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青空海風学園

 俺は、今日転校する事になった高校、青空海風高校あおぞらかいふうこうこうに通う事になった。そんなに大きな島ではないが、とても疲れていた。何故なら昨夜に、会った少女があの後もしつこく宝探し行こうと執拗に誘ってきたのだ。まあ、俺はNOと言える日本男子なので言ってやったさ。


 『分かったよ。少しだけな』


 かあああああっ!!なんて事言ってしまったんだ。でも、大きな島ではないが、そんなに会う事はないだろう。しかし、何故だろう寒気がする。風邪でも引いてしまったんだろうか。

 自分の体を心配しながら学校に足を向けた。



 青空海風学園の大きな門をくぐると左右に大きな桜の木が植えており、赤色やうす茶色の秋桜が咲いていた。その奥には、建てられてからそう経っていな真新しい高校が見える。

 しかし、周囲の人が俺に視線を向けてくる。東京に住んでいる時もそうだが、正直気に入らない。自分のポケットに手を突っ込んで不機嫌な感じで職員室に向った。


 「お前が、鷺宮良太だな。俺は2-Bの塚本疾風つかもとはやてだ。今日からよろしくな!」

 

 俺の肩を笑いながらバシバシと叩いた。

 塚本疾風。見た感じ身長は大きく190は越えていて体格も相当だ。だが、そんなに教師に見えない。

 本鈴がなり、塚本に付いて来いと言われ2-Bに向った。教室の前に着くと外でも分かるぐらい生徒達の声が聞こえる。そこに突然入ると生徒達が思わず背中に水を入れたようにビクッとなり一気に静かになった。


 「お前らは外まで聞こえてたぞ。まあ、こんなお小言は良い。今日は転入生が来た事は……知っているか。入ってきてくれ」


 手招きをされ、俺は教室に足を踏み入れた。皆の視線が俺に一点に集中している事を身に感じながら、教卓の隣まで来た。見渡すと10人ぐらいおり、所々から小さな声で聞こえてきた(一人寝ている奴も合わせる)。


 「まじか」「イケメン」「おらあんな顔見たことないだ」

 

 おらとか使っている奴、初めて見たな。

 担任の塚本は、そんな声が聞こえないのかどんどん始めた。


 「今日転校してきた鷺宮良太だ。ほら、お前も挨拶しろ」

 「転校してきた鷺宮だ。今日から頼む」

 「皆仲良くしろよ。席はそうだな……あそこなんてどうだ?」


 先ほど寝ている奴の隣だった。自分の席まで来ると寝ていた女の子が顔を上げた。見たくはなかった。


 「あれ?良太君だ」

 「げえ!?エリカ!」


 思わず蛙が踏み付けられたような声を出してしまった。朝の登校中はあんなに会わないと思っていたのに、あそこでフラグを立ててしまったのか。だからあの時、寒気なんて起きたのか。

 そんな俺の内心を知らない、エリカが隣の席の椅子を叩いて、早く座るように催促した。

 塚本も驚いていたが、すぐに状況を読み込んだのか、うんと頷いた。


 「何だか分からんが、お前達は知り合いみたいだな。鷺宮がわかんない事があったらエリカ、教えてやるんだぞ」

 「はい、塚本先生」


 エリカが大きな声で返事をすると嬉しそうに教卓に戻って行った。

 朝の挨拶が終わると俺の席の周りに人だかりが出来た。


 「部活入らない?剣道」「どんな事が趣味?」「結婚して下さい」「2-A入らない?」「せこいぞ!3-Cに入ってくれよな」

 「部活と趣味はまだ普通だが、結婚ってまだ付き合ってもいないのに言うな。てか早すぎだろ。後、他のクラスが混じっているんじゃねえ。てか三年まで来ているのかよ」

 『おおー!!』

 「お前らいい加減殴るぞ」


 そんな事をやっているおかげで休む暇なく1時間目になってしまった。塚本が大きな紙を何十枚を持ってきて生徒達はげんなりとしていた。

 

 「今から学力テストをやるぞ。全学年全クラスが受け、順位が発表され、それでファースト10位までは全員補習だからな。頑張れよ。それよりも塚本は自由参加だが、やるか?」

 「まあ、やるよ」

 「そうか、頑張れよ」


 プリントが配られた。全部習ったことがある問題で簡単だった。他の皆は頭抱えて思い出そうとしており、苦戦していた。


 (つまんない。こんなの何もやらなくても出来る。はあ)


 心の中で溜息を付いた。

 数学、現代文、社会、理科、英語と全ての教科が終わると放課となった。流石に部活動に行く奴や帰宅部の連中はすぐに教室からいなくなり、俺は質問攻めに会わなくなりほっと胸を撫で下ろした。


 「よう、大将」

 「大将?つうかお前は誰だ」


 茶髪でクラスには一人は居そうな騒ぎキャラが声をかけてきた。


 「澄川拓也すみがわたくやだ。大将ってのはエリカさんと仲良しだからそう呼ばせてもらっている」

 「エリカと仲良しだからって何でだよ」

 「エリカさんは学校でも5本指に入るほど美人なんだぞ。大将もほとんどの確立で入ると思うぞ」

 「嬉しくねーよ。それだから俺に話しかけに来たのかよ」


 所詮は顔、顔、顔。うざったらしくて面倒になって来た。もし、それで近づいてきたのならここで殴る。

 しかし、思っていた言葉より180度違うものだった。


 「せっかくだからゲームしようぜ。俺って友達作るときよくゲームをやって仲良くなるんだ」

 「ほう、まあ良いがボコボコにしても泣くなよ」

 「ほお、そこまで言った奴は初めてだぜ。泣くのはあんたの方だよ。大将」


 取り出したのは、格闘ゲームで最初に相手のゲージを無くした方が負けると言ったゲームだ。そこそこ古いが、俺にとってゲームは経験者に所見でボコボコにする程だ。ゲームでもこの天性の才能が備わっている。 

 一通り説明書でその場で全部暗記すると、ゲームを始めた。


 「それじゃあ、良いか?大将」

 「何時でもかかって来い。どんなゲームだって説明書を見て少しやればほとんどできるんだよ。だからゲームてのは」


 つまらないんだよ!!。

 試合が始まった。すぐさま俺が拓也に攻めて行った。その十秒後。


 「は?何が起きたんだ?」

 「大将。もう少し強くなってくれよ。弱すぎるぜ」

 「も、もう1回。もう1度やれば出来る」


 もう1回。さっきと同じで瞬殺。その後も1時間ぐらいやっても瞬殺だった。人生初めての敗北を味わったのである。


 「まあ、大将も少しは強くなったよ。まあ、何時かは勝てるようになるさ」

 「……今度だ」

 「へ?」

 「今度また勝負してくれ。このままじゃ腹の虫が治まらん」

 「良いぜ」


 俺達は固い握手をした。初めてのライバル?の出現により、俺の中が暑くもえたぎっていた。

 その後、拓也はゲームを素早く片付けると教室から出て行った。俺もすぐに帰ろうとした時今になって気がついた。教室でゲームとかやって良いのか?遅すぎる疑問であった。

 ここまで読んでいただきありがとうございました。

 感想等お待ちしております。

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