境界艦
私と快斗は戦艦両儀に乗艦した。
「なんだ…これ」
快斗が呟く
「まるで、ホテルじゃないか」
そう、オレンジ色の照明に床には赤いカーペットが敷かれているし、ホテルらしい廊下の広さ、木のドアには3桁の数字が書かれていた。
と奥の扉から黒いスーツ姿の若い男が出てきた。
「坂井夢様、神木快斗様ようこそいらっしゃいました。お部屋にご案内致しますのでこちらへ」
と言われ、私達は男の後ろについて行った。
階段を上り案内された部屋のドアには「A-142」と書かれていた。
部屋に入ると先程の男と同じくらいの若さの男がいた。
「お二人共初めまして、私は大日本帝国海軍連合艦隊幻想戦艦両儀の艦長の高儀巴です」
私達はこの部屋で5時間程話をした。
帰り際に外を見ると…昼。
昼?
真冬だから日暮れは早いはずだ…
腕時計を見ると…14時のままであった…
そう言えば高儀と言う艦長は外界とは違う空間になっているとか言っていた。
つまり時間の進みがズレている…歪んでいるのだ。
艦から出て三笠公園に戻ると戦艦両儀は離れて行った…
やがて姿が見えなくなった。
その夜私と快斗は旅館に行った。
あの戦艦は大和型四番艦、戦艦両儀
よく分からないが外界とは違う空間になっている。
そのため主砲の装填口は外界と艦内の時間のズレが両方かかる…
なので主砲を撃つと時間、空間のズレが一気に混ざる、それはとてつもないエネルギー量らしく弾の速度はマッハ5以上にもなると言う…
もちろん艦の原動力であるスクリューにも同じ効果があるという。
結局あの艦の時は76年前のままなのだ…
午後10時私達は布団の上で横になった。
「なぁ夢、もしあの戦艦両儀が大和みたいに爆沈したらどうなるのかなぁ?」
すぐ横に寝ている快斗が話しかけてきた。
「主砲を撃つ時であのエネルギー量だからな、原子爆弾よりものすごいエネルギーじゃないの?」
「心配だな」
「なにが?」
「そんなにエネルギー量が凄かったらさ、76年分の時差も含まれるから…原子爆弾なんか比じゃないのかな?」
「知らないよ、そんな事」
そう言い捨てて寝ようとした。
「これからあの艦は何処にいくのかな…」
「あぁ、もううるさいなぁ…独り言なら外でやれ」
「なに怒ってるんだよ?」
「別に怒ってなんかない」
「じゃあなんで機嫌悪いんだよ…生理か?(直球)」
「っ…///」
こう言う時のデリカシーの無さには呆れる
「あの戦艦が何処に行くかなんて私には関係ない、そんなに気になるんだったら自分で調べろ!」
「どうしたのさ…?まだあの事を受け入れられないのか?」
あの事…戦艦両儀が艦内と外界の歪みを戻そうとしたら異次元に吸い込まれたという有り得ない話だ。
私を機嫌が悪いのはそんな事ではなく、今になってこの世界に戻って来たと言う事…
「…大丈夫?」
本当キレそう…
「大丈夫な訳ないじゃない、なんでこんなに怪奇な事に巻き込まれなきゃならないんだ、調査なんてお前1人でも出来たじゃないか!そもそもお前がこんな事を始めなければあの艦はこの世界にも戻ってこなかったのに!それなのに…」
「うるさいのはこの口か」
「えっ…ちょっ…///」
「…」
「…」
「ごめん、タバコ買ってくる」
「はぁ…なんだアイツいきなりしてくるなんてホント…」
快斗はこういう所が不器用だと思う。
結局これで今回の調査は終わり、あの艦は2度と現れる事は無かった。
まだ謎はあるが、大体は解決した。
大日本帝国海軍が運用する幻想戦艦両儀
大艦巨砲主義と個艦優勢主義、時代は最良航空戦力と言う矛盾(contradiction)が重なった時代に出来た戦艦…
あの戦艦はこの矛盾(contradiction)を一身に背負っているのだろう…
まさに海軍の幻想が矛盾(contradiction)しているように…
幻想こんとらでぃしょん
これでこの話はおしまいです。




