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2-10 久しぶりの町

久しぶりです。



 特に何の問題なく、昼過ぎにテテルの町に着いた。

 今回はプレイリーウルフも見ない。

 アルがいるからかな?


 平和で良いけど。


 久しぶりの町は、特に何かが変わったってこともなかった。


 昼過ぎと言うことで、時間があるのでガンダルのところへ行くことにする。


 素材を引き取って欲しいんだよね。


 そう話したら。


「ギルドに納めてくださっても良いんですよ?」


 クレアが言うのに、私は首を横に振る。


「ギルドに出すと、討伐系の評価が上がっちゃうから止めとく」

「そうですか」


 残念そうではあるがクレアは引き下がった。


「リーダー、俺らリムと行くよ」

「ああ、ギルドは俺だけで充分だからな」


 コークスたちが着いて来るの?


「ガンダルのとこくらい、私一人で行けるよ?」


 道は覚えてるし。


「まあ、俺たちが気になるだけだから」

「他に買い物もするかも知れないじゃない。オススメのお店教えてあげるわ」

「オススメのお店は、重要だね」


 町のことは、ジュエルたちの方が詳しいもんね。

 私はあっさり同行を受け入れる。


「じゃあ、宿屋でな」

「はーい」


 気安い返事の後、私たちは二手に別れた。


「こんにちはー」


 久しぶりのガンダルの店は特に変わった様子もない。


「おう、嬢ちゃん。久しぶりだな」

「本当にね」

「また、えらいもん連れとるな。そいつも嬢ちゃんの従魔か?」


 ガンダルの視線は、私の左側にぴたりと付いたアルに向けられている。

「うん、新しく従魔になったアルだよ」


 頭を撫でるとアルは嬉しそうに尻尾を振った。

 ガンダルはなんかため息をついている。


「嬢ちゃんが規格外なのは今に始まったこっちゃないわな。で、今日もなんか素材持ってきたのか?」

「うん、今日はトカゲ」


 返事をしてレッドリザードの素材を取り出す。一匹少ない。一匹分はラルガがなんかやりたいって言ってたからあげてきた。だから、二匹。


「レッドリザードが二匹か…相変わらずだな」


 ガンダルの顔が引きつる。みんなも似たような顔をしていた。


「ウロコの具合もいい…」


 皮を見ながらガンダルは唸った。


「なんでこれだけのもんを、二匹も揃えられるんだろうな」

「ねえ?」


 もう一匹いたけどね。

 まあ、アシダカ軍曹がいるから。

 私だけでは逆立ちしたって無理だ。

 ひぃちゃん、ふぅちゃん、アルが揃っていてもきっと無理だ。

 倒すことはできても、捌けない。


 ラルガもラトリと一緒ならなんとか捌けるけど、アシダカ軍曹の爪の切れ味には勝てない。

 見事な素材を用意するには、見事な技量がいるんだよね。


「で、肉は…」

「あ、食べた、食べた」


 大変美味しく頂きました。

 そう言うと、フィッツ、コークス、ジュエルもニコニコで頷いている。

「美味かった」

「美味かったー」

「美味しかった」

「んふふふ」


 唐揚げにしたら、あっという間だったよね。

 ラルガたちの食い付きも半端なかったもん。


「もう、残って…」

「全然、残らなかったよ」

「くおおぉ…」


 ガンダルは絶望した。


 そんなにか。

 つまり、ガンダルはレッドリザートを食べたことがある?


