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第74話 おっさん迷宮


「わぁすごい。しっかりと『魔王』の『適格』を取り返してくれたんですねぇ」


 朝、目を覚ますとベッドの横でニコニコしていた魔王ハイリス様が、黒い杖を片手にそれはもう嬉しそうに言った。

 俺もニコリと笑う。

 まぁ、私にかかればこんなもんですよ。

 よく分からんが威張っておいた。


「とりあえずこれは頂戴しますねっ」


 黒い杖からちゅるるんっと光のミミズみたいなのを吸い取っていった魔王様は、地面に輝く魔法陣に吸い込まれる様に消えていく……。

 その姿が見えなくなってから、俺は窓を開けて窓枠に肘を置いて空を見上げる。

 よく分かんないけど、解決……したな。



 *



「いや何も解決してないって」


 無限の家で朝飯を食べながら俺が満足気な笑みを浮かべていると、オットーが疲れた顔でそう言った。

 横でもっしゃもっしゃとパンを頬張る無限が、オットーを指差し今更な事を聞いてくる。


「誰こいつ」


 彼は『聖痕』の勇者であるオットーくんだ。訳あって今は俺達プレイヤーのセーブポイントをやっている。


「マジ? 意味わかんねーけど、この人殺せば私も『聖痕』ゲットじゃん」


 そうだね。


「なんだか物騒な話をしていないか……?」


 しかし、全ての問題が解決したと言っていい今の状況で……このオットーという男はどうしようか。

 俺は黒い杖を懐から出してまじまじと見つめる。もしや、これには『聖痕』を抜き取る力がある?

 ポラリスとかいうプレイヤーの右手の甲……そこには何か『聖痕』っぽい輝きがあった気がする。そして魔王様の言葉を思い出す。

 そこから推測するに……ポラリスは五本線の『聖痕』を持っていたのではないか。グリーンパスタが五本は魔王がなんちゃらとか言ってた気がする。


 ……オットーに対して使ってみるか。


「なんだ? 何を向けてきてる?」


 無言で杖を向ける俺に警戒心を高めて席から立ち上がり身構えるオットー。俺は天使の様な笑みで緊張を解く様に優しく声を掛けた。

 何もしないよ?


「絶対嘘だ……!」


 ダッ! と逃げ出したオットーの背中に向けて俺は杖の力を解放する。ピャッと飛び出た黒い網がオットーに絡みつく。

 そして煮込む際の豚の角煮みたいになったオットーが地面に転がる……。ふむ。俺は頷いた。

 多分これは五本の『聖痕』にだけ反応すると見た。


「な、なんだこれっ! 力が入らない……!」


 しかし中々の威力を持つ拘束魔法の様だ。だらけた普段の態度からは、想像できない程の強者であるオットーがもぞもぞとアオムシみたいになるだけで抜け出せていない。


 トコトコと無限がオットーの元へ歩いていく。その手には、ギラリと光る怪しい短刀が……。


「ちょ、ちょっと待て、何をする気だ…….!?」


 ま、まさかこいつ、や、やるのか!?

 やっちまうのか!? え、俺しーらない。関与してませんよー。

 耳を塞ぎ目を閉じる俺。


「いやそんな事する訳ないだろ、私の家で」


 俺が恐る恐る目を開けると、オットーに絡みつく黒い網を短刀で切ろうとしている。だが、その刃は網をゴムの様に伸ばすだけで切り裂くには至らない。


「あー、くそ。一応これ、対魔法武器なんだけどな、術式強度が桁違いなのか」


 対魔法武器?


「簡単に言うと、魔法を切れんだよこれ」


 へー。俺が黒い杖に念じると網がシュルルと戻ってくる。

 見せてよ、それ。てかくれ。

 そう言って俺は無限の短刀を触りにいく。


「やだよ。お前すぐ落とすじゃん」


 落とさないって! ほら、と俺はいつも身につけている懐中時計型魔道具を取り出す。

 これもちゃんと拾いに行ってるでしょ?


