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防跡記録

徐々に浮かび上がる大和型四番艦その行方を調べる。

その日の午前、私達は軍港から離れ近海を見て回った。

相変わらず海上自衛隊の艦艇が行儀よく並んでいる。

その中で一際大きい空母のような艦艇がいた、実際アレは空母ではなくヘリコプターを載せる護衛艦なのだと言う、最近は同型艦の「かが」が就役したらしい。

まぁ、どうでもいい事だ。

路線バスを利用して大阪にも行ったが特に気になる事は無かった。

私達は日の暮れた広島に戻る事にした、着いた頃には既に真っ暗で寒い。

港を一瞥して海岸沿いの旅館に入る…

瞬間、昼間の護衛艦とは違う大型艦が見えた気がした。

気味が悪い…


その夜私はまた夢を見た。

呉には大破着底した戦艦伊勢、空母葛城、軽巡青葉…

空襲であったが、攻撃目標は…1隻に絞られていた。

戦艦、しかも大和型…

しかし驚くのは100機以上のグラマンやコルセア、アベンジャーが突っ込んでくるのに、戦艦には魚雷、爆弾は1発も当たらないのだ。

それもそうだろう、三式弾を装填した四十五口径四十六糎砲が文字通り『連射』しているのだから。

1門づつ撃っているのではなく、斉射を繰り返しているのだ。

当たり前だが、米軍機は射程に入る前にハエの様に叩き堕とされた。

どんな設計なのだろうか?今の技術を使っても連射は不可能だ。


私は今観ているこれが「夢」である事が分かり起きた。


翌日、戦艦伊勢に乗艦していたという水兵に当時の話を聴くことが出来た。

「そりゃあ空襲は酷いもんでぇ…雨霰の様に爆弾、機銃弾が降ってくるんだ…あの戦艦がいなかったら私も仏になっていたよ。」

「あの戦艦って?」

快斗がそう聞くと…

「あの戦艦の事は大和以上に極秘なんだが今話しても問題はないじゃろう」

そしてゆっくりと話し始めた

「あの戦艦は元々大和型四番艦で建艦が進んでいたが、物資不足や戦局の悪化により一時期建艦が辞められたのじゃ…」

「海軍上層部は廃艦する予定じゃったが一部の人の意見で建艦が再開したのだが、海軍は建艦を意見を出した人に投げつけたのじゃ」

「しかしその方らは文句も言わず1945年1月には完成させたのじゃ、もちろん海軍上層部としてはこの艦は呉で浮き砲台にしようとしたが建艦を指揮したその方らは断固反対してあろう事かその艦の主砲を海軍兵学校に向けたのじゃ」

「これには海軍上層部も意見の取り下げをして平和に収まったという」

「話によればこの艦はある少将の指揮で建艦が進められて大和型を遥かに超える射程距離、速力、技術であったらしい」

「大和型を超える…ですか?」

快斗が口を挟む。

「そうじゃ、見た目は大和型であるが中身は全く違う超最新戦艦と言われていた、米国のアイオワより優れていたそうじゃ」

ここで私は疑問になっていた事を聞いた。

「その艦はどうなったのでしょうか?」

「しばらく呉で空襲に来る敵機を邀撃した後、4月の…確か5日じゃったかな?徳山沖の第一遊撃部隊と合流して一緒に天一号作戦に参加と聞いている、大和は沈んだが相変わらずその艦には敵機は指1本も触れられなかったらしい、でも旗艦の大和がいなくなったため作戦は中止になり…そんな訳で4月9日には呉に戻って来て再び敵機を撃ち落とす任務に付いた」

「もし旗艦がその戦艦だったら…?」

快斗が聞く

「そうじゃな沖縄の米軍は全滅してたでしょう」

当たり前のようにその方は言う。

「その艦はその後どうなったのでしょうか?」

私が聞くと…

その方は首を振った。

「分からない、5月上旬には姿が見えなかった」

「撃沈されている可能性は?」

快斗がとんでもない事を聞く。

「それはないじゃろ、あの高性能艦がやられる訳はない」


こうして話を伺った後私達は歩いて旅館に向かった。

「あっ!!」

「何よ…いきなり(困惑)」

「その戦艦の名前を聞くのを忘れてた!」

「そう言えばそうね、まぁそのうちわかるでしょう」クスと笑う。


こんな些細な調査から大事になるとは思ってもいなかった。


4話に続く。

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