プロローグ
鷺宮良太は、無人島に降り立った。いや、今は普通に人が住んでいる島なので無人島とは言えないが、数年前までは草木しか生えていないただの孤島だった。何故こんな所にいるかと言うと……。
「何で親父の気まぐれでここに来なきゃいけないんだよ。くそ、腹が立つ」
「おいおい、良太。そんなんじゃいけないぞ。もう少し男はロマンを求めてだな」
「うっせよ。クソ親父」
笑いながら俺の背中をバンバン叩いてくる俺の親父、鷺宮龍之介はとにかく破天荒な男なのだ。悪く言えば自分勝手すぎる。
しかし、その破天荒な性格なのか分からないが、自分の経営している通信販売で見たことも無いものを売ってそれが馬鹿みたいに売れ、今では販売業界でも一目置かれている。
でも最近、いきなり違う所で仕事をしたい、と言い出した時は驚いた。まさかなと思いっていたらいつの間にかこのようになっていて、さすがにあきれた。
「龍之介さ~ん。待って~」
最後に船から下りた俺のお袋、鷺宮楓だ。いつもおっとりしているがいつも親父の行動について来れている。
「龍之介さん、早く行きましょ?」
「そうだな、楓」
いや、単に馬鹿なだけかもしれない。ご近所のおばさん達にもイチャラブ夫婦と言われるほどおあつい二人なのだ。手を一緒に繋いで、息子の俺を置いていこうとしているし。
「お、そうだ。良太早く行くぞ」
「お前らが置いて行くんだろうが」
俺は、溜息をついた後、追う様に走った。新しい環境、新しい生活、新しい人。すべてが都会に住んでいた時と違う。
そんな生活が今始まろうとしていた。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
もう一つの作品。俺は異世界で軍師になるも宜しくお願いします。
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