「いや、それお前、掲示板で呪いの懐中時計って言われてんぞ。なんか、リスポーンするお前を追いかけてくって。まじきもいって」


 え? うそ。そんな事になってたの。なんか気付いたら足元に落ちてんなって思ってたけど。やだ、ヒズミさんたら絶対変な事した。


「ちなみにそれ持ってるとお前から近付いてくるから、二重の意味で呪いなんだぜ」


 なんかよく分かんないけど、これの位置が分かるんだよね。不思議だよね。俺のアイデンティティみたいになりつつあるから、拾いに行くのに都合が良いんだけどね。


「ところであのおっさんどこ行った?」


 無限がそういえばとそんな事を言い出したのでキョロキョロと周りを見渡すが、オットーくんの姿はどこにも見当たらなかった。


「逃げた?」


 逃げたな……。

 まぁ、何度も死んでりゃ、あいつの元に辿り着くだろうし別に良いか。珈琲でも飲みに行こ。



 *



 ランスくんが詫びの品を持って俺の店に来た。手土産のケーキを広げながら言う。


「なんだなんだ? まだ怒ってんのかよ? 悪かったって」


 ジロリとランスのクソを睨みつける。

 ……お前は、俺を都合良い女とでも思っているのか? 丸眼鏡を指で押し上げながら俺はケーキの乗った皿を引き寄せる。

 ふむ、あの店のケーキか。それも一番上等なやつ……。これにはあの珈琲だな。いそいそと客を放っておいて自分の為の珈琲を淹れる俺。

 すっかり雇われ店長みたいになった鳥男が横で文句を言ってくる。


「おい、お前のせいでこの店から離れられないだろうが。店を空け過ぎだ、モモカさんの所へ帰れない」


 ウルセェな。俺は無視した。

 すると、開店時から雇っている少女店員がそれを聞いて口を尖らせた。


「えーっ、むーちゃん帰っちゃうんですか? そんなの、ひどいですよ」

「俺は元々この店で働くために来たわけじゃ無いんだよ」

「でももう店長より店長らしいですよー」

「不在ばかりの店長の尻拭いをさせられてるおかげでなっ……!」


 目を細めて言う鳥男を見て、俺は視線をずらす。少し寂しげな顔をする少年店員がテーブルを拭いていた。


 なんか、ややこしい事になってるのかな? やたらと親しげに話す鳥男と少女店員を見て、ただならぬドラマを感じ始めたが……そんなことは御構い無しにランスくんがベラベラと話してくる。


「まぁ、異端審問官に売った件は悪かった。詫びの品はケーキなんてシケたもんじゃねぇさ」


 ゴソゴソとランスくんが取り出したのは、小さな箱だ。パカリと開けてその中に入っていたものを俺の手を掴んで握らせてくる。

 その手を開いて出てきたのは、何やら綺麗な石が嵌められた指輪であった。


「お前のサイズに合わせてある。つけてみな」


 こ、これはまさか……? 俺は、とある魔道具店に自分の指のサイズを測り、記録として残していた事を思い出す。恐る恐る、その指輪を自身の人差し指に着けてみた。

 手を掲げて、俺は店の照明に目を細める。


「ああ、『念動術式』の刻まれた魔道具だ。高かったぜ」


 お、おおっ……! 自分ではすぐ死んで落っことしてしまうので買うのを躊躇う程の値段がする魔道具……!

 い、いいのかっ?


「お前のサイズの指輪なんて俺に着けれるかよ。この前一山当てたから、サービスだぜ」


 中々の男じゃねぇかオメーは! 俺は満面の笑みでランスの背中を叩く。んだよ、そんなに俺になんかを手伝って欲しいのかぁ? ああっ?


