予言の六
モンドは『月の魔王』を読んだ次の日、もっと詳しいことが知りたくなったので、協会を尋ねることにした。
「あの~、すいませ~ん」
モンドの声が静かな協会に響く
「何か用か? 」
凛とした低い声が返ってきた
その声の主は、白い生地に金色の刺繍をほどこした将官が着るような軍服を着た、モンドより少し背が高い、金色と黒が混じった長い髪を一つに束ねた、女性だった。
「あ、いえ、用というより……ちょっと勉強したいことがあって……」
モンドは女性の顔色を伺うように言う
「ハッハッハッハ、そんなにかしこまる必要はないぞ」
豪気だが優しく、そう言う
「あ、はい」
モンドは少し気圧されてしまう
「まあまあ、私の名はフォレナ・バレーナだ、よければ君の名前も教えてくれないか」
フォレナは慣れた様子で自己紹介をする
「俺の名前は、モンド・ムッボシ」
モンドは、フォレナ・バレーナと言うどこかで聞いたことのある、名前を思い出す作業をしつつ、自己紹介をする
「それで、勉強したいこととはなんだ? 私はそこまで学問に精通しているわけではないが、力になるぞ」
フォレナの快い協力に
「じゃあ、お願いします俺が勉強したいのは、マルマサとプルミエの話についてです」
モンドはそう言って、甘えることにした
「創星輝話か……うむ、いいぞなんでも聞いてくれ」
承知したように言う、フォレナに
「じゃあ、プルミエがテラテッラを作る前の世界ってどんな感じだったんですか? 」
モンドは『月の魔王』の正式名称が『創星輝話』ということを初めて知りつつ、本題の質問をする
「う~ん、それは、様々な説があるが、どれも憶測の域を出てないものばかりだな」
難しい顔をフォレナはする
「様々な説? 」
モンドは気になったことを聞いてみる
「ん、ああ、魔法や星が無いだけで今と大した違いはないという説や、私たちが知りえない技術で高度に発達した文明があったという説、ほかには文明も無く人も知能を持っていなかったという説、全く違いすぎる法則で動いているため私たちでは理解できないという説、この四つが有名だな、とは言ってもこの全てに証拠と言える物や現象は無いがな、そもそもこの創星輝話自体に事実無根のまったくもってデタラメだっていう説があるぐらいだしな」
フォレナはつらつらと言葉を放つ
「そうか……、教えてくれてありがとうございます」
シュヴと似た答えに、モンドは少し落胆しつつもお礼の言葉を述べる
「力になれなくてすまんな」
申し訳なさそうな顔をフォレナはする
「いえ、俺のために時間を使ってくれただけでありがたいよ」
モンドがそう言い、立ち去ろうとする
「あ! お詫びと言っちゃなんだが『予言の六』ついて話すよ 」
フォレナはそう言って、モンドを引き止める
「『予言の六』って……? 」
首をかしげながら、モンドが質問すると
「ああ、創星輝話に関する文献の一つに暗号で書かれていたのがあってな、それがつい最近解明されたんだ、その文献こそが『予言の六』だ」
フォレナの言葉に興味をひかれたモンドは
「内容は? 」
そう言って、立ち止まる
「ああ、たしか、封印の解かれたマルマサを六人で倒すみたい内容だったな」
フォレナはそう答える
「マルマサの封印が解かれたり理由とその六人については何か書かれていたのか? 」
モンドは、さらに深く掘り下げる事を聞くと
「封印が解かれた理由は書かれてないが、たしかその六人は『六星の覇者』、『創者の欠片』、『灰無しの龍』、『曇天の戦士』、『神託の歌姫』、『ありえない存在』と呼ばれてたな」
フォレナはそう答えた。
「いいお話、ありがとうございます、それでは」
モンドは軽く会釈をして、その場を立ち去る
モンドは、昨日否定した『自分が転生した理由はマルマサ退治』という考えとリンクした『予言の六』を聞いた時少し驚いたものの、やはり違うという考えは変わらなかった、仮に創星輝話が全て事実として、そのマルマサを倒す六人の内
『六星の覇者』は六星を『六芒星の秘術』と解釈し、覇者を強さで解釈した場合、自分自身つまりモンド
『創者の欠片』は創者を神と解釈し、その欠片というニュアンスからシュヴ
『灰無しの龍』は龍そのままでなおかつ、灰すら残さない、『欲深き黒い獄焔』という黒い炎は吐けるリリト
この三つは無理やり当てはめれば納得はできるが
『曇天の戦士』、『神託の歌姫』、『ありえない存在』の三つは完全に分からん、イブやスレイがこの三つのうちの一つに当てはまる存在や力を持つとは思えないし、そもそも『風吹くままに』は五人だ一人足りない、仲間が増えれば六人だが、これまでのトントン拍子で仲間になったということを考えみると、なんか違う気がする、そもそもこれ以上増えると旅車が定員オーバーになってしまう。
モンドは、難しい顔をして考えると、不意に
神話の英雄に自分を当てはめて、真剣に考える俺って痛すぎじゃね
という考えが頭をよぎったので、やめることにした。
全く意味のないことにフォレナさんを付き合わせたな
モンドがそんなことを考えていると
フォレナ・バレーナがセヴェル街の街長であることを思い出た
「うわ~俺、失礼なことしちゃったかも……」
モンドは空に向かってそうつぶやいた。




