テスト結果
次の日俺は欠伸をしながら学校へと登校していた。何故登校をしているかと言うと単純に休みではないからだ。歩きながら横に広がる海を見て思った。疲れた……。
そんなどんよりとした背中からいきなり叩かれたような痛みが感じた。
「うおっ!」
「よお、大将。おはよっさん!どうしたんだ?そんな顔して」
「眠い所にお前が思いきり叩かれて痛かったんだよ!お前も試してみっか?」
「遠慮しとくぜ!それよりも貸した物はどうした?」
「ゲームの事か。あのおかげでやる遅くまでやってて……眠いんだよ」
会話の途中で思わず欠伸をしてしまった。それ程あのゲームをやりこみまくったがそれでもまだ澄川に勝てる気がしない。
澄川はうん、うん、と頷くと俺の耳に近づいてきてささやいてきた。
「それでどうだったんだ?エリカさんとのデート」
「はあ……言っとくがそんなんじゃないからな。あの後はすぐに別れた」
「大将、女の子にそんな素っ気無い態度取っちゃいけませんぜ?女の子はデリケートなんだからそんなんじゃ離れて行きますよ?」
「お前っていちいち口調変えるよな」
「俺ってそういう性格ですから~ってそんな事じゃなくて」
「澄川、先行ってるから早く来いよ」
「大将~。すまん。冗談だから!まじで待ってくれ~!」
澄川の声が辺り一面に響いた。
学校に着くと学校の玄関前で貼ってある紙を大勢の人数の生徒達が見ようとおしくらまんじゅう状態になっていた。
「澄川。アレは何だ?」
「ああ……アレだよ。昨日やったテストだよ……」
「昨日のって!早すぎじゃないか!?」
「うちの学校の教師達は暇人なのかテストの採点を一日でやるんだ。更に全校生徒にそのテストの点数の順位付けがされるんだ……。鬼畜過ぎる」
「教師はそれが仕事だろ。それよりもそんなことかよ」
「大将はもう腹の覚悟は出来てるって事か……。今日学校終わったらやけくそでどっか遊びに行こうぜ……」
「そんなんじゃねえよ。だが、あまり興味は持ってないだけだ」
「?」
首を傾ける澄川を他所に俺はスタスタと横の生徒達を横目に教室に向おうとした。だが、一人の男子が発した言葉で足を止めてしまった。
「やっぱり、青木さんはすごいな。いつも1位だもんな」
「清楚で可憐。大和撫子とはよく言ったものだわ」
「1位?俺じゃなくてか?」
その言葉に足がテストの順位の紙に傾いた。そんな馬鹿な、と思いながらも人混みの中に入っていった。もう少しで見える位置に来たが不意に右の袖に誰かが引っ張るような感触を感じ、その方向へと視線を向けた。
「どうしたの?そんなに必死そうな顔をして」
そこにはエリカがいた。エリカは、少し考えて、前にある紙と俺の顔を交互に見て独自に納得をいったかのような顔になった。
「良太君は大丈夫。来たばかりだし、悪くても塚本先生怒んないよ。補習の時は一緒に教えてあげるからそんな必死にならなくても」
「テストはそうだが、そんなんじゃねえ!エリカ、これ以上行けない!ここから見えるか?」
「うーん……りょ、良太君!?2位!2位って何!来たばかりで2位って!?元から勉強でもしてたの?」
「そんなんしてねえ!それよりも1位は誰なんだ!」
「1位は青木さんよ。この青空青春高校の生徒会長を勤めているのよ。確か学校来て以来1位以外とってないんじゃないかしら」
「何点差なんだ……?」
「良太君が465点で青木さんは498点。500満点で1問しかミスしていないなんてどうすればできるんだろう」
一瞬目の前が真っ暗になった。俺は、勉強で誰にも負けた事は無かった。たとえどのくらい日数を重ねた相手と全く勉強しなかった状態でも勝った。いつも1位だった。そんな俺を抜かす奴がいたなんて……。
「青木ってのは、生徒会長なんだな?そしたら今日、生徒会長室に案内してくれないか?」
「え?急にどうしたの?」
目を丸くするエリカに対して俺はきっぱりと真顔で言った。
「話しみたい人がそこにいる」
期待を胸に放課後まで待った。
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