「ん? ああ、まぁそれもあるな」


 まぁ気まぐれなのだろう。そういう男だ。しょうがない、珈琲のサービスくらいしてやろう。


「結構怒ってたのに、物ですぐ許しましたね」

「割とチョロいよ。アイツ」


 後ろでコソコソと鳥男と少女店員が失礼な事を話しているが、すっかり気分の良くなった俺は聞かなかった事にして許してやる。




 という事でランスと仲直りした俺は、万年訳あり逃亡奴隷の狼獣人を連れて迷宮潜りをしていた。


 場所は、薄暗い……ジメジメとした樹海。第三樹海迷宮と呼ばれる迷宮に来ていた。地面はどこもブヨブヨとした腐葉土のような物が積み重なっていて、かなり足場が悪い。

 迷宮という所は、基本的に環境が悪い。だからこそ迷宮だとも言える。もっとも重要なのは足腰だろう。

 まぁそれはどうでもいいのだが、俺とランスは周囲を警戒しながら狼獣人を見ている。クンカクンカとぐちゃぐちゃの地面に鼻をギリギリまで近付けて、それはもう必死になって何かを探していた。


「おい、どうだ。あったのか?」


 ランスが退屈そうに言う。問われた狼獣人は、顔を上げて悔しそうに歯ぎしりをした。


「グッ、だめダ。見つからナイ」


 狼獣人が探しているのは、言うなればトリュフみたいなものだ。地面に埋まっていて、特殊な匂いを放っているという。

 トリュフと違い、なんでも、木の根に寄生して地中で育つ見た目が根っこの様な植物だとか。その根っこは、そのまま食べるとクソ不味いがかなりの栄養食らしい。


 そして、乾燥させて粉末状にし、それを鼻から吸う事で一時的にハイな気分になりパフォーマンス能力が上がるとか……。え? 危ない薬じゃないかって?

 ゲームでよくあるバフアイテムみたいなものだ。狂化キノコとか黄金キノコと似た様なものである。


「なんで急に『剛体根』なんてもんを掘り当てようってんだ?」


 ランスがめんどくさそうにため息を吐いて言った。街中を歩いていたら、突然狼獣人がついてきてくれと頼んできたのでしょうがなく来てやったのだ。

 要は、自分が目的の物を探している間の護衛が欲しかったらしい。迷宮には魔物が付き物なので。


「コレをな、欲しがっテル奴がいるんダ」


 ……深入りはしない方がいいだろう。このクソ狼は龍華にいた時から怪しい付き合いを色んな所でして、自業自得だが酷い目にあっている。

 最悪なのは、他人を巻き込んでくる所だ。俺も何度このクソ狼のせいで牢屋に送られたか。

 だから後をつけて顧客を奪ってやろう。

 俺は脳内に迷宮都市の後ろ暗い連中をリストアップして、狼獣人の取引相手を予想立てる。


 そんなことをしていた時、ふとランスが真剣な顔をして木に隠れた。慌てて俺と狼獣人も続く。

 どうした?


