、女性だ。


「カロ!まったく・・・もう酔いつぶれたのかい?」


「無理を言うな嬢ちゃん、その酒はこの酒場で一番強い酒なんだぜ?

 口から火が出る、と言われるほどのアルコールだぞ」


「私は1瓶空けたけど」


「マジかよ・・・バケモンだな」


「麗しい女性を捕まえて化け物ってどういう事?」


カウンターに座る女性。

歩いてきた方向の座席には、酔いつぶれた男性が見える。


この男、かなりの使い手と見えるが。


「申し訳ないが、聞きたい事がある」


女性の隣に座るサブリーダー。


「ん?」


かなりの酒を飲んでいるように見えるが、顔は赤くなく意識もしっかりしている。

女性がこちらの一団をちらりと見る。


「何の用?」


「実は用心棒を探していてね。

 連れの男性の腕が立ちそうだから声を掛けたのだが」


「ふぅん、そうなんだ。

 あなたたち、まさかと思うけど犯罪者じゃないわよね?」


「いやいや、そんな者じゃない。

 ・・・実は、仲間を攫われてね、その奪還のために屋敷を襲う算段をしている」


「仲間?」


ピクリと、女性の耳が動く。

サブリーダーがふっと笑う。


「私はコラッド、雨の団という冒険者の幹部だ」


「名乗られたら返すのが礼儀だね。

 私はセラエーノ、そっちでつぶれているのがカロっていう剣士だよ」


「なるほど、セラエーノ殿、カロ殿か」


満足そうに笑うコラッド。

それをセラエーノは多少疑うような目で見ていた。


「仲間を救い出すための用心棒を探してる、嘘はついてないね?」


「ああ」


ジーっと、コラッドの顔を睨むように見るセラエーノ。

しかし、一切顔色を変えないコラッドを見て。


「・・・分かった、じゃあ手伝うよ。カロも納得すると思うし」


そう言って、セラエーノはカロを起こしに行った。


多少の不信感はあるが顔色の変わらないところを見ると、

嘘をついていないとそう判断したセラエーノだった。


「流石は『嘘つきコラッド』、伊達じゃないですな」


「そう言うな」


カロを起こすセラエーノを見て。

また、ふっと笑うコラッドだった。


読んで下さり、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