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無職は転生してフリーターに進化した!  作者: 鋏と電灯
第四章~北の中心地~
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一人かけた朝

モンドたち『風吹くままに』がセヴェル街に滞在している、ある日のこと。


 スレイ・オルキデは、眠りから覚め、立ち上がる


「はあ……はあ……」


 荒い息遣い、陽炎のように揺らめく足取りでスレイは台所へ向かう


 いつもどうり、朝ごはんの準備をするために。


「よう……おい! 大丈夫か! 」


 いつもどうりスレイに挨拶しようとした、シュヴだが驚きの声を上げる


「だ……だいじょおぶですぅ……」


 スレイは、でられたタコのように赤く、焦点の定まってない瞳を向けながら、力のない声でそう言った。


「いや~、大丈夫には見えないんだが」


 あきらかに調子の悪そうなスレイの姿に、シュヴは心配そうな様子だ。


「はい……はあ……だいじょう……はあ……だあない……はあ……です……」


 苦しそうな呼吸の合間に、回ってないろれつで、スレイは話す


「だろ? ほら肩貸してやるから、部屋でゆっくりしてろ」


 シュヴはそう言って、スレイのわきと腕の間に入る、シュヴは身長がスレイに比べて低いため、あまり支えにはなっていないが、それでも無いよりましである。


「だいじょーうです……はあ……はあ……」


 スレイはさっき言ったことと違うことを口にする


「ああ、ああ、そうだな」


 シュヴはそう言いながら、スレイの支離滅裂な発言を聞いて


 こりゃあ、重症だな……


 そう思いながら、スレイをお姫様抱っこで、スレイの部屋へ連れって言った。


 しばらくして


 ベットの上で苦しそうにうなるスレイの周りを、モンド、シュヴ、イブが囲む。


 リリトは


「あたしがいても邪魔なだけだから」

 

 力なく笑い、そう言って、部屋の済の方でスレイを心配そうな目で見つめる。


「スレイの調子はどうだ、モンド? 」


 腕を組みながら、体の状態を知る、贈知ぞうち魔法である『気力索探イアトロス』を使っているモンドに聞く


「うん、これは『内弱ないじゃく』だな……原因は栄養不足と過労だと思う」


 モンドはシュヴのほうを向いてそう言う 


 この『テラテッラ』において体調不良は大きく分けて三つ


 一つは『毒物どくぶつ』これは、体に害のある物質を取り込むことによるもの、対処法は錬成れんせい魔法などで作った対抗物質を摂取すること。


 二つ目に『病魔びょうま』これは、何かしらの星来者エトヴニルが体に悪さをするもの、対処法はその星来者エトヴニルをやっつける事。


 最後に『内弱ないじゃく』これは、生活態度によって健康維持に、必要なものが欠如けつじょしている、または不必要なほど摂取せっしゅしていることで起きる症状で、対処法は体のバランスを元に戻すような生活をすること。


「栄養不足と過労か……」


 シュヴは腕を組み難しい顔をして考え込む


 そういえば、スレイは朝早くから夜遅くまで家事や雑務、ほかにもいろんな奴の手伝いもしていたからな、しかも栄養状態が悪い時期が長く続いていたのもあった、イブと違って体力があまり高くないスレイはそれで体を壊したんだな。


 シュヴはそう考え


「とりあえず今は、ゆっくり休んで、栄養のあるものをしっかり食べなきゃな」


 ハッキリとした口調でそう言う。


「あ、あの~、これいりますか? 」


 イブが自信なさげに眉を下げ、いつのまにか用意していた、冷水で満たされたバケツと数枚のタオルを見せる


「そうだな、いるな」


 シュヴはそう言った後、タオルを水に浸し軽く絞ったあと一旦いったん広げその後綺麗にたたんでちょうどいい大きさと厚さにしてスレイのおでこにのせる


 今まで暑く湿ったジャングルで冬用の防寒具を着たような不快感に支配されていたスレイであったが、冷たい水の感触が体にも心にも染み渡る


「あ、ありがとうございます……だいぶ楽になりました」


 さっきと比べて、息遣いも落ち着き、きちんと受け答えできるようになっていた。


「そうか……でも無理は禁物だからな、あとリリト、スレイに食べさせるものを買いに行くからついて来てくれ」


 シュヴはそう言って、部屋から出ると


「うん! 」


 リリトも元気のいい返事をしたあと、シュヴについて行った。


 …………


 ……


 しばらくの間、静寂が空間を支配する


「あの……みんなの朝ごはんはどうなるんですか? 」


 静寂を切り裂いたのは、自分が体調を崩したことにで俺たちに迷惑をけていないかという、心配事だった。


「あ、ああ、だいじょうぶだ……たぶん」


 モンドは自信なさげな弱々しい声で返す


「もう、かなり楽になりましたから、朝の用意をしますね」


 スレイはそう言って、ベットから起き上がろうとする


「いやいや、病人は寝てなきゃ」


 モンドは慌てたようにスレイを手で押さえつける


「大丈夫、スレイちゃん、僕たちでできるよねご主人様! 」


 スレイを安心させるためイブは元気のいい笑顔でそう言う


「ああ、出来るぜ! 」


 モンドはそう言って、ガッツポーズをする


「じゃあ、俺たちは朝の用意をするから、用があったらこれで遠慮なく呼んでくれ」


 モンドはそう言ってスレイの手に取れる場所にベルを置き、ちゃんとできるか心配そうなスレイをよそにイブと共に部屋を出る。



「よし! まずは……パンだな! 」


 モンドはそう言って、パンを手に取り、オーブンに食べる分を入れる


「どれぐらいの時間オーブンで焼けばいいんですか? 」


 イブはオーブンのダイアルに手を置き、そう尋ねる


「と……とりあえず時間はMAXにしてちょうどいい感じに焼けたら出せばいいだろ」


 よくわからないモンドは適当な事を言う


「そ……ですね」


 イブもよくわかっていないためとりあえずモンドの意見に賛成しておく。


 その、やり取りを自室からかすかに聞こえたスレイは心配でたまらなくなり今すぐ手伝いたくなったが、二人の心をみ取りグッとこらえる。


 こうして、少し特別な一日が始まった。  


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