プロローグ
千葉隼人
対戦したチームはこの名を決して忘れないだろう。
それほどまでに、千葉がこの試合で見せたプレイの数々は、群を抜き、他を圧倒した。
そして今また、もはやだめ押しとすら呼べない、ウイニングランとでもいうべきドライブを、千葉が仕掛ける。
一秒にも満たないにらみ合いを終え、千葉は左ウイング(スリーポイントライン付近の左約四十五度)の位置から、ディフェンスの左を攻めた。
左足の一歩目が、全国有数のエースキラーと呼ばれている相手の重心を左に寄せる。
右足の二歩目と同時に、これ以上抜かれまいと必死な相手が、ドライブの方向へと大きく一歩を踏み出す。
そんなディフェンスの名手をあざ笑うように、千葉は二歩目で踏み切り、ボールを逆方向に大きく振りながら、相手の背後へとジャンプした。ギャロップ・モーションだ。
こうして背後を取ったら、あとはフリーでショットを放つだけ。
左、右の着地からすぐさま再浮上して放ったボールは、全国中学校バスケットボール大会決勝終了と同時に、この試合二十三本目のショット成功となった。
初めまして、なかおゆうきです。TIP OFFを読んでくれてありがとうございます。仕事をしながらの執筆になるので、安定した投稿は難しいですが、熱く、こってりしたバスケを書いていきますので、お付き合いしていただけたら幸いです。
また、別サイト「エブリスタ」にて専門用語の少ないTIP OFF -light edition- を連載予定ですので、TIP OFFのこってりが重い方はそちらをご覧いただければと思います。