「……探索者だ」


 迷宮潜りをしている探索者か……。ホッと息をつく。俺達は何かと因縁をつけられて怪しい奴らに絡まれるので、咄嗟に隠れる癖があった。


「まテ……! この匂い……剛体根……!?」


 さっきから言ってる剛体根とかいうのが狙ってる植物だ。

 息を殺して俺達は耳をすませる。どうやら、少し先を行った所で休憩しているらしい。話し声が聞こえてきた。


「……飯にしよう。幸いにも魔物は少ない、今の内に休憩しておくべきだ」


 男の声だ。聞いたことがある。知り合いだ。


『一応、周囲に結界を張っておく』


 《自動翻訳・竜語》のスキルが発動した。つまり、先程の台詞は竜のもの……。視線の先、木の隙間から紫の鱗を持つ蜥蜴人リザードマンが、円を描くように血を垂らしている。

 オリーブ、という元俺の小竜ペットだ。本来は四足歩行なのに、最近は二足歩行で人間に近付いている。久々に見た。


「少し離れた位置に他の探索者がいるな、だが動きがない。あちらも休憩中であろう」


 別の男の声……オニヤマという四本腕の異邦者のものだ。最初の男、なんかアイドルオタクとかやってるガーランドというおっさんの声がまた聞こえてくる。


「オットー。初めての迷宮は疲れただろう? だが迷宮を出るまでは油断するなよ。いつ、何時も気を張っておくんだ。近くにいる探索者も、味方とは限らない」


 中々鋭い奴だ。確かに、単眼鏡で覗くランスと、ギラギラとしてヨダレを垂らす狼獣人は基本的に信用できない部類の奴らだ。

 だが、個人の特定は出来ていないものの、捕捉をしていて休憩をとれるというのは奴等がベテランである証だ。

 気配に敏感な、少しこなれてきた探索者は逆に他者の気配を恐れる様にな……そんな事より気になる名前が出たな?


「あ、ああ。その、いつまで、ここに?」

「ふふ。不安なのは分かる。みんな最初はそうだ。だが、安心するといい。俺達が共にいる限り滅多なことはない」

「そうだ。それにお主は俺と同じ『四方十字』の『聖痕』……隠しきれぬ強者の気配よ」


 オットーを囲む、ガタイの良い男にガタイの良い四本腕の男。蜥蜴人は表情が読めない。明らかにオットーは困惑していた。

 肩を掴まれ、強引に斬り倒した木の幹に座らされたオットーがおもてなしを受けている。


「マッサージをしてやろう。気にすることはないぞ。むしろ機動力が削がれると仲間を危険に晒すから、俺の為でもある」


 モミモミとオットーの足を揉むガーランド氏。彼は『極楽ゴールデンフィンガー』という二つ名を持つ程のテクニシャンだ。

 ふくらはぎに伝わる心地良い刺激にオットーの瞳がトロンとなった。


「さぁ、これを食え。大事なのは体力だ。無理をしてでも食うんだ」


 栄養摂取に適した携帯食料を取り出し、オットーにあーんをするオニヤマ。彼は腕が多いので、一対一で向かい合った場合にまず手数で劣る。

 なので彼のあーんを防ぐ術はない。


 おっさんがデカイおっさんにマッサージされ、

 腕の多いおっさんからは口に食べ物を突っ込まれる。

 外面がヤバすぎる集団だった。むさ苦し過ぎる。ガーランドとオニヤマは基本的に良い人なので、好意からその様なことを行なっているのだが、それを向けられる相手がおっさんだと外から見ている側は辛い。

 可愛い女の子だったら、媚びを売る情けないおっさんで済むが……相手がおっさんだったら、もう、なんか、これ以上はやめておこう。


『……』


 無言でオリーブが『特製ポーション・ペペロンチーノスペシャル』を取り出してオットーに渡す。

 瓶に書かれた俺をデフォルメした顔を怪訝な目で見て、その上に書かれたペペロンチーノスペシャルという文字にギョッとする。


「え、え? なにこれ、大丈夫?」


 疑っている。失礼な奴だな。

 ペペロンチーノスペシャルは疲れを吹き飛ばす素晴らしいポーションだぞ。

 エナジードリンクみたいなものだ。ヒズミさんとの共同制作であり、自分で言うのもなんだが珍しくまともな品が出来たので知り合いに少し流したのだ。

 ヒズミさんの森で拾える貴重な素材を、あれやこれやして、ぶっちゃけ採算に合わない性能のスーパードリンクなのだ。


 というのを語りながら俺が歩いていくと、オットーが幽霊でも見たかの様な反応で木の幹から飛び上がった。


「うわ! で、でた!」


 何が出た、だ。

 ガーランド氏は俺の姿を見ても大した反応はしなかったが、後ろから続いて出てきたランスと狼獣人を見て、すかさず立ち上がり武器を手に持った。

 眉をひそめて言う。


「ランス……一体何のようだ」

「ふん、用なんてねーぜ。ちょっと遊びに来ただけだよ」


 本当にその通りなのだが、ガーランド氏はランスくんを信用できないらしく、警戒を解くことはなかった。

 オニヤマが俺に近付いてくる。


「ペペロンチーノ、あの犬はなんだ。こちらを凄く睨んでくる」


 二本は前で腕を組み、もう一本は腰に、残った腕の親指で狼獣人を指すオニヤマ。そちらの方を向くと、確かにギラギラとキモい目でオニヤマを見つめている。

 俺は答えた。さぁ……?


