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海岸に佇む少女

 「ふぅ」


 段ボールに入っている荷物を全部部屋に入れると自然と座って一息つきたくなる。流石に10キロの重さの段ボールを3往復するとは、思っても見なかった。

 春とはいえ、この重労働には汗が出た。汗を軽く腕で拭うと階段を下りていった。

 この家は、2階建ての大きな家だ。庭もあり、近くには海もある。薄青色で地面が見えるほど透き通っている。さぞかし冷たくて気持ち良いのだろうが、今の時期は風を引いてしまう。

 そんな事を思っているとリビングに楓が居た。


 「お袋。二階の分、終わったぞ。もうないか?」

 「良太、ありがとね。う~ん特にないから外に出て探検でもしてくれば?」

 「俺はそんなガキじゃねんだよ。二階で少し寝てくる」

 

 そう言うと俺は、自分の寝室に戻ってきた。周りには、ゲーム機や本、勉強道具、スポーツの器具が段ボールの中に入っているが、一向にだそうとはしなかった。

 

 「つまらねえ世の中だぜ」


 鷺宮良太は、生まれつき天性の才能が備わっており、勉強からスポーツまで何でもこなしてしまう程だ。

 しかし、そのせいで何事にも本気を出せずついには、前の学校では暴力沙汰になった。だから、親の転勤は、ちょうど良かったのかもしれない。


 「新しい生活か……」


 また、同じ結末になる。つまらない日常。誰にも俺には追いつくことが出来ないし、誰にも俺に勝つことが出来ない。それを繰り返すだけだ。

 チリィン

 

 「ん?」


 鈴の音色が聞こえた気がする。窓の外を見てみると一人の女の子が海を見ながら佇んでいた。


 (何をしているんだ?)


 そんな考えがふとわき上がってきた。数秒見ていると女の子の方が気づいたように、こちらを向いてきた。そして笑った。


 (何がおかしいんだ?俺の顔を何か付いていたり)


 顔を手で触ってみたがそんな感じはしなかった。もう一度彼女の方を見てみると手招きをしてきた。

 自然と体が動いた。何故だかわからないが、今彼女に会わないと駄目なように思えてきたからだ。

 急いで靴を履き外に出てみると、彼女は砂浜に座っていた。辺りは、もうすぐ暗くなりそうだが、彼女は白いワンピースを着ているせいか眩しく見えた。

  

 「お前は……誰だ?」

 

 開幕、先制攻撃をした。彼女は、立つと俺の方に向き直った。

 綺麗に整った顔立ち。風になびかれるように銀色長い髪がゆれていた。言葉が出てこなかったのである。綺麗過ぎる。前の学校では何百人もの女の子を見てきたが、どれとも次元が違ってきている。

 彼女は、そんな俺の反応にどう解釈を取ったのかクスッと笑った。


 「最初に名前を聞いてきた方が言うんじゃないの?」

 「あ……お、俺は鷺宮良太だ」

 

 つい自分の名前を言ってしまった事に後悔をした。

 彼女は、また俺の顔を見て笑った。


 「うふふ」

 「くっ、笑うんじゃねえ!!」

 「ついね。私の名前はエリカ・スプライトよ。よろしくね。良太君」


 すでに名前で呼び出した。

 良太は、初対面の人に名前を言われるのが酷く嫌っていた。しかし、エリカの微笑を見ているとそんな感情がなくなってくる。


 「早速名前でよんでんじゃねえ!エリカ・スプライト」

 「照れちゃって可愛いね。良太君は、名前を呼んでくれるほどの彼女もいないの?」

 「い……いない」

 「はあ、顔立ちは良いのに意外にナイーブな性格だということが分かったわ」

 「うるせえ!」


 エリカは良太の反応に面白がっていた。良太は、初めて知らない人の目の前で羞恥心で顔を赤く俯いてしまった。


 「良太君はここら辺で見たことないけど、どこから来たの?」

 「ああ、俺は東京から来たんだ。しかし、都会と違って本当に何も無いな」

 「当たり前よ。逆にある方が凄いじゃない」


 ある方が凄いか。ほとんど一晩中明かりで満たされているが、この青空諸島(略して青島)には夜になれば家の明かりしか灯っていない。しかも、俺の家の周りは家が建っていない為、この家の明かりがなくなればもれなく辺り一面が暗い闇に覆われるだろう。

 

 「つうかお前何してんだ。こんな所で」

 「良太君なら教えても良いかもね。私……財宝を探しているの」

 「はあ!?」

 

 このことがきっかけでこの後エリカと親しくなるとは思ってみなかったのである。

 更新が相当遅れてしまいすみませんでした。

 前作と違い相当内容が違うものになっていますが、登場人物のほとんどは前作に出ている人を使いたいと思っています。

 ここまで読んでいただきありがとうございました。

 感想などお待ちしております。

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