 まあ、確かに残念ではあるけど、仕方ないよね。


「ごめんねー」

「仕方がない…」


 若干どころかかなり意気消沈して、ガンダルは査定を終えた。


「ついでに短剣いるかな? 弓とか?」

「誰が使うんだ?」

「ラトリとフォリかな。セトは畑仕事オンリーになるだろうし」

「短剣は、セトもあった方がいいかも」

「予算足りる?」

「ん、なんだ?」


 フィッツたちと相談していると、立ち直ったガンダルが首を突っ込んでくる。


「うちの同居人。狼の子でね。狩りとか得意っていうの」

「年は?」

「十四、五?」

「うん、そのくらい」

「じゃあ、この辺りでいいんじゃないか?」

「いいんじゃないの?」

「丁度いいと思う」


 ガンダルが見繕ってくれたものに、コークスとフィッツが頷いた。


 二人のお墨付きが出たところで、購入を決める。


「じゃあ、それ頂戴」

「はいよ、矢はオマケに付けといてやるよ」

「ありがとー」


 オマケももらったよ。ラッキィだったね。

 買ったものを空間収納に仕舞い、ガンダルの店を出た。


「次は服?」

「服は明日にしよう? ゆっくり選びたいでしょ?」

「私はいいけど…」

「俺らもいいぞ」

「じゃあ、明日よろしく」


 つまり、明日は一日ショッピングだね。


 それはそれで楽しみだ。


◇◆◇


 前に泊まった宿で今度も宿泊する。


 久しぶりの、一人一台のベッドはぐっすりだよ。


 なんか、この間も似たような感想だったような?

 おかしいな。


 ともあれ、ベッドは買わないといけないと実感。

 っていうか、育ち盛りには必須でしょう。


「ベッドも買いたいけど…」

「注文になるんじゃないのか?」

「やっぱり?」

「この間のが異例ってやつだな。そこそこのが欲しいのなら、注文だろう」


 ウィリアムの言う通りだってことは解る。

 あれ、ほとんど売れ残りだもんね。


「じゃあ、マイクさんの所に先に行こう?」

「うん、行く行く」


 ジュエルが言ってくれたので、全力で乗っかる。


「あ、でも。一番は教会かな」


 やっぱり、町に来たんだもん。

 イリスに挨拶しないとね。


 前に神託を受けたからか、みんなあっさり納得した。


「じゃあ、教会行って、マイクさんとこ行って、それから服とか見る。でいい?」

「うん、そんな感じで」

「りょーかい」


 さくっとスケジュールを決めて、教会へと向かう。

 今回、ひぃちゃんは肩掛け鞄の中でおとなしい。


 教会の中にするっと入ることができるあたり、ひぃちゃんはどういうカテゴリーなんだろうか? アルは従魔だから解らなくもないんだけど。

 ひぃちゃんはなんで?


 もう、魔物扱いではないってことかなあ。

 でなけりゃ教会に入れないもん。

 ひぃちゃんたちは一体、何になっているんだろう。


 ともあれ、お布施を置いて女神像の前で祈る。

 すぐに見覚えのある空間に来た。


「久しぶりね、リム!」

「イリス、久しぶり!」


 イリスファルンはニコニコと笑い、私を歓迎してくれた。


 前と同じ応接セットのソファーに座る。


「元気そうで、良かったわ」

「うん、元気。同居人も増えたしね」

「獣人の子たちね。リムが保護してくれて良かったわ。この国は獣人の待遇は良くないの」

「みたいね。ウィリアムたちは大丈夫だけど…あ、クレアたちもだね」

「この町は迷いの森に近いでしょ? あと、森の向こうは国境だから人種についてはまだ寛容な方よ。人種になんて拘っていたら、迷いの森を生きて出られないもの。でも、王都は駄目ね。近寄らない方がいいわ」

「絶対に行かないから大丈夫」


 人を巻き沿いにした連中がいる場所なんて、誰が近付くものか。

 しかもラトリたちが迫害されるかも知れないんでしょ。万にひとつの可能性も消えたわ。


「そうしてね。ところで、ミーアの家はどう?」

「うん、結構暮らし易いよ。賑やかだから寂しくもないしね」

「困っていることはない?」

「特にはないかなあ」

「そう」


 イリスは穏やかな笑みを浮かべている。慈愛の笑みってやつ。


「リムは欲がないのね。私、神様よ。大抵のお願いなら叶えてあげられるのよ?」


 こうやって面と向かってのお願いなら、聞いてもらえるようだけど、本当にないのよね。


 新しいベッドが欲しいって、絶対に違うし。


「いくら考えても、やっぱり思い付かないわ。何かあったらその時にお願いに来るね」

「わかったわ。いつでも来てちょうだい」


 そんな安請け合いしていいのかなあ。


 まあ、付け入る気は全くないからいいんだけど。


 なんだかイリスは私の世話が焼きたいらしい。あれかな、私が全く頼らないから物足りないのかも知れない。


 頼る以前に、森の家に行ったら、教会にはそう簡単には来られないもん。


 そう考えると、なかなか良い距離感なのかも知れない。


 自立するにはさ。

 …アシダカ軍曹には頼りっきりなんだけどね!

 ダブスタみたいな気もするけどね。


 それはそれ。これはこれだよね。




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