梅雨の星
雲の切れ間から
覗く麦刈り星
たそがれ色を
あたたかく射して
とじた傘から
落ちた水滴
小さな波紋を
作りつづけた
湿った風が
吹き抜ける
夜の街なみに置かれた
孤独ひとつひとつ
拭えるわけじゃないのに
音を閉じこめた
濡れたアスファルト
水たまりに映る僕らの
透き通るかなしみが
まだ揺らいでいる
染み渡るように
焼きつければ
ちゃぷんと鳴り響く
胸の奥
降りきった雨が
開く微睡み
僕らいつか
青く目覚めてしまうんだろう
晴れた暗がりに
乾いた光は
次々と瞬いて
ただどうしようもなく
受けとめたかった手のひらを
そっと差し出してみる