「ヨコセ……ヨコセェ……」


 ジリジリと近付いてくる狼獣人が不気味すぎて俺はその場から離れた。オニヤマが困惑しながら、狼獣人の視線を追って、腰につけたポーチから何かを取り出した。

 植物の根のようなものだ。オットーが、あっと驚く。


「それ、さっき見つけたやつだ……」

「ヨコセェ!!」


 ビャッ、と狼獣人が大地を蹴ってオニヤマに襲いかかった。それを難なく躱してみせたオニヤマは一本の剣を生成する。

 ユニークマギアだ。光る謎物質で出来たその剣は、いわゆる『魔剣』と呼ばれるものとなんら遜色がなく、それをいくつも作成出来るというふざけた力である。


 ガキィン! と金属音が響く。

 大剣と槍がぶつかる音だった。衝撃で距離を取り合った二人は睨み合う。


「やはり、ロクな狙いじゃなかったな、ランスっ!」

「マジで俺関係ないんだって」


 日頃の行いの悪さから強盗仲間認定されたランスくんがガーランド氏に襲われたのだ。

 ぐるるると威嚇する狼獣人に、剣を一本だけ構えたオニヤマが険しい顔をする。


「悪いが、これはオットーに飲ませるものだ。貴様にはやれん」

「いやそんな根っこいらないって」


 何故かオットーくん育成計画を企てているオニヤマ。彼らの間に何があったのだろうか。せめて可愛がるなら可愛い女にしろよ。


『女だと、揉める。男の方が安心。だから、ガーランドとオニヤマは強い仲間を欲している』


 成る程な。オリーブの解説に俺は納得した。

 グループというものは、それまでどれ程上手くいっていても、異性が一人入るだけで崩壊する可能性がグンっと上がるものだ。

 迷宮という命を懸ける場所に潜る探索者達において、仲間内での不和は文字通り命取りだ。吊り橋効果というものもあって、男女の恋愛が発展しやすい。それが健全とも限らない。

 恋愛とは一人でできるものではない。だが関わる人数が増えると、とてつもない泥沼と化す。

 そしてそれは珍しい話でもない。


 つまり、そういう危険をはらまないであろう……おっさんのオットーを仲間に入れて、より強大な迷宮に挑みたい。というわけだな。だからあんなにもてなしてたのか……逆効果では? オットーくんは少し身の危険を感じてたと思うよ。色んな意味で。


「ガーランド……! 俺に喧嘩を売った事、後悔させてやるよ……!」

「ここで、お前との因縁全てを終わらせてやる……ランスっ!」


「ヨコセェ……ヨコセヨォ……」

「盗っ人が。欲しければ、力づくで奪ってみろ」



 ところで、この盛り上がった連中はどうすればいいだろう。

 俺は木の幹に座り頭を抱える。やれやれ、これだからコイツらは……。


 無表情のオリーブは特に加勢するつもりもないようだ。オットーくんが俺に近付いてきた。横に置かれた丸太に座り込み、ぐぐっと伸びをして、一息吐く。

 気怠そうに一度空を見て、俺を見た。


「なんて言うか。お前のいるところにはトラブルしか起きないんだな?」


 ……失礼だな。これ、どう考えても俺のせいじゃないだろ。



おっさんばっかりで頭おかしくなりそうだった。

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― 新着の感想 ―
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[良い点] もはや定番のゲストリオ [気になる点] 哀しいくらい潤いが無い [一言] 効率重視の探索者ほどむさい職業はないと確信